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今回は『赤ちゃんの痔ろう、「肛門周囲膿瘍」とは?』をご紹介させて頂きます。

「男の子に多い」赤ちゃんの痔ろう

肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)とは、肛門のまわりが赤く腫れて膿がたまる病気です。「痔ろう」とも呼ばれます。肛門周囲膿瘍は、生後すぐから1歳くらいまでの男の子の赤ちゃんに多くあらわれる症状です。女の子にはほとんど見られません。

赤ちゃんは排便の回数が多いうえに、肌がデリゲートで、さらに1日中オムツをしていることで、おしりは蒸れやすくトラブルにかかりやすいものです。そこで肛門周囲膿瘍は、「オムツかぶれ」とまちがえやすく、治療が遅れるケースが多々あります。

症状が悪化すると、外科手術による治療が必要になることがあります。そうならないためには、肛門周囲膿瘍に関する知識を持ち、症状の疑いが見られたときは、すみやかに「小児科」や「小児外科」を受診する心構えが必要でしょう。また、普段はオムツ替えや入浴のときなど、赤ちゃんのおしり様子には、十分な注意を払うことが大事です。

「つらい痛み」と「発熱」が起こる

肛門周囲膿瘍では、肛門の横(左右どちらか)にツヤ(光沢)のある腫れが見られたら、その「可能性が高い」との疑いがあります。これは、だいたい肛門の周囲が化膿して、膿が溜まっている状態といえるでしょう。やがて、肛門のまわりが真っ赤に腫れあがる様子が見られたら、明らかに「肛門周囲膿瘍」の症状です。

腫れている患部の中心には、おできのような「白いしこり」があり、熱感とともにズキズキした痛みが感じられます。痛みはつらく、オムツなどに軽く触れるだけでも強い刺激が起こるため、赤ちゃんは激しく泣いて、機嫌が悪い状態が続くことでしょう。

さらに、体がだるく、約38~39度の発熱を起こす赤ちゃんもいます。しこりが圧迫されると開いた穴から「膿」が排出されます。その後、肛門の周囲が腫れたり、膿がでたりを繰り返し、患部が広がるのが特徴です。放っておくと、炎症がおしり全体に広がることがあります。

排便時の「大腸菌」が原因?

肛門周囲膿瘍は、排便のときに、大腸菌などの細菌が、肛門の奥にある直腸の横穴(陰か)に入り込み、膿がたまることで起こります。また、赤ちゃんは免疫力がまだ十分に働いていないことも、発症につながると考えられています。

そして、下痢をして、免疫力が低下した状態では、細菌が「陰か」に侵入しやすく、肛門周囲膿瘍にかかる可能性が高いことがわかっています。他にも、生まれつき「陰か」が大きい体質の子どもは、肛門周囲膿瘍の発症リスクが高くなるといわれています。

「約90%の赤ちゃん」は、1歳までに治る

子どもの肛門周囲膿瘍は、ほとんどが「自然に治る」とされています。しかし、完全に治るまでの経過は長く、患部の腫れと膿の排出をくり返しながら、少しずつ症状が低下し、治癒までには、およそ1年かかるケースもあります。不安な気持ちもあるでしょうが、あせらず、気長に治療することが大事です。およそ1歳までには、約90%の赤ちゃんが完治しています。

医療機関は「小児科」や「小児外科」を受診します。治療には「膿を溜めない」ことが大事です。肛門周囲膿瘍の診断が確定すると、初回の診察で、皮膚に少し穴を開けて溜まっている膿を外に出す処置が行われるでしょう。自宅でも、ママやパパが患部(しこり)を圧迫したり、しぼったり、つまんだりして、できるだけ膿を排出します。この処理が回復を早めます。

症状の程度によっては、抗生物質の服用がすすめられます。ただし、軟便を引き起こす可能性もあるため、抗生剤の服用には慎重な姿勢が必要です。腸内環境を整えて、赤ちゃんができるだけ下痢をしないように心がけます。そして、とにかく、肛門やその周囲を清潔な状態に保つことが大事です。

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