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今回は『なぜ起こる?「変形性膝関節症」のメカニズム』をご紹介させて頂きます。

ひざ痛の約80%は「変形性膝関節症」

年齢を重ねてから「ひざの痛み」に悩む人は、約80%が「変形性膝関節症」といわれています。変形性膝関節症は、中高年を代表する障害で、50歳以上の女性に多いことで知られている病気です。

日本では、70歳以上の女性の約70%が「変形性膝関節症」に悩み、潜在的な人数を含めると、約3000万人の患者がいると推定されています。患者の男女比は「1:4」で、やはり比較的女性に見られる病気であることがわかります。

変形性膝関節症は、立ち上がったり、歩きはじめたりする動作で、ひざに強い痛みが生じるのが特徴です。痛みがあると、階段の上り下りが困難になり、歩くのが億劫になって、つい外出を控えるようになる、など日常生活にも支障をきたします。加齢による変形性膝関節症は、「一次性」と呼ばれ、骨折や靭帯の損傷など、明確な原因が認められるものを「二次性」と呼び、分けられています。

「悪循環にならない」ためにも!

変形性膝関節症は、ひざ関節の曲げ伸ばしが悪くなり、
(1)痛み
(2)腫れ
(3)水がたまる
などの症状が起こる病気です。症状が初期であれば、ひざを動かしたときに痛みがあらわれる程度で、歩行を中止するなどひざを休ませれば、たいがいは治ります。

しかし、症状が進んで末期になると、横になっているときでも痛みが続き、ひざに変形が見られるようになります。そうなると、ひざを伸ばすことが難しくなり、外出を控えて、家でもあまり歩かなくなるでしょう。これは悪循環の始まりです。

高齢者が歩く習慣をやめてしまうと、脚の筋肉は急に衰えてしまいます。すると、ひざへの負担も増して、変形性膝関節症はますます悪化することになるからです。そうなるまえに、できるだけ早く治療を受けることが大切です。

原因は「関節軟骨」の摩耗

変形性膝関節症は、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)をつなぐ、ひざの「関節軟骨」がすり減ることで、痛みや腫れなどの症状が起こります。そして関節軟骨の劣化が進むと、大腿骨と脛骨が直接ぶつかり、炎症はひどくなります。

関節軟骨がすり減る原因には、
(1)加齢
(2)体重の増加や肥満
(3)長年のひざの使いすぎ
(4)運動不足
(5)遺伝
(6)骨折
(7)靭帯や半月板の損傷
などが挙げられます。原因は1つとは限らないでしょう。これら複数の要因が絡むことによって、ひざの関節軟骨が傷つき、そこからコラーゲンやプロテオグリカンといった軟骨の細胞を作る成分が失われ、軟骨はさらに摩耗しやすくなります。

ひざにできる「骨のトゲ」が怖い

膝関節は、骨、軟骨、靱帯、筋肉、腱などから構成され、正常な場合は、ひざにかかる負担を
(1)筋肉
(2)腱
(3)靭帯がうまく分散する仕組みになっています。
しかし、変形性膝関節症にかかると、関節が不安定になり、ひざへの負担は、クッションの役目である「軟骨」に過剰なほどかかり、やがて磨耗(すり減り)や変形へとつながります。

変形が進むと、「骨棘(こっきょく:骨組織が増殖してできる骨のトゲ)」と呼ばれる骨の出っ張り(盛り上がり)が、ひざ関節にあらわれます。骨棘は、ひざ周囲の組織を圧迫して、そこで激しい痛みが発生し、脚全体を変形させてしまうこともあります。

変形性膝関節症「治療」と「予防」

わずかな痛みでも、ひざに違和感を覚えたら、できるだけ早めに「整形外科」を受診し、専門医に相談しましょう。診断は、問診や触診に加えて、X線検査やMRI検査によって確定します。変形性膝関節症は、症状が初期・中期・末期によって、治療方法は異なります。

「初期・中期」であれば、痛み止めなどの薬物療法から治療が始まります。症状の程度に合わせて、膝関節への「ヒアルロン酸」注射、筋力強化や関節改善のリハビリテーションが進められるでしょう。症状が「末期」であれば、内視鏡を使った外科手術や、人工関節に置き換える手術が検討されます。

また、変形性膝関節症を予防する、あるいは症状の悪化を防ぐには、いまから次のことを心がけるとよいでしょう。

・日ごろから、「大腿四頭筋(ふとももの前の筋肉)」を鍛える
・食生活を改善し、「体重を減らす」努力を始める
・エアコンや薄着などで、「ひざ関節」を冷やさない

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