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今回は『がん治療に変化? 高齢者の「抗がん剤治療」の効果はどこまで?』をご紹介させて頂きます。

がん細胞は「毎日5000個」作られる?

私たち人間の体は、約60兆にもおよぶ細胞から構成されています。細胞は新陳代謝を繰り返し、常に新しく生まれ変わることで、人間の生命は維持されています。古くなった細胞は死んで、元気な細胞が分裂し、1日で約1兆個の細胞が入れ替っているといいます。

細胞分裂は、遺伝子をもとにコピーされます。しかし、喫煙や飲酒、あるいは食物から摂取した「発がん性物質」などの影響で、分裂の際に「コピーミス」した異常な細胞が作られることがあります。これが「がん」の元になります。

異常な細胞は、健康な人でも1日約5000個できるといいます。そしてそのほとんどは、免疫細胞の攻撃によって死滅します。ところが、生き残った細胞があると、それは「がん細胞」として活動をはじめます。がん細胞は分裂をしながら無秩序に増殖し、長い年月をかけて次第に体のさまざまな臓器や組織を蝕んでいくのです。

がん治療は「なにが」怖いのか?

がんの治療は、(1)手術、(2)放射線治療、(3)抗がん剤治療(化学療法)が一般的です。そして、がん細胞の活動範囲が広くなった患者には、抗がん剤治療が手段としてはほぼ唯一の選択肢とされるでしょう。

がんは、日本人の死因第1位として長年続いています。がんは初期であれば手術などによって治すことができる病気ですが、恐ろしいことに、初期には自覚症状がなく、発見が遅れることで、患者さんを苦しめることでしょう。

がん細胞が進行すると、手術を行うだけでなく、抗がん剤治療をすすめられることがあります。抗がん剤治療は、化学物質によってがんの増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療です。しかし、がん細胞だけでなく、健康な細胞も傷つけてしまうことがあります。いわゆる「副作用」です。

高齢者に「抗がん剤」は負担が大きい

抗がん剤治療には、副作用として、血液細胞、口腔粘膜、胃腸粘膜、毛細細胞、心臓、腎臓、肺、神経組織などは正常であっても影響を受けやすく、そのため、貧血、感染症、吐き気、下痢、脱毛などの症状があらわれやすくなります。

そうなると、高齢者の抗がん剤治療は「体に負担が大きい」とする医師もいます。国立がんセンターの調査によると、75歳以上の高齢患者では、75歳未満の患者とくらべて、抗がん剤治療を行ったとしても、ほかの病気を併発することが多く、また副作用で体力や気力が奪われ、延命効果は限定的になるケースが増えているといいます。

増え続ける「高齢のがん患者」について‥

例えば、75歳未満での末期肺がん患者では、抗がん剤治療によって延命効果が高くあらわれたのに対して、75歳以上の患者では抗がん剤治療のあり・なしには、ほとんど差が出ないとの結果が出ています。

増加している高齢のがん患者に、はたして抗がん剤治療が適しているのか、医療界は指針を確立する段階に来ているのかもしれません。治療の選択は患者自身が決めることですが、政府としては、今後の財政のこともあり、医療費を抑制したいとの思惑もあるでしょう。

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