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今回は『梅雨時の咳は「カビ」が原因?』をご紹介させて頂きます。

「初夏の咳」が続くようなら…

じめじめする蒸し暑い梅雨の季節が、近づいています。毎年わかっていても憂鬱な気持ちになるのはどうしてでしょう。毎日だいたい湿度は上がりっぱなしで、外は暑かったり寒かったり、気温は急激な変化に体のコンディションを保つのはたいへんです。

そして梅雨の季節に「咳が出る」という人がいます。めまぐるしい気候のせいで「風邪をひいたかも」と思われるでしょうが、市販の風邪薬を飲んでも、微熱、咳、喉の痛みなどの風邪のような症状が続くなら、原因は「カビ」かもしれません。

それは「夏型の肺炎」かもしれない

梅雨時に長引く咳は、夏風邪ということも考えられますが、風邪薬を飲んでも症状が改善しないときは別の原因が疑われます。その場合、細菌やウィルスなどが原因でなく、空気中に浮遊する「ちり」や「ほこり」に混じったカビの胞子を、何度も吸い込んだことによって起こるアレルギー反応の可能性があります。

これは「敏感性肺炎」と呼ばれる呼吸器の病気です。アレルギー性の肺炎で、夏を中心に6月~10月に多く発症するため、「夏型過敏性肺炎」ともいわれ、次のような症状があらわれます。
・咳
・発熱
・息切れ
・呼吸困難

原因は「トリコスポロン」というカビ!

夏型過敏性肺炎の原因のほとんど(約70%以上)は、「トリコスポロン・アサヒ」や「トリコスポロン・ムコイデス」と呼ばれる酵母カビの一種です。トリコスポロンというカビは、高温多湿な環境で発育するため、梅雨をはじめ蒸し暑い日本の夏が大好きです。

室内に発生しやすく、台所、洗面所、お風呂場、洗濯機まわり、エアコンの内部、畳の下などの腐木などでよく見られます。また、温度20度以上、湿度60%以上で活発になるといわれています。

トリコスポロンの胞子は、3~10ミクロンと極めて小さいため、室内などでも飛散しやすく、胞子を吸いこんでから約6~8時間で、カビ(抗原)に反応するリンパ球が肺のなかに増えることで炎症がおこり、咳や発熱など肺炎の症状があわられます。

「呼吸器科」に相談する

3、4日しても風邪のような症状に改善の兆しが見られないときは、すみやかに呼吸器科の専門医に相談しましょう。地域にないときは、かかりつけの内科を受診します。過敏性肺炎は、一般的に、胸部X線検査や血液検査で診断が確定します。

症状が軽いときは、旅行や入院など、抗原(カビ)を避けるだけで自然に改善します。つまり、トリコスポロンを吸入する環境から離れることが大事です。症状が重いときは、ステロイド薬を服用することがあります。

なかには、毎年梅雨の時期に「過敏性肺炎」を発症する人もいます。予防には、大掃除、畳替え、消毒などでトリコスポロンを除去することが必要です。

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