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今回は『ノンホモ、パスチャライズドなど「牛乳の種類」を知ろう!』をご紹介させて頂きます。

成長に「欠かせない」栄養食品

子どもが大好きな飲み物といえば「牛乳」です。一年を通して、家庭はもちろん、保育園・幼稚園・小学校などでもおいしく飲んでいることでしょう。

牛乳は、幼少期の子どもの健康や成長に欠かせない栄養食品です。手軽にバランスよく栄養が摂取できるのは、大変ありがたいものです。それに温めて(加熱して)も、栄養価がほとんど変わらないので、シチューやスパゲティなど料理に入れてもオーケーです。

牛乳は「三大栄養素 + ミネラル + ビタミン」

人間と牛乳の関わりは古代から続いています。古代のエジプト人やメソポタミアのシュメール人は、牛を飼って乳搾りをし、牛乳を飲む様子が、壁画に描かれています。人の体をよくする飲み物として、古くから親しまれていたことが分かります。

さて、牛乳の栄養価について、あらためて確認しておきましょう。まず、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウムなどミネラルが豊富に含まれています。そして、体を作るための基本で、三大栄養素と呼ばれる「タンパク質」、「脂質」、「糖質」も入り、子どものエネルギー源には適しています。

さらに、実はビタミンも豊富で、ビタミンB1、B2、C、D、Eなどが含まれています。つまり、牛乳を飲むことで、三大栄養素、ミネラル、ビタミンが一度に摂取できるというわけです。

そもそも「牛乳とは」何か?

牛から搾乳したばかりの乳は「原乳」といいます。そして原乳から不純物を取り除くと「生乳」です。酪農家は生乳を乳業会社に販売しています。乳業会社は、生乳に手を加えて「牛乳」を作っています。

スーパーマーケットなどで販売され、一般的に「牛乳」といわれるものは、現在「種類別」で分けると、次の4つが存在しています。パッケージの裏を確認してみましょう。ご家庭で愛飲しているのは、どの種類でしょうか。

(1)牛乳
生乳を殺菌しただけのものが「牛乳」と呼ばれます。生乳100%で、他の成分は一切加えられていません(成分無調整)。成分は厚生労働省によって基準が定められており、乳脂肪分3%以上、無脂乳固形分8%以上含んでいることが条件です。

(2)成分調整牛乳
成分調整牛乳は、生乳から、乳脂肪分、無脂乳固形分、水分などの成分の一部を取り除いたものです。原料は生乳のみで、無脂乳固形分は、牛乳と同じで8%以上あります。

(3)低脂肪牛乳
低脂肪牛乳は、生乳から乳脂肪分の一部を取り除き、低脂肪にしたものです。牛乳と同じく、原料は生乳のみで、他の成分は加えられていません。乳脂肪分が0.5~1.5%と低く、それ以外の成分は牛乳とほとんど同じです。

(4)無脂肪牛乳
無脂肪牛乳は、乳脂肪分を0.5%未満にまで取り除いたものです。原料は生乳だけで、乳脂肪分以外の成分は牛乳とほとんど同じです。

「ホモ牛乳」はお腹を壊しやすい?

ホモとは、ホモジナイズ(均一化)の略です。生乳をそのまま置いておくと、上のほうにクリーム層ができます。これは乳脂肪のかたまりで、「脂肪球」といいます。脂肪球を細かく砕き、成分を均一にする工程を「ホモジナイズ」といいます。生乳での脂肪球は、3~7ミクロンですが、ホモジナイズすることで1ミクロン以下のなります。

乳業工場にとっては、ホモジナイズを行うことで、高温殺菌などの熱処理がスムーズに進みます。日本では市場の「高温殺菌牛乳」が多く販売されているため、ホモジナイズを行うと、生産効率が上がります。

一方、消費者から見ると、脂肪球が均一化されたホモ牛乳は、脂肪球が小さくなった分、消化吸収がよくなる(時間がかからない)というメリットがあります。しかし、タンパク質などが急速に体内に取り込まれるため、お腹を壊しやすいことがあります。

なぜ、健康志向の人は「ノンホモ牛乳」を選ぶの?

ノンホモは、ホモジナイズしていない、つまり、脂肪球を均一化していない牛乳です。脂肪球を壊していないので、生乳に近いおいしさを得ることができます。また、ゆっくり消化吸収され、お腹を壊しにくいという特徴があります。上のほうに浮いたクリーム(乳脂肪分)は、コーヒーに入れるなど、別の楽しみもあります。

今から40年以上まえ、アメリカの心臓専門医が「ホモジナイズド牛乳に含まれるキサンチンオキシターゼという酵素が心臓病を引き起こす恐れがある」と発表しています。この説に異論をとなえる医師もいますが、健康を考え、ノンホモ牛乳を選ぶ人もいます。

パスチャライズドって何ですか?

日本で販売されている牛乳の約97%は、「ステアリライゼーション」という熱処理が施されています。これは「超高温殺菌法」とも呼ばれ、120~130℃の熱を牛乳に2秒間加える方法です。

IDF(国際乳業連盟)の基準では、ステアリライゼーション処理された牛乳は航空機の機内食用や遠洋航海の食用などとして利用する保存用牛乳です。アメリカ、イギリス、オーストライア、その他北欧では、一般の消費者がステアリライゼーション処理された牛乳を飲むことはありません。超高温の熱処理によって、栄養価は低下し、乳酸菌などの善玉菌やビタミンは失われ、カルシウムも変質しているからです。

一方、牛乳本来の味や栄養価をそのまま残すために行うのが、パスチャリゼーションという熱処理です。「低温殺菌法」とも呼ばれ、63~65℃の熱を30分間、もしくは72~75℃の熱を15秒間加える殺菌方法です。

世界基準で見ると、牛乳といわれる品質は「低温殺菌法」によって処理されたものをいい、「パスチャライズド牛乳」あるいは「パス牛乳」と呼びます。日本では健康を大事に考える人は、「ノンホモ」で「パスチャライズド」の牛乳を選ぶでしょう。