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今回は『足にできるコブ! 下肢静脈瘤の原因と症状!』をご紹介させて頂きます。

2つの血管「動脈」と「静脈」

人間の体には「動脈」と「静脈」という2種類の血管があります。動脈は、酸素や栄養を心臓から送り出された血液によって、体のすみずみに運ぶための血管です。一方、静脈は、体内で発生した二酸化炭素や老廃物を血液によって心臓や肺に戻すための血管です。

普段、人間は立って生活しているので、足の静脈は重力に逆らって血液を下から上に向けて運ばなくてはなりません。そのため、静脈には血液の逆流を防ぐ「弁(静脈弁)」がついています。

なぜ、腿やふくらはぎに「コブ」ができるの?

静脈弁は、血液が心臓に向かって流れるときにだけ開く仕組みです。ところが、この弁が壊れてしまうと、血液は逆流してうっ血が起こります。すると足に血液がたまるため、その部分の静脈が浮き出て目立つようになり、太く浮き出た血管がコブのように膨らむといった症状があらわれます。これが「下肢静脈瘤」という病気です。

血液に関係する症状のため、深刻にとらえがちですが、直接命にかかわる病気ではありません。しかしだからといって、放置すると
(1)体が疲れやすくなる
(2)足がつりやすくなる
(3)足が重くなる
(4)むくみやすくなる
(5)しびれや痛みが発生する
 など日常生活に影響を与えるような症状があらわれます。

患者数は現在1000万人以上?

下肢静脈瘤の症状は、ほとんどがふくらはぎにあらわれ、午後から夕方に症状が強くなるのが特徴です。足のだるさ、むくみが発症のサインです。

日本人の約9%に下肢静脈瘤の症状が確認され、患者数は現在1000万人以上と推定されています。30歳以上の男女の約62%の人に静脈瘤が認められたとの報告もあります。下肢静脈瘤は、特に40歳以上の女性に多くみられ、出産経験のある女性の2人に1人が発症しています。

遺伝など、おもな原因は3つ

原因は、「遺伝」「妊娠・出産」「長時間の立ち仕事」が挙げられます。両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的に高い確率で発症するようです。

妊娠すると、血液量が通常の1.5倍増えること、胎児の成長にともなって骨盤の静脈に圧力がかかること、そして女性ホルモンの影響によって静脈が柔らかくなり、弁が壊れやすく発症する人がいます。妊娠による下肢静脈瘤はほとんどの場合、出産後数週間で治まります。

看護師、美容師、調理師、販売員など1日に10時間近く立っている「立ち仕事」の人は下肢静脈瘤になりやすく、重症化しやすい傾向にあるので注意が必要です。また、肥満体質により、コレステロール値が高い人にも下肢静脈瘤の発症リスクがあります。

静脈瘤の「種類」は4つ

下肢静脈瘤は、静脈瘤ができる場所やコブの大きさなどによって、大きく次の4つに分類されます。

・伏在静脈瘤
・側枝静脈瘤
・網目状静脈瘤
・クモの巣状静脈瘤

<伏在静脈瘤>
伏在型静脈瘤は、大伏在静脈瘤と小伏在静脈瘤の2種類があります。下肢静脈瘤を発症する人のなかで、大伏在静脈瘤はもっとも多く、静脈でいちばん太い伏在静脈の弁が壊れて起こる静脈瘤です。4ミリ以上の大きい静脈瘤があらわれるのが特徴で、重症化すると手術が必要になることがあります。

<側枝静脈瘤>
伏在静脈から枝分かれした静脈の弁が壊れて起こる静脈瘤です。約3~4ミリのコブが膝から下の部分に発生します。

<網目状静脈瘤>
皮膚下の静脈が約2~3ミリに拡張して網目のように広がるのが特徴です。コブはなく、青色の血管が皮膚の上から確認できます。基本的に症状はなく、治療の必要がありません。

<クモの巣状静脈瘤>
約1ミリ以下の細い静脈瘤が、太ももの外側、膝の内側、くるぶしによく見られます。細い静脈なのでコブはありません。基本的に症状はなく、治療の必要がありません。

血管外科や心臓血管外科へ

下肢静脈瘤の治療には、手術やレーザー治療などがありますが、症状が軽症の場合は、生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用などを行って症状の緩和をめざします。女性の場合、見た目が気になる部分でもあるため、症状のあるなしに関わらず積極的な治療を望む人もいます。

治療方法は、下肢静脈瘤の種類や症状で異なるため、血管外科、心臓血管外科などの専門医によく相談しましょう。

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