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今回は『カフェインを摂ると「目が覚める」のはどうして?』をご紹介させて頂きます。

眠気覚ましにはコーヒーがいちばん?

昨日の疲れが残っている朝や、集中して仕事や勉強を片付けたいとき、長い時間の会議や自動車の運転など、「眠気覚まし」が必要なときには、一杯の熱いコーヒーが役立ちます。コーヒーを飲むと眠気が覚め、頭がシャキっとして集中できるので、仕事や授業がはじまる前や、ランチのあとには欠かせないという人は多いことでしょう。

では、なぜコーヒーを飲むと眠気が覚めるのでしょう。多くの人が知るように、「カフェイン」が体内に入るからですが、はたしてカフェインが体内でどのように作用しているのかは、あまり知られていないところです。

眠気を誘う「睡眠物質」とは?

私たちが「眠気」を感じるのは、体内にある「睡眠物質」が影響しています。睡眠物質とは、脳内で生成される物質の1つで、
(1)睡眠欲求を高める
(2)自然な睡眠を引き起こすといった特徴をもっています。

現在、睡眠物質は約40種類ほど確認されており、体内のいろいろな場所に存在するといわれています。その代表的なものが「アデノシン」という睡眠物質です。

「睡眠物質が溜まる」と眠くなる

私たちが食事から摂取した炭水化物、たんぱく質、脂肪は体内で消化吸収され、やがて「アデノシン三リン酸(ATP)」というエネルギー分子を作ります。ATPは、筋肉を動かすときのエネルギー源となる物質です。

起きている(覚醒している)ときに体の筋肉を動かすと、ATPは代謝され、「アデノシン」に替わります。体のエネルギーが燃焼されて「燃えがら」が残る(薪が炭に変わる)ようなイメージでしょう。日中、体を動かすたびに、体内ではアデノシンが溜まっていきます。

アデノシンが体内に一定以上蓄積される、ということは、それだけ体を使っていることになります。そして、疲労が溜まっていることの表れとも言えるでしょう。睡眠物質である「アデノシン」が体内に増えることで、疲労回復を目的に、睡眠欲求が高まります。そして、欲求の高まりがピークに達すると、自然な睡眠を引き起こすことになります。

脳内に「ヒスタミン」が出ると覚醒する!

さて、私たちの脳をもっとも強力に目覚め(覚醒)させるのは、「ヒスタミン」と呼ばれる物質です。ヒスタミンが大脳に放出されると、幾多の不安が和らぎ、脳が覚醒されます。ヒスタミンが脳内に出ているときが、私たちの日中の状態です。

そして夜になると、体内ではアデノシンがそろそろ溜まってきています。体には疲労がうかがえるでしょう。アデノシンは、ヒスタミンの放出を抑える特徴があります。アデノシンはヒスタミンを抑えることで脳の覚醒作用を弱めます。それと同時に、自ら(アデノシン)は睡眠物質であるため、眠気がやって来るのです。

花粉症などアレルギー性鼻炎の治療に「抗ヒスタミン薬」を使うことがあります。服用すると眠くなるのは、脳内のヒスタミン(覚醒作用)が抑えられるからです。

なぜ、「カフェインを摂る」とシャキッとなるのか?

長い話が続きましたが、ここからいよいよ「カフェイン」の登場です。コーヒーには、カフェインという興奮作用のある化合物が含まれています。カフェインは、アデノシン(睡眠物質)が、ヒスタミンの持つ覚醒作用を抑えるときの、最初のステップを邪魔(ブロック)します。そのため、ヒスタミンは脳内に放出され、私たちの脳はシャキッと目覚めるのです。

カフェインを含むコーヒーは、飲んでいから約30分の経過で覚醒効果があらわれます。その効果は約4~5時間続きます。ホットコーヒーとアイスコーヒーでは、効果のあらわれる時間や継続時間に違いがあります。ホットにくらべてアイスは、効果が出るのが1時間ほど遅いことがわかっています。目覚めの一杯は、熱々のコーヒーを飲むのがよさそうです。