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今回は『冬の子どもにみられる「なめまわし皮膚炎」って?』をご紹介させて頂きます。

冬になると「唇をなめる」子どもたち

なめまわし皮膚炎は、カサカサに乾燥した唇を、舌でくり返しなめ回すために口の周囲が荒れてしまう皮膚病です。寒い季節の子どもによく見られる症状です。「口なめ病」や「舌なめずり病」とも呼ばれています。

口の周囲の舌を伸ばしてだいたい届く範囲に、「赤み(紅斑)」と「腫れ」があらわれます。子どもの唇が妙に赤く、さらに口のまわりに「赤い輪っか」ができているようなら、なめまわし皮膚炎を疑ってよいでしょう。

なぜ、唇は冬にはカサカサになるの?

人間の皮膚は、
(1)外からの刺激に肌表面を守る
(2)内側の水分の蒸発を防ぐために作られる天然のクリームによって保護されています。
天然のクリームは、「皮脂膜」と呼ばれ、汗腺が分泌する「汗」と皮脂腺が分泌する「皮脂」が混ざって作られたものです。皮脂膜は、体温に近い約35~36度で融けて、肌表面に広がり薄い膜となって肌を保護します。
ところが、唇には汗腺も皮脂腺もないため、皮脂膜がほとんどありません。乾燥する寒い季節になると、外は湿度が低く、室内は暖房器具で乾燥していることが多いため、唇はすぐにカサカサして荒れてしまうのです。

「乾燥」と「肌荒れ」の悪循環が怖い!

なめまわし皮膚炎は、乾燥した唇を湿らせようと無意識に舌でなめてしまうことで起こります。本人に「唇をなめている」という自覚がないため、やがて唇とその周囲が炎症してから、気づくことがしばしばあります。

唇となめると、そのときは唾液でしっとりして潤った感じになりますが、実は「皮脂膜」がなめとられてしまうため、かえって「乾燥」が進みます。さらに、荒れた唇をくり返しなめるたびに、舌先のザラザラで唇や周囲の肌は傷ついて「肌の荒れ」が進みます。

乾燥と肌荒れは、ヒリヒリとした痛みと痒みの混ざった感覚を残します。またその感覚から逃れようとして、子どもは無意識に唇をなめて湿らそうとするでしょう。この行為をくり返す悪循環によって「なめまわし皮膚炎」が発症します。

早めに「皮膚科」を受診する

なめまわし皮膚炎は、いったん症状があらわれると自然には治りにくい病気です。早めに皮膚科を受診しましょう。唇や口のまわりの炎症を抑える外用薬を処方してもらい、こまめにつけると治ります。

また、唇が荒れているときは、サトイモ、ヤマノイモ、キウイフルーツ、パイナップル、ブドウを食べるのは控えます。これらの食品には、「シュウ酸カルシウム」の針状結晶が多く含まれています。結晶が針のように細く尖った形をしているため、荒れた唇や肌を刺激して、炎症が悪化します。

冬は「水分補給」と「保湿」で予防

なめまわし皮膚炎にならないよう、唇の乾燥を予防するには、冬場は水分を多めに摂ることを心がけます。子どもには、少し冷めた白湯をこまめに飲ませるのがよいでしょう。また、口のまわりに、食べ物や歯磨き粉をついたままにしないなど、子どもをよく観察することが大事です。

さらに、ワセリンやリップクリームなどを唇に塗って肌を保護します。子どものなめまわし行為は「精神的なストレス」が原因と考える人もいるようです。実際、少ない割合で起こるようですが、多くの子どもは、皮膚科での治療で完治します。

子どもは寒くても元気です。唇の痛みがあっても、平気で気にしない子どもは多くいます。大人が子どもの様子に気づいて、早めの対処をしてあげましょう。

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