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今回は『ベビー用品で見かける「BPAフリー」ってなに?!』をご紹介させて頂きます。

BPAって何ですか?

プラスチック製容器に「BPAフリー(BPA Free)」と書かれたマークをご覧になったことがありますか。アメリカのコーヒーチェーン店では、タンブラーに「BPA Free」と書かれているのを最近は見かけます。

BPAとは 「ビスフェノールA(Bisphenol A)」という化学物質です。プラスチックの原料として、ポリカーボネートやエポキシ樹脂をはじめ、さまざまなプラスチックの合成に使われています。電気機器や電子部品に使われることが多い物質ですが、他にもBPAは、ポリカーボネート樹脂製の発砲スチロール容器や哺乳瓶、エポキシ樹脂で内部塗装された缶詰や飲料缶などに原料として混入されています。

そのため、食品容器が缶などから溶け出し、飲食物とともにBPAが体内に取り込まれる可能性があることから、人体への健康被害が指摘されています。

プラスチックが体によくないことは昔から言われていることですが、BPAについては、動物実験ですでに神経系の発達、ホルモン、生殖、心臓、呼吸器などに何らかの影響があらわれていることが報告されています。特に成長に関して脳などに障害が起こることが懸念されているため、幼児や乳児への影響がいま問題にされているところです。

EU諸国は、すでに禁止している!!

プラスチック製の食器や容器は、ベビー用品で多く見かけます。フランスではこれまで3歳以下の子供が使う食品容器にBPAの原料を規制していましたが、約2年前(2015年1月)にすべての食品容器にBPAの使用を禁止する法案が可決されています。そのほかのEU加盟国でも、BPAに対するさまざまな規制がはじまっています。

カナダでは、BPAを含む哺乳瓶の製造を制限しています。アメリカは禁止までいっていませんが、食品医薬局からBPAを含む製品の使用を控えるよう警告が発表されました。さて、日本はどうでしょう。

厚生労働省は「現在、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しています。それらの結果、健康への影響が指摘されれば、新たな対策を検討することとしております」といまのところ規制や禁止の動きはないようです。

人間に対する影響が不確かであることが理由のようですが、ヨーロッパ各国やカナダがすでに禁止している(あるいは禁止に向けて動いている)BPAの問題を、深刻にとらえていないような気がして心配です。

フランス食品衛生安全庁は、妊娠している人がBPAを原料とする食器や容器を使うことで、胎児にもリスクが生じると発表しています。ほかにも、肥満、前立腺癌、乳腺癌、思春期の低年齢化、生殖器官の異常にも影響するとのデータがあります。

さらにBPAは、うつ病、気分障害、学習障害、呼吸器障害、子供のADHD(注意欠陥・多動性障害)、糖尿病にも関連があると言われています。

なるべく「安全に」暮らすには

哺乳瓶やマグカップなどベビー用品は、プラスチック製品が多く使われています。そしてスーパーのお惣菜、コンビニのお弁当は、あたりまえのようにプラスチック容器です。ほかにも、ペットボトルなどの飲料容器、食品用のラップフィルム、スナック菓子などの袋、テイクアウトの容器など、見渡してみると私たちの日常生活は、直接口に触れる(あるいはその可能性がある)ものもプラスチック製品に囲まれています。

特に小さな子供がいる家庭では、なるべく安全に暮らすことを考えて、次のよう注意が必要ではないでしょうか。

・ポリカーボネートの食器や容器は選ばない(Ziplocは、BPAが含まれていないようです)
・食品の保存は、プラスチック容器を避ける
・調味料や食用油は、瓶の容器のものを購入する
・プラスチック容器を電子レンジで温めない
・プラスチック材質が直接触れている食品、食材は購入しない
・プラスチック容器に入った肉や魚は購入後、速やかに別の器に移す
・乳児のおもちゃに、プラスチック製のものは選ばない