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今回は『首や肩の慢性痛は「モヤモヤ血管」のせい?』をご紹介させて頂きます。

40代から増える「モヤモヤ血管」

「モヤモヤ血管」とは、体のなかで不自然に増殖した「異常な毛細血管」のことをいいます。超音波検査などの画像を見ると、細い血管が不規則にぐちゃぐちゃ絡まって、モヤモヤした形をしていることから、その呼び名がつけられています。

規則的できれいに整備された健康な血管とくらべて、モヤモヤ血管は、不規則に絡まっているため、栄養や酸素を運ぶという血管本来の働きを行うことができません。モヤモヤ血管は、腰や肩などの慢性的な痛みの原因として疑われ、40歳を過ぎたあたりから急増するといわれています。

体の栄養を奪う「異常な血管」とは?

しつこい肩こり、四十肩、五十肩、ひざの痛み、腰の痛みなど、数年に渡る慢性的な痛みのある箇所には、「モヤモヤ血管」が多数存在しているといわれています。この分野の第一人者である奥野祐次医師は、「長引く痛みはモヤモヤ結果のせいである」として、書籍などのメディアを通じてその症状や治療法を紹介しています。

私たちの体をめぐる血管の約99%は「毛細血管」です。血管は、酸素や栄養を体のすみずみに運ぶ役割を担っています。そのため、これまでは血管(毛細血管)は、多ければ多いほどよい、という考えがありました。それが栄養を届ける健康な血管であれば、体の組織にとってよいのは間違いないでしょう。

しかし、反対に栄養を奪ってしまう異常な血管も体内には存在します。それが「モヤモヤ血管」と呼ばれる現象です。この現象が肩やひざなどに起こっているため、治りにくい炎症を作っています。病気というよりは、中高年以降にあらわれる「老化現象」の1つと考えられています。

「血管と神経の組み合わせ」が、炎症を作る

人間の体は、新しい血管が作られると、その血管に合わせて「神経線維」も増えています。つまり、血管と神経は一緒に増えるということです。血管と神経という2つの大きなネットワークは、相互依存的にはたらく体の基本的な機構と言えるでしょう。この現象は「血管と神経のワイヤリング」と呼ばれます。

肩や腰などに慢性的な痛みを抱えている人の患部には、「異常な毛細血管」と「神経繊維」の両方が増えていることが、世界各地の研究機関によって明らかになっています。異常な血管と神経繊維の組み合わせが、体の一部に集まると炎症が起こりやすくなります。また、この炎症は治りにくいのが特徴です。

モヤモヤ血管に沿って増えた神経は「C繊維」といってミリオンと呼ばれる脂肪成分に包まれていない、いわば「むき出しの神経」です。C繊維は、痛みの場合、ジンジン、チクチクなど常に脳に信号を送る、という特徴があります。モヤモヤ血管と合わせて伸びる神経繊維(C繊維)は、絶えず痛みの信号を発するため、慢性痛の原因といわれています。

カテーテルで「モヤモヤ血管を減らす」治療

手足、肩、股関節、ひじ、ひざ、腰などに慢性的な(半年以上の)痛みを抱え、症状が改善しないと感じているなら、原因は「モヤモヤ血管」にあるかもしれません。特に、患部が「ズキズキ」、「ジンジン」、「チクチク」痛む人は、モヤモヤ血管の疑いが高いといえます。

モヤモヤ血管に関する専門の「医療機関」や「クリニック」に相談するのがよいでしょう。問診に加え、超音波検査など画像によって診断が確定します。モヤモヤ血管は人間の活動には余分な血管であるため、減らすことで痛みを緩和する治療が行われます。

「運動器カテーテル」を使った治療は、効果が高く、今後さらに普及が広まる治療法となるでしょう。0.6mmのカテーテルを使って患部に薬剤投与し、モヤモヤ血管の働きを止めて、炎症を抑える治療です。局所麻酔を使った約1時間の治療で、入院することもありません。ほとんどの人は、1度の治療で症状が改善するでしょう。

予防は、「姿勢」「運動」「食事」の改善

モヤモヤ血管を防ぐには、普段の生活習慣が大事です。なかでも、
(1)姿勢、
(2)運動
(3)食事
の3つに気をつけるようにします。姿勢の乱れは、緊張した箇所にモヤモヤ血管を作る原因になります。同じ姿勢を長時間せずに、ときどき体をほぐしてリラックスさせるように心がけます。

そして、1日に15分間の「軽い運動」を習慣化します。散歩、ジョギング、自転車などを使って、負担にならない程度に体を動かします。さらに、高カロリーの食事は控えましょう。野菜を多く摂取して、バランスをよい食生活につとめます。

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