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今回は『1歳以下の赤ちゃんは注意して!「百日咳」について』をご紹介させて頂きます。

赤ちゃんの「約10人に1人」が発症する

百日咳は、
(1)連続的で
(2)短く
(3)激しい咳(せき)が起こる「感染症」です。
風邪に似た症状から、次第にけいれん性の咳がひどくなるのが特徴です。乳幼児を中心にどの年代にも発症する可能性があります。

一般的に、子どもの病気というイメージが広まっているとおり、乳児(1才未満)の約14%が発症しています。生後6ヶ月以下の赤ちゃんが感染すると、肺炎や脳症を併発して重症になるばかりか、死亡する例もあります。

感染症でありながら、特に流行期はなく、1年を通して発症が見られます。しかし日本では、春から夏にかけての季節に、患者数が増える傾向があるようです。

特徴的な「レプリーゼ」という症状

百日咳は、症状に大きく特徴が2つあります。1つめは、気管支がけいれんしているような「エホ、エホ」といった短い咳(スタッカートと呼ばれます)が、連続して起こることです。2つめは、咳をしたあとの息を吸い込む際に「ヒュー」という笛の音のような呼吸音(フーピングと呼びます)が聞こえることです。

この2つの特徴のくり返しを「レプリーゼ(あるいは「発作性けいれん性咳そう」)と呼びます。百日咳では、レプリーゼが約30分続くことがあり、その苦しさから、しばしば嘔吐することがあります。

しかし、乳幼児は気管支が未成熟であるため、この特徴的なレプリーゼが目立たないことがあります。そのため発見が遅れるケースが見られます。乳幼児の百日咳は、呼吸困難や低酸素状態からのけいれいなどを引き起こし、重症化して生命の危険を伴うことがあります。

厚生労働省によると、生後6ヶ月以下の赤ちゃんが百日咳にかかった場合、約0.6%の割合で死亡する例があるとしています。「風邪かしら?」という程度の弱い咳でも、それが続くようなら、すみやかに「小児科」や「内科」を受診しましょう。

症状が変化する「3つ」の期間

百日咳は、「百日咳菌」という細菌が、鼻や喉から侵入して、気管支の粘膜などに感染することで発症します。百日咳菌は感染力が高く、患者の家族に免疫がなければ、約80%の確率で感染するといわれています。咳やくしゃみによって、人から人に感染(飛沫感染)します。また、細菌の付着した手、ハンカチ、タオルからも感染(接触感染)します。

百日咳の潜伏期は、通常約7~10日間です。それから約2週間して、風邪のような症状が出始めます。その後、症状は「カタル期」→「痙咳期(けいがいき)」→「回復期」の3つの期間で変化します。

「カタル期」は、咳やくしゃみなど風邪に似た症状が約2週間続きます。「痙咳期」は、咳が悪化し、百日咳の特徴である「レプリーゼ」があらわれる期間です。赤ちゃんは咳がそれほど見られません。しかし突然、呼吸困難などを引き起こす恐れがあります。十分な注意が必要です。痙咳期は、約2〜3週間続きます。「回復期」は、激しい咳が弱まり、ゆっくりと症状が消えてゆく時期です。とはいっても油断は禁物です。「いつまでも咳が治らない」という期間が約2〜3週間続きます。

治療は「抗菌薬」、予防には「4種混合」

病気は早期発見がよいとされますが、百日咳は早い時期での発見が難しい感染症の1つです。一般的には、免疫を調べる検査によって診断が確定します。治療には、マクロライド系の抗菌薬を使用します。服用から約1〜2週間で効果があらわれ、全治には約4週間かかります。市販の咳止めは効果がありません。医療機関を受診して、抗菌薬を処方してもらいましょう。

赤ちゃんの場合、症状のレベルによっては入院することがあります。治療のあいだも、家族内などに二次感染しないよう、
(1)手洗い・うがいを徹底する
(2)マスクを着用する
(3)食器やタオルなどを分けるなど、十分な注意が必要です。
また、百日咳は、学校保健安全法の学校感染症第二種に指定されているため、インフルエンザと同じく、保育園・幼稚園・学校は、出席停止が義務づけられています。

予防には、ワクチンの摂取が効果的でしょう。「4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)」を受けていれば、基本的に感染することはありません。ワクチン接種による免疫効果は、人によって異なりますが、約5~10年といわれています。ある程度の年数が経過すると、抗体は弱くなり、大人になってから百日咳に感染する人も少なくありません。

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