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今回は『血管と骨の健康に役立つ「ビタミンK」とは?』をご紹介させて頂きます。

「水に溶ける」ビタミンと「脂に溶ける」ビタミン

ビタミンは、体を作ったり、エネルギーの元になったりする栄養素ではありませんが、私たちの「体の調子を整える」そして「健康な体作りを支える」ためには欠かすことのできない成分です。

ビタミンは、現在13種類存在しています。それらは
(1)水に溶ける「水溶性ビタミン」と
(2)油脂に溶ける「脂溶性ビタミン」に分けることができます。
この2つは、体への吸収の仕方、蓄積方法、代謝などに違いがあります。

油になじむ「ビタミンK」

水溶性ビタミンは水に溶けるため、食べ物から摂取した場合、腸の表面から直接血管に入るなど吸収されやすいのが特徴です。しかし、尿に溶けやすいことで、体内にあまり蓄積されず、過剰な分は排出されてしまいます。少ない量を何度かに分けて摂るのがおすすめです。水溶性ビタミンは、ビタミンB1、B2、葉酸、ビタミンCなどが該当します。

脂溶性ビタミンは、油になじむ性質があるため、油を使った料理といっしょに食べることで吸収率がアップします。サプリメントでの摂取には向いていないでしょう。ビタミンA、D、Kが該当します。すぐに体外に排出されることはなく、肝臓や脂肪組織に貯蔵されやすいのが特徴です。しかし、過剰摂取によって、頭痛や吐き気などの症状を引き起こす可能性が心配です。

血液を「固める」から「K」

ビタミンをはじめに発見したのは、日本人の鈴木梅太郎博士です。1911年(明治44年)にビタミンBを発見しました(発見当時は「オリザニン」と命名しています)。同じ時期にポーランドのカシミール・フンク博士もビタミンBを発見しており、「生命(ビタ)活動をつかさどるアミン」の意味で「ビタミン」という言葉を作りました。

1913年にはアメリカのエルマー・マッカラム博士が脂溶性のビタミンを発見したことで、これをビタミンA、鈴木博士やフンク博士が発見した成分をビタミンBと分類しました。そしてそれ以降に発見されたビタミンは、アルファベットが使われるようになっています。

ビタミンKは、1934年にデンマークのカール・ピーター・ヘンリク・ダム博士によって発見されています。血液を固める特徴があることから、オランダ語の「凝固(koagulation)」の頭文字をとって「ビタミンK」と名付けられました。

「出血を抑える」と「丈夫な骨作り」

ビタミンKは、化学名は「フィロキノン」といいます。これまでにK1からK7かが存在していますが、天然のビタミンKは、K1とK2の2つです。ビタミンK1は緑黄食野菜など植物の葉緑体で作られ、ビタミンK2は納豆や乳製品など微生物によって作られます。ビタミンK3からK7は、合成された化合物のビタミンです。

ビタミンKの主な働きは、
(1)出血した血液を止めること
(2)骨を丈夫にすることです。
切り傷などが起きても自然に出血が治まるのは、プロトロンビンという物質が重要な働きをしますが、その物質を促進するのが「ビタミンK」です。さらにビタミンKは、血管のなかでは血液が固まるのを防ぐ働きをします。

ビタミンKは、コラーゲンとカルシウムを結び付ける特徴を活かして、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨にカルシウムを沈着させて、丈夫な骨を作る役割を担っています。

「赤ちゃん」や「妊娠中」は不足がち

ビタミンKは、腸内細菌でも少量(1日あたり約1.0~1.5mg)作られるため、極端に不足することは滅多にありません。しかし、腸内の働きが未熟な赤ちゃんや、妊娠中や出産直後の女性は不足がちになるため、意識して食べ物から摂取することが必要です。

ビタミンKが不足すると、鼻血が出やすくなる、ケガなどで出血すると、血が止まりにくくなる、といった症状があらわれます。また、ビタミンKの欠乏が慢性化すると、骨が弱くなり、骨粗しょう症(骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気)をまねく恐れがあります。

ビタミンKは「野菜・海草・納豆」から

ビタミンK1は、緑黄色野菜、海草類に、ビタミンK2は微生物を含む食品に多く含まれています。ビタミンKは、熱に強く、油といっしょに摂ると効果的であるため、炒める、揚げるなどの料理方法がおすすめです。また、カシューナッツなど油分を含むナッツ類を混ぜるなど料理に工夫をしても素敵です。

ビタミンKを含む食品には、納豆、モロヘイヤ、アシタバ、オカヒジキ、小松菜、ほうれん草、春菊、ニラ、パセリ、シソ、海苔、ワカメ、ひじき、鶏肉が挙げられます。