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今回は『子どもの心を元気にする「傾聴」について』をご紹介させて頂きます。

そのまま「受け止めながら」聴く

「傾聴(けいちょう)」とは、カウンセリングで活用されるコミュニケーション技能の1つです。相手の話に耳を傾けて、熱心に聴いてあげることを意味します。話をじっくり聴いてもらうことで、自分の感じたこと、思ったこと、がんばったことなどが、人に認められたという「承認欲求」が満たされます。

傾聴を行う人(話を聴く人)は、まず相手の話をすべて受け入れて、そして相手の気持ちや言い分を理解しようと努める姿勢が求められます。そういった姿勢の傾聴が行われると、話した相手の内面には、「受容」と「共感的理解」といった穏やかな感覚が、すうーっと広がることになるでしょう。

そこで最近では、傾聴をコーチングなどの人材開発法に利用するケースが増えています。また、子育てにおいても、傾聴の重要さが注目されています。そこにはテクニックよりも、子どもが話すお話を、そのまま受け止めながら聴いてあげる気持ちが大事になるでしょう。

今日あった出来事を「聴くだけ」でいい

子どもは、自分のことをママやパパに話したがっています。
(1)今日、保育園・幼稚園・学校でなにがあったのか
(2)お友だちとどんなことをして遊んだのか
(3)自分が何を発見したのか
(4)驚いたことはなにか
(5)はじめて知ったことはなにか
など、1日に遭遇したことや、そのときの喜怒哀楽を、自分からたくさん話をしてくれます。

楽しかったこと、うれしかったこと、嫌だったこと、いくつもの体験やそのときの気持ちをママやパパと共有することで、自分は愛されている、自分を大切にしよう、という感情が自然と沸き上がるといいます。

さらに、たとえ嫌なことに遭遇したときでも、帰宅して家族に話すことで、気持ちが落ち着き、「じゃあ、どうしようか」と解決や改善に向けた取り組みに踏み出すきっかけ作りになることもあるでしょう。

忙しいときは「あとでね」でもOK!

朝でも昼でも、忙しい夕方の時刻でも、子どもは場所と時間を構わずに「ねえ、ねえ、聞いて、聞いて」と話しかけてくるでしょう。そこでできれば、手を止めて話を聴いてあげるのが本来なら理想です。

しかし、食事の仕度などで忙しいときは、つい「いま忙しいから、ちょっと待って」と言ってしまいがちになります。おそらく子どもは、つまらなそうな表情を浮かべて、その場を離れてゆくでしょう。「ああ、悪いことしたかな」とママやパパは、気落ちするかもしれません。

そうならないために、
(1)聴きたい気持ちはあること
(2)いま聴けないのはどうしてか
(3)いつなら聴けるのか、を話してあげましょう。
忙しいときは「あとでね」でもよいのです。ママやパパは無理をせずに、できる範囲のなかで「あとで」の約束をして、そしてその約束をしっかり守ることが大事です。

話の内容よりも「そのときの気持ち」を考える

子どもの話を聴く際は、傾聴しようと意気込まず、そして細かなテクニックなど気にせずに、子どもに寄り添って、気が済むまで聴いてあげるよう心がけます。それだけで、子どもは安心して、心が癒されて元気になることでしょう。

子どもは、ママやパパが大好きで、自分に関心を持ってほしいと思っています。しかし、ときには間違った内容のことを話すこともあるでしょう。そのときは、頭ごなしに否定することはしません。子どもがすべて話したあとで、ママやパパの気持ちを率直に伝えるようにします。内容の正しさよりも、子どもが「どんな気持ちなのかな?」という部分に関心を持つことが、私たちは何より大切ではないでしょうか。

「自分を大事にする子」に育つ

子どもは、自分の話をそのまま聴いてもらうことで、自分が思っていること、自分が関心があること、自分の言動などに、ママやパパが関心を示してくれていると素直に歓び、それが自分の存在意義を自然に確認することにつながります。

それがやがて、自分はまわりの人に愛されている、自分のことが大好きになる、といった「自己肯定感」の向上に発展します。その結果、
(1)物ごとに素直に励む
(2)失敗しても自分を責めない
(3)前向きに対処する勇気が持てる
(4)自分の意見をはっきり言える
(5)自分と異なる考えを尊重できる
といった教育に役立つといわれています。

子どもが話をはじめたら、口を挟まずに聴きましょう。子どもが何を感じているのか、そこにどのような思いがあるのか、などを、聴きながらときどき考えてみることです。話が終わったら「話してくれて、ありがとう」と言ってみましょう。きっと「あなたのことが大切よ」というあなたの気持ちが、お子さんに伝わることでしょう。