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今回は『「電磁波過敏症」の症状や対策』をご紹介させて頂きます。

ハイテク機器がもたらす現代の病気

電磁波過敏症とは、電磁波によって、頭痛やめまいなど体に不調が起こる症状の総称です。日常生活のなかに、たくさんのハイテク機器が使われはじめた、1980年ごろから急増するようになった病気です。

電磁波過敏症(Electrical Hypersensitivity)は、アメリカの医学者ウィリアム・レイ博士によって命名されたものです。博士自身も、病院のハイテク医療機器が放つ電磁波によって、体調不良に悩んだことから、同じ症状に苦しむ人のために、専門のクリニックを開設しています。

そもそも「電磁波」とは何か?

プラスとマイナスの電極が引き合ったり、反発し合ったりといった電気の力が働いている場所を「電界」といいます。同じように、磁石のN極とS極が引き合いと反発といった磁気の力が働く場所を「磁界」といいます。「電磁波」は、電界と磁界が影響し合いながら、空間を流れる波のことをいいます。

強い電磁波は、以前なら、送電所や変電所といった特定の場所に限られていたものですが、いまや私たちの身近にも、テレビ、パソコン、携帯電話、スマートフォン、電子レンジ、冷蔵庫、乾燥機、IHクッキングヒーター、エアコン、電気ストーブ、ホットカーペットなど、電磁波は多く存在しています。

家電製品をはじめ、身の回りのものが急激に電化されていく状況で、電磁波による人体への影響は年々心配されています。欧米では早くから、防護基準の法律が整備されています。ヨーロッパでは、送電所や変電所など電磁波が多く発生する場所では、学校や病院を作らない規制があります。日本では、2008年に総務省が「電磁界情報センター」を設置し、2010年に改訂された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインの基づく値を基準として設定しています。

はじめは「目、頭、顔」などに症状が出る

電磁波過敏症は、アメリカでは「化学物質過敏症(微量な化学物質によって、健康被害が引き起こされる環境病の1つ)」と並び、その患者数は年々増え続ける傾向にある深刻な病気です。初期においては(1)目、(2)鼻、(3)頭、(4)顔、に次のような異変があらわれます。

・目 :疲れ、痛み、まぶたの腫れ、視力低下など
・鼻 :鼻水、鼻づまりなど
・皮膚:発疹、赤みなど
・頭 :頭痛、記憶障害、うつ症状など
・顔 :湿疹、むくみ、ほてりなど

さらに中度以上の症状では、呼吸困難、動機、めまい、耳鳴り、吐き気、集中力低下、倦怠感、疲労感、不眠、手足のしびれ、筋肉や肩の痛み、強い不安や緊張、などが起こります。症状はさまざまで、特有の症状がないため、電磁波過敏症の認知が低い環境では、症状の酷似から、自律神経失調症、ノイローゼ、神経症、気分障害などと混同されることがあります。

症状が出たら「心療内科」に相談を

電磁波過敏症は、医学的に正式な病気とは認定されていません。医学界では、一定以上の患者にあらわれる症状として理解するものの、病気に準じた状態として見ています。したがって、診察によって「磁波過敏症」を判断するのは簡単ではありません。しかし、専門家によると、日本では、約650万人の患者がいると推定されています。

電磁波過敏症は正式な診断名でないため、具体的な診療科はありません。それでも、総務省の電磁界情報センターでは「心療内科」をすすめています。しかし、今のところ特定の治療方法はなく、対症療法と経過観察が進められるでしょう。今後の研究が期待されるところです。

「電磁波から離れた時間」を確保する

電磁波は目に見えないため、症状と原因を結びつけて特定するのは簡単ではありません。しかし、いずれ正式な病気として認定されることが予想されます。そうなると、具体的で効果的な治療や予防対策が確立されることでしょう。

現在では、電磁波をなるべく受けないようにするための「予防グッズ」が多数開発されています。吸収シート、シールドマット、カーテン、エプロンなどを積極的に試してみるとよいでしょう。そして、できれば定期的に「電磁波から離れた時間」を確保する習慣を持つことが大事です。

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