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今回は『どうして「冬なのに寝汗」をかくの?』をご紹介させて頂きます。

真冬なのに寝汗?

冬の夜は「あー、寒い寒い」と言って布団に入ったのに、夜中に汗をかいて起きた経験はないでしょうか。目を覚ますと首のまわりがベタベタで気持ちが悪く、パジャマは汗ですっかりぬれているのに驚くことがあります。

なぜ、寒いのに汗をかくのか、気になります。汗をかいて体が冷えると、風邪をひきやすくなりますし、もしかしたら自分は何かの病気かもしれないと不安にもなるでしょう。それにとにかく、私たちの心地よい睡眠を妨げるのは許せません。「冬なのに寝汗」はいったい、どうして起こるのでしょうか。

深い睡眠に「寝汗」は必要

私たちは、季節に関係なく、寝ているあいだに約コップ1杯分の汗をかくといわれています。コップ1杯といえば約180〜200mlですが、真夏の熱帯夜には約400〜600mlの汗をかいているようです。

夏でも冬でも寝汗をかくのは「深い睡眠をとるため」です。私たちの体が深い睡眠に入るためには、体温を約0.5〜1℃低下させる必要があります。特に、良質な睡眠をとるには「脳温(脳の温度)」を下げることが大切です。

睡眠は、昼間に活動した肉体と大脳を休ませるための時間です。人間の睡眠は、
(1)深い眠りの「ノンレム睡眠」と、
(2)浅い眠りの「レム睡眠」を1つのセットとして約90分周期に、一晩に4~5回のサイクルでくり返されます。深い眠りは脳を休ませ、浅い眠りは肉体を休ませます。

眠りにつくと、まずノンレム睡眠が起こり、脳の休息がはじまります。そのとき、脳温が高いままではスムーズに眠りに入ることができません。そのため私たちの体は、汗腺を盛んに活動させて、寝汗をかくことで皮膚から熱を逃し、脳温をはじめ体の深部温度(体の中心部の体温)を低下させています。つまり、深い眠りを迎え入れるために、私たちの体は寝汗をかいているのです。

不快な「寝汗」を防ぐには

そうはいっても、寝汗をかいたせいで夜中に起きてしまうのは防ぎましょう。寒い冬にはどうしても寝具が多くなりがちです。特に厚手の毛布は汗が放出されにくく、寝汗が体についてパジャマをびしょぬれにしてしまいます。

汗を吸収しやすい天然素材のタオルケットを、体と毛布のあいだにかけて眠るなどの工夫を試してみてはどうでしょうか。また、就寝まえの次のような行為は、脳温を上昇させ、寝汗をかきやすくさせます。

・お風呂からあがってすぐに寝る
・寝る直前まで、テレビやスマートフォンを楽しむ
・寝るまえにカフェインやアルコールを摂取する

夜はできるだけリラックスして、体や脳に刺激を与えない時間を少しつくってから寝るようにしましょう。

「ベタベタ寝汗」が続いたら、医師に相談

男女を問わず、だいたい45歳を過ぎると冬でも寝汗をかくという人が増えてきます。これは、ホルモンバランスの乱れによる更年期障害がおもな原因です。女性の場合、卵巣から分泌されている女性ホルモン(エストロゲン)の量が減少すると、寝汗の量が増える傾向にあります。

そして、寝汗の量がひどく何日も続くときは、体の不調を知らせるサインということ考えられます。特に、ベタベタした汗を首、上半身、下半身に大量の寝汗をかく人は、甲状腺異常、結核、肝機能障害などの病気を引き起こしている恐れがあります。早めに病院を受診し、専門医に相談してみましょう。