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今回は『妊娠初期に摂取したい「葉酸」ってなに?』をご紹介させて頂きます。

厚労省も推奨するビタミン

近年、妊娠期に必要とされる栄養素として「葉酸」が注目されています。葉酸は1941年に、ホウレン草から発見された水溶性のビタミンB群の一種です。

細胞の増殖や臓器の形成に大きな役割を果たす栄養素で、特に妊娠初期(4週~12週)においては、胎児の発育を助ける効果があります。そのため、2002年4月からは母子手帳には葉酸の重要性が明記され、厚生労働省も妊婦の葉酸摂取を推奨しています。

先天の障害を防ぐために

胎児の細胞分裂がさかんに行われる妊娠初期は、脳や脊髄のもとになる「神経管」が作られ、そのあと日を追うごとに体が成長します。このとき葉酸は、胎児の細胞分裂を促進しています。

しかし、この時期に葉酸が不足すると、「二分脊椎症(運動障害や排泄機能に障害が起こる病気)」などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなると言われています。そこで厚生労働省は、妊婦の葉酸を1日480μg(=0.4mg)摂ることを強く奨めています(非妊時の推奨量が240μgですから、2倍の摂取が必要です)。

神経管の障害は、日本では出生児の1万人に対して約6人の割合で見られます。神経管閉鎖障害など先天異常の発症は、葉酸を摂取することで完全に予防ができるわけではありませんが、1日480μgの葉酸を摂取することで、発症リスクを大幅に低減させることが報告されています。

「緑黄色野菜」を多く食べましょう

葉酸の添加された食品やサプリメントもありますが、厚生労働省は、安易にサプリメントに頼らず、できるだけ食品から摂取することを呼びかけています。葉酸は、ほうれん草、ブロッコリー、グリーンアスパラガス、モロヘイヤ、春菊、高菜などの緑黄色野菜に多く含まれています。葉酸400μgを摂るには、ほうれん草なら約200g、1把分に相当します。

ほかにも、レバー、豆類(ひよこ豆や枝豆など)、アボカド、いちご、マンゴーなど身近な食品に多く含まれています。しかし、葉酸の体内の蓄積性は低く、これらの食品をどれか毎日摂取することが必要です。

「生」で食べるか「スープ」にする

葉酸は加熱に弱い性質を持っています。調理で約50%が分解されるか、ゆで汁などに溶けてしまうため、調理には工夫が必要でしょう。野菜や果物から摂取するときは、生の状態で食べるか、スープなどにして、煮汁に溶け出した葉酸もいっしょに摂ると効果的です。

野菜をあまり食べない、外食が多いという人は、栄養バランスのよい食事を取る習慣をつけておきましょう。胎児の正常な発育や健康な母体のために、産婦人科の医師と相談し、葉酸の摂取量を気にかけることが大事です。