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今回は『生薬配合の「生薬」ってなに?』をご紹介させて頂きます。

生薬といえば「漢方薬」

「生薬配合」というと、多くの人は「漢方薬」を思い浮かべることでしょう。生薬配合の胃腸薬や便秘薬などはドラッグストアーでも市販されています。漢方薬は中国の医学というイメージを持っている人もいるようですが、それは誤りです。

江戸時代の後期に、中国の医学(漢の時代の医学)を基本に、日本人の体質や風土に合わせて作られた「日本の医学」なのです。つまり日本が発祥です。

ストレス社会には「漢方」が有効?

西洋医学が「体の障害部分を改善する、取り除く」という局所的な治療法であるのに対して、漢方薬は、病気よりも病人を診るという姿勢で、病気の原因、症状との関係性、体質など、体全体を治療対象とする総合治療です。

外傷や感染症など、即効性を必要とする治療には西洋医学が適しています。ところが時代の経過で人々の生活スタイルは大きく変化し、私達の健康は、アレルギーやストレスに影響される病気が増えています。

複雑な病気にこそ、必要な薬

慢性疾患、生活習慣病、精神疾患、神経疾患など、原因が複雑に絡み合って起こる病気は、時間をかけて体のバランスを見直し、整えていく治療が必要です。漢方薬は、西洋医学の薬にくらべて、ゆっくり作用するものが多く、長期管理が必要な病気に適しているといえるでしょう。

漢方薬には、「人間の体は自然の一部であり、自然と繋がっている」という考え方があります。その土地の気候、気象、地形、地質など自然と常に連動しながら「本来の健康」を目指すものです。そのため、薬も自然界に存在するものであることが大事です。

「自然界に存在する」お薬

生薬とは、植物・動物・鉱物など、自然界に存在しながら、薬効成分を含む物質(天然の薬)をいいます。漢方薬の「原料」が生薬です。生薬の約90%は植物性で、その他の約10%は動物性や鉱物性のものが使われています。

生薬は、手を加えることなく、自然界に存在するそのままの形で薬として使え、効果が発揮されることが大事です。服用しやすくするために、切断する、破砕する、煎じる、乾燥させる、など調製はしながらも、性質は変えないことが、生薬の定義です。

「えっ、これもなの?」おもな生薬

植物性の生薬は、葉、根、茎、木の皮、種子、果実などを乾燥させて粉末にしたり、煎じたりして飲むことが多いでしょう。生薬である植物は「薬用植物」と呼ばれることがあります。高麗人参、葛根、サルノコシカケなどは、よく知られた生薬です。

動物性の生薬は、スッポンの甲羅、タツノオトシゴ、鹿の角、ヤモリの内臓、牛の胆のう、ヒグマの胆汁、人の胎盤、蝉の抜け殻、牡蠣の貝殻などが挙げられます。鉱物性は、石膏、赤鉄鉱、滑石などがあります。

生薬は「自然治癒力の向上」が期待できる

生薬は、漢方だけでなく古くから伝わる「民間薬」や「家伝薬」にも使われています。いずれも服用によって、自然治癒力の向上、慢性的な体質の改善が期待できます。

生薬を使った漢方薬は、西洋医学のエビデンスとの整合性が指摘されることもあります。しかし、私たち東洋人の生活の長い歴史のなかで、くり返されてきた試行錯誤が「漢方医学」を発展させ、さらに「生薬」を原料とする漢方薬を生んだともいえるでしょう。

私たちが暮らすストレスの多い現代社会では、専門医や薬局と相談しながら、西洋薬と漢方薬を上手に併用するのがよいのかもしれません。

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