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今回は『まぶたがピクピクする「眼瞼痙攣」について…』をご紹介させて頂きます。

まぶたの「開閉スイッチ」が壊れる?

眼瞼(がんけん)とは「まぶた」のことです。「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」は、まぶたを閉じるときに使う眼輪筋(がんりんきん)という筋肉が過剰に緊張していることから、まぶたを開け閉めするスイッチ機能が故障しているような状態です。

そのため、無意識のうちにまぶたがピクピクと痙攣(けいれん)を起こす症状があらわれます。一般的には、両方の目に起こります。初期には次のような症状を自覚します。初期症状がドライアイに似ていることから、正しく診断されないことがあるようです。

・まぶたや目の周辺に不快感を覚える
・光が異常にまぶしいと感じることが多い
・まばたきの回数が異常に多くなる
・目を閉じていた方が楽に感じる
・すぐに目が乾いてくる

放っておくと「目が開かない」状態に!

眼瞼痙攣は、様子観察で自然に治ることはほとんどありません。「テレビやスマートフォンの画面でも異常にまぶしい」、「まばたきの回数が多くなった」と感じるようなら、眼瞼痙攣の初期症状を疑ってよいでしょう。

症状の進行が早い病気ではありませんが、まぶたの痙攣が起こりはじめると、症状は中度から重度といってよいでしょう。まぶたの痙攣は、一瞬だけピクピクッと起こる人もいれば、痙攣が長い時間続く人もいます。

そこから放っておくと、「まぶたが自然に下がってくる」、「目が開けられなくなる」、「指を使わないと目が開けられない」といった状態にまで症状は進み、日常生活に大きな支障があらわれます。実際、突然まぶたが閉じてしまったことで、歩行中に人や物にぶつかってケガをした人や、怖いケースでは、自動車や自転車の運転中にまぶたが自然に閉じて事故を起こした人もいるくらいです。

「中高年層」に多く見られる

眼瞼痙攣は、40歳以上の中高年層に多くみられる病気です。患者の男女比は、女性が男性の約2倍といわれています。つまり、眼瞼痙攣にかかっている人の70%近くは女性ということです。

日本眼科学会によると、日本には軽症の人も含めて約30~50万人以上の患者がいると推定されています。しかし、ドライアイや眼精疲労と診断されることも多く、実際は相当な患者数がいると考えられます。

眼瞼痙攣は、痙攣がまぶたで起こっていますが、まぶたの開閉を制御しているのは脳の神経回路です。したがって、この病気の原因は、脳の深部にある「大脳基底核(運動調節、認知などの機能を担っている神経核の集まり)」に問題があると考えられていますが、現在のところ詳細は明らかになっていません。

「まぶたへの注射」で症状は改善する

眼瞼痙攣の診察は、痙攣が起こっていれば診断は明らかです。痙攣がないときは、何通りかのまばたきを医師が確認することで、眼瞼痙攣かどうかの判断はだいたいつくでしょう。ドライアイの治療で改善しないことから、「眼瞼痙攣」であることが判明するケースもあります。

治療については、原因が不明であるため、「ボツリヌス療法」などの対症療法(症状を和らげる治療)が一般的です。ボツリヌス療法は、美容業界では「シワ取り」に使われる注射です。日本では1997年から、眼瞼痙攣治療での使用が認められています。

ボツリヌス菌が作り出す「A型ボツリヌストキシン(天然のタンパク質)」を、眼輪筋(まぶたを動かす筋肉)に約6ヶ所注射して、緊張したまぶたの筋肉を和らげ、神経の働きを抑えることで、症状が改善します。効果は2〜3日であらわれ、約3〜4ヶ月続きます。ボツリヌス療法を受けた患者の約80%が、劇的な改善を得ています。

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