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今回は『20代女性の多い「色素性じんましん」の原因など‥』をご紹介させて頂きます。

「幼児型」と「成人型」に分かれる

「色素性じんましん」は、乳幼児(生後1ヶ月まで)や、思春期以降の10代から20代の若い女性に多い皮膚の病気です。赤ちゃんに発症するものを「幼児型」、10代から発症するものは「成人型」と呼んで区別されます。

肌を爪や指で掻いたり擦ったり、あるいはお風呂に入ったときなど、皮膚に刺激が与えられることで、かゆみや発疹があらわれます。幼児型の色素性じんましんは、そのほとんどが成人するまでに治るものとされています。一方、成人型は完治が難しく、その症状と付き合いながら時間をかけて治療にあたることが多いでしょう。

急な「ショック症状」に気をつけて!

色素性じんましんでは、皮膚に「薄茶色のシミ(褐色斑)」があらわれます。そのシミは、幼児型ではわずかな盛り上がりが確認され、成人型では盛り上がりがほとんど見られません。褐色斑のサイズは、幼児型のほうが大きくあらわれます。

褐色斑は、上半身にあらわれる傾向が強く、特に、
(1)うなじ
(2)鎖骨から胸にかけて
(3)お腹とその周辺
(4)背中
は発生しやすい箇所として挙げられています。こするなどの刺激によって、患部が赤くなり、かゆみが強く発生します。掻くと「ミミズ腫れ」のような状態になるのが特徴です。さらに症状は、同じ箇所に再発をくり返すことがほとんどです。

ときには症状が悪化し、アナフィラキシーショック(即時型のアレルギー症状によって、生命の危険に陥る可能性のある状態)が起こることがあります。特に入浴時は、皮膚への刺激が多発するため、十分な注意が必要です。頭痛、吐き気、腹痛、動悸、呼吸困難、けいれん、などの兆候や症状が見られたら、すみやかに「皮膚科」、「小児科」、「アレルギー科」を受診しましょう。意識消失を起こしていたら「救急車」を呼びます。

原因が「分かるもの」と「不明なもの」

色素性じんましんは、広い範囲で「肥満細胞腫」や「肥満細胞症」という病気に含まれます。肥満細胞腫(あるいは、肥満細胞症)としての「色素性じんましん」であれば、皮膚の下に分布する「肥満細胞」が、首や胸など特定の箇所で異常に増え過ぎたことが原因として挙げられます。

肥満細胞は刺激を与えると「ヒスタミン」という物質を放出し、皮膚に炎症を起こす特徴があります。皮膚にあらわれた褐色斑の下には、肥満細胞の巣があり、ヒスタミンが放出されることで強いかゆみが発生します。症状がくり返されるため、褐色斑(シミ)はその都度色が濃くなり、やがて目立つようになります。

一方、肥満細胞が関与していないケースでは、現在のところ原因は明らかになっていません。血糖値に急激な変化、虫刺さされのアレルギー、薬剤アレルギー、新陳代謝の機能障害などが原因として考えられています。

長く「付き合いながら」治す病気

色素性じんましんは、皮膚の一部を切除する「病理検査」をして診断を行います。原因が肥満細胞にある場合、幼児型であれば自然治癒を期待し、抗ヒスタミン薬の服用がすすめられるでしょう。多くの子どもが10歳頃までに完治しています。

成人型は自然治癒が難しく、抗ヒスタミン薬の効果も低いのが現状です。皮膚の炎症を抑制する紫外線療法(ナローバンドUVB照射療法)など、個人の症状に合わせて、医師と相談しながら、時間をかけて治療を続けることになります。

一方、原因が明らかにされていない場合は、根本的な治療は現在のところありません。抗生物質などの内服薬を使った対症療法を進めることになるでしょう。

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