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今回は『赤ちゃんの下痢が続く「乳糖不耐症」について』をご紹介させて頂きます。

大人でも「4人に1人」は乳糖不耐症

乳糖不耐症は、母乳などに含まれる「乳糖」が、体内で分解できなくなることで、赤ちゃんが下痢や消化不良を起こす病気です。日本人には多い症状で、決してめずらしい病気ではありません。大人でも乳糖不耐症の発症率は、4人に1人といわれています。

周囲に「牛乳が苦手」という人はいないでしょうか。牛乳を飲むと、約30〜60分してお腹がゴロゴロしてくる、お腹が張る、腹痛が起きる、下痢をするなどの症状が、毎回みられるという人は、おそらく「乳糖不耐症」の可能性が高いでしょう。

なぜ、母乳で「下痢」が起こるのか?

赤ちゃんが飲む母乳には、
(1)炭水化物
(2)脂質
(3)たんぱく質
(4)ミネラル
(5)ビタミン
などの栄養素が含まれています。なかでも母乳に含まれる炭水化物(糖質)は、牛乳の1.5倍と多く、そのことが赤ちゃんの脳(中枢神経)の発育に大きく影響しています。

母乳に含まれる糖質の約95%は「乳糖」という物質です。乳糖を摂取すると、小腸にある「ラクターゼ」と呼ばれる乳糖分解酵素によって、ブドウ糖(グルコース)とガラクトースに分解されて小腸粘膜から摂取されます。

ところが、体内に「ラクターゼ(乳糖分解酵素)」が不足していると、乳糖は分解されないまま大腸に移動します。すると腸内の浸透圧が上がり、水分を引きつける性質から、腸壁を通って水分の移動が起こり、便が柔らかくなります。また、大腸にある乳糖は、腸内細菌によって発酵をはじめます。そして、炭酸ガスなどを発生させて腸を刺激し、下痢を引き起こすのです。

乳糖不耐症は「どうして」起こる?

乳糖不耐症は、ラクターゼ(乳糖分解酵素)が、
(1)生まれつき不足がちである
(2)産生される量が少ない
(3)細菌・ウイルス感染による胃腸炎によって不足していることで、酵素活性の働きが悪く、小腸での乳糖分解が十分でないために下痢や不消化が起こります。下痢が長引く、下痢の回数が増える、体重が増えない(発育不全)、嘔吐することがある、などの症状が起こります。

母乳やミルクを飲んでから、30~60分後に下痢が起こるようなら「乳糖不耐症」の可能性が高いでしょう。しかし、赤ちゃんの便はもともと水っぽい便(水性便)のため、下痢であるかどうかの見分けが難しいところです。便が鼻につくほど酸っぱい臭いであるときは、下痢をしていると見てよいでしょう。また、お腹が膨らんでおならが普段より臭いときも注意が必要です。すみやかに「小児科」の医師に相談しましょう。

「母乳」と「ミルク」で違う治療方法

血液や便の検査によって、診断が確定します。母乳の赤ちゃんには「乳糖分解酵素薬」を服用する治療が、ミルクの赤ちゃんには「無乳糖ミルク」に切り替える指導が行われるでしょう。離乳食を始めている赤ちゃんには、「乳糖分解酵素薬」の服用と、特定品目の食事制限が試されることになります。

いずれも、症状は約1週間〜1ヶ月で回復します。早ければ、下痢は1日で治ることがあります。症状が改善すると、身長や体重など発育の遅れは取り戻せるでしょう。

症状が回復するまでに、脱水症状やお尻かぶれに十分に注意を向けることが大事です。その後、乳製品とどのように付き合っていくかは医師とよく相談して判断しましょう。

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