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今回は『北欧から来た、更年期障害治療「HRT」について…』をご紹介させて頂きます。

女性の「ホルモン環境」は変化する

女性は男性にくらべて、体内のホルモン環境は生涯を通じて大きく変化します。思春期、成熟期、更年期と女性ホルモンの影響を受けて、体と精神は変化していきます。

そして、45歳を過ぎた頃から、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が急激に減少し、そのことが原因でホルモンバランスが乱れて「更年期障害」の症状が起こりやすくなります。

更年期障害の「新しい」治療法

更年期の女性は体と心が不安的になる時期です。それは、誰にでもやって来る体の転換期といえるでしょう。しかし、さまざまな症状を深刻化させないためにも、更年期障害の治療法について、あらかじめ知識を持っておくことは大事です。

「HRT」という更年期障害への新しい治療法が、日本で普及しはじめています。HRTは、Hormone Replacement Therapyの略で、日本では「ホルモン補充療法」と名前が付けられています。

HRTは、減少したエストロゲンを補充することで、ホルモンの変化の幅をゆるやかにし、ホットフラッシュ(体のほてり・のぼせ)、大量の発汗、睡眠障害などに悩む、更年期障害の根本的な治療法として期待されています。

北欧では約70%、豪州では約60%

HRTは、北欧や欧米を中心に多くの国で、更年期の女性に処方される治療法として常識化しつつあります。 北欧での普及率は約70%、オーストラリアでは約60%、欧米では約40%であるのに対して、日本でHRTを受けている人は、約2〜3%といわれています。

厚生労働省や医療機関、さらにメディアによる啓蒙活動が弱いのかもしれません。また、
「人工的にホルモンを体内に補充する」ことに抵抗感を持つ人もいるようです。さらに、10年以上前「HRTと乳がんのリスク」についての記事を、メディアが過剰に報道したことで、日本のHRT普及は大幅に遅れたように思われます。

HRTで「乳がんのリスクは減る」

発端は、アメリカで2002年に発表されたWHI(Women’s Health Initiative:アメリカの国立衛生研究所による研究プログラム)が、「5年以上HRTを続けると、乳がんのリスクが26%上がるという」という報告を発表したことにあります。一部のメディアでは「HRT = 乳がんになる」という行き過ぎた解釈を流していたほどです。

ところが、このデータに協力した約1万6000人の女性は、そもそも喫煙率や肥満率が高く、乳がんのリスクが高い人たちであることが、あとで分かっています。

そして、2006年に厚生労働省が行った、日本女性を対象とした調査結果では「HRTを受けることで、乳がんのリスクは60%減る」という研究結果を報告しています。しかし、この事実を、残念ながら、日本のメディアはあまり報道しませんでした。

治療薬は「3つ」の種類から

現在、日本のHRTの治療薬では、
(1)飲み薬
(2)貼り薬
(3)塗り薬
が医師の処方する薬として、健康保険が適用されています。

その効き目には個人差はありますが、多くの人は、HRT薬を服用することで、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や発汗などの自律神経失調症状が、約1〜2週間でなくなるといいます。
不眠、イライラ感、うつ、疲労感など精神・神経の症状も、約1〜3ヶ月でかなりの改善が見られ、1年の経過でほとんど消失するようです。その他にも関節や腰の痛み、骨粗鬆症の予防にも著しい効果があらわれています。

気になる「副作用」について…

HRTは、治療開始の初期(約1~2ヶ月)に、
(1)胃のむかむか
(2)乳房や下腹部の張りや痛み
(3)不正性器出血
(4)おりもの、などの症状が、副作用として起きることがあります。
副作用は、しばらくすると改善することが多く、医師と相談しながら、薬の種類や量を変更して、自分の体にあった治療を探すことが大事です。

HRTの治療を続けている期間は、症状の改善状態や副作用の状態などを確認するためにも、定期的な検診が必要です。

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