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今回は『成長期に、筋肉をつけると背が伸びないは本当? 』をご紹介させて頂きます。

我が子は大丈夫かしら?

「子供の頃に筋力トレーニングを行うと身長が伸びない」という話を耳にします。子どもが筋トレをすると「筋肉が太くなって骨を抑えつけるため、骨の成長を妨げる」というのが理由です。

最近は、さまざまな分野で科学的なデータが豊富になり、野球・サッカー・バスケットボール・バレーボールなど一般的なスポーツでも、科学的な根拠に基づいた「筋力トレーニング(筋トレ)」を普段、部活の練習に取り入れる学校も多いようです。我が子は、筋肉をつけて大丈夫かしら? 親御さんからすると、心配になるところでしょう。

骨の成長は、筋肉より強い

結論から言うと「成長期に、筋肉をつけると背が伸びない」には、明確な裏付けがありません。専門家で意見が分かれているようですが、少なくとも「筋肉が太くなって骨を抑えつけるため、骨の成長を妨げる」ことはないようです。

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研究結果においても、筋肉が抑えつける力より骨が成長しようとする力のほうがはるかに強いことが分かっています。ではなぜ、「成長期に、筋肉をつけると背が伸びない」説がこんなにも世間に蔓延していのでしょう?

身長が伸びるとは、「骨の端と端」が伸びること

人間の成長期は、大きく2つあります。「第1次成長期」と呼ばれるのは、およそ0~2歳の時期です。この範囲の乳幼児は、驚くほどの成長が見られます。数ヶ月で身長は一気に伸び、体重は倍にまで大きくなります。

そして、次にやってくるのが「第2次成長」です。これはおよそ11歳(小学生後半)~18歳(高校生)のあいだに迎える時期のことを指します。一般的に第2次成長期は女性のほうが早く迎えます。これは子供を産むための準備が必要になるからです。

さて、「成長期に、筋肉をつけると背が伸びない」説の成長は、およそ11歳~18歳です。そして、筋力トレーニングとは、筋繊維に細かい傷をつける(負荷をかける)行為です。筋肉が持つ「修復しよう」とする性質を利用して強靭な体を作ろうというのが目的です。

すると、第2次成長期の子供が行う筋力トレーニングで問題になるのは「骨の成長にどう影響するのか」でしょう。身長が伸びるということは、骨全体が伸びるのではなく、骨の末端(端と端)が伸びています。末端は軟骨になっていて、「骨端軟骨」と呼ばれる骨が伸びてゆく部分の元になります。

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第2次成長期の子供が行う筋力トレーニングは、どうやら「骨端軟骨」に影響があるのかもしれません。

成長期に「避けたい」トレーニングとは?

骨を伸ばす「骨端軟骨」は、柔らかい組織です。第2次成長期に毎日、負荷の高い筋力トレーニングなどを行うことで骨端軟骨に強い衝撃がくり返されると、伸びようとする軟骨はつぶれてしまう可能性があります。すると、本来伸びるはずの身長が成長できなくなるかもしれません。

そのたえ、「成長期には筋力トレーニングをしてはいけない」という説が流れているのでしょう。専門家によっては、ホルモンの分泌が盛んである16歳~18歳に負荷の高いトレーニングを行うと体を丈夫にする、という考えもあります。

しかし「骨端軟骨」が損傷するほどのトレーニングはするべきではないでしょう。
具体的には・・・・
(1)スクワット
(2)うさぎ跳び
(3)重りを使ったジャンプ動作
(4)長時間の縄跳び、など骨や関節に、必要以上に負荷が高いトレーニングが挙げられます。
そして、人生に2回だけ訪れる成長期を大事にするよう、子供に伝えることが必要でしょう。