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今回は『愛情ホルモン「オキシトシン」を増やすには?』をご紹介させて頂きます。

ストレスを「消してくれる」ホルモン!

私たち人間は、ストレスを感じると、その対抗策として脳の下垂体後葉(かすいたいこうよう)という箇所から「オキシトシン」というホルモンを分泌します。すると、オキシトシンによって、ストレスが消され、不安な気持ちが癒され、怒りや悲しみなどの強い感情が和らぎ、「安心で心地よい」という感覚がもたらされます。

オキシトシンの分泌は、脳に安らぎを与えるため、別名「愛情ホルモン」ともいわれています。以前は「お母さんのホルモン」といわれていました。それは、オキシトシンが分泌されて血液中に放出されると、母乳が出るからです。また、出産時に子宮を収縮させる作用にも関係しているようです。

女性はお母さんになると、他人に寛容になる、穏やかになるというのは「オキシトシン」による働きともいわれています。オキシトシンはこれまで、お母さんしか分泌できないホルモンと考えられていました。しかし、世界で研究が進み、男性・未婚女性・高齢者もオキシトシンを分泌できることが分かっています。

人間関係を「うまく調整する」ホルモン

先に述べたように、オキシトシンは「授乳」、「分娩の促進」など哺乳動物の繁殖機能を助ける働きと、抗ストレス作用や抗不安作用を持っています。それ以外にも、人間関係によい働きをする効果がすでに、科学的・医学的な根拠として示されています。それは、親子・男女・友人・社会での仲間付き合いなどを、より親しく調整する働きです。

オキシトシンは「愛情ホルモン」と言われているように、母性愛や男女の愛など、他者との信頼感の心地よさを作り出すホルモンといまれています。「信頼ホルモン」という呼び名もあるくらいです。

オキシトシンが分泌されると、他者に対して、親近感や愛着感を覚えやすくなり、(1)愛情が深まる、(2)親密な人間関係を望む、(3)信頼の気持ちが増えるなどの感覚が心に生じる可能性が高くなります。

愛情ホルモンは「スキンシップ」で増える!

愛情ホルモン「オキシトシン」を増やすには、特定の食べ物を摂取するなどの方法はありません。オキシトシンの分泌を活性化させるには、日常の行動のなかで「スキンシップ」を心がけることです。ママやパパが赤ちゃんを抱っこする、子供の頭をなでる、好きな人と手をつなぐ、仲間や家族とハグするなど「心地よいスキンシップ」が有効です。

さらに、オキシトシンの分泌が活性化すると、ほかの細胞を刺激し、近隣細胞からのオキシトシン合成が促進されます。するとさらに近くの細胞を刺激して、というように「増やした分だけまた増える」という好循環が生まれやすいのが特徴です。

つまり、オキシトシンの分泌とは、「共感」や「思いやり」の心情や行動を相手に与えたり、相手から受けたりすることによって起こる生理学的特徴だといえます。

リアルなコミュニケーションで、さらに増やそう!

ネット社会に生きる私たちは、オキシトシンが分泌されにくい状況にあると心配する声もあります。「恋愛は面倒くさい」という若い世代が増えているのも、そのせいかもしれません。

慈善事業やボランティア活動を行ったことで、健康になった、寿命が延びたという研究結果の報告もあります。オキシトシンは、健康の増進、対人関係の向上、信頼獲得の強化、不安・心配の軽減を叶えてくれるホルモンです。

ネットでのやり取りは便利ですが、実際の(リアルな)コミュニケーションは、人間が幸せになるにはやはり大事なことなのでしょう。他にも次のような行動がオキシトシンの分泌を増やすといわれています。実践してみるとよいでしょう。

・家族で食事をする
・友達とおしゃべりをする
・友人と趣味やスポーツをともにする
・朝日を浴びる
・自然に触れる