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今回は『真夜中過ぎないと眠れないは「睡眠相後退症候群」かも?』をご紹介させて頂きます。

毎日の「夜更かしがきっかけ」で起こる!

睡眠相後退症候群とは、夜型の生活を続けたことがきっかけで、通常の時刻に眠りにつくことができず、睡眠時間が後ろにズレてしまう病気です。体内時計のリズムの乱れに基づく睡眠障害の一種で、思春期から青年期にかけての若者に多く見られます。

決めた時刻に起きることもできず、早く寝ようと思っても夜中にならないと眠れない、朝は決めた時間に起きられない、どうしても昼過ぎまで眠ってしまう、など状態が1ヶ月以上続く場合、「睡眠相後退症候群」と診断されます。

ようやく「明け方」に眠気が来る

睡眠相後退症候群にかかると、午後10時~午前1時までのあいだ、いわゆる普通の人が眠る時間に眠ることができなくなります。午前2〜3時の深夜か、あるいは明け方の午前4時あたりになって、ようやく眠気がおとずれます。

こうなると、起きる時間は遅くなり、お昼過ぎにようやく目が覚めます。睡眠障害といっても、睡眠時間は確保され、眠ってから起きるまでの周期に異常はありません。眠りの深さにも大きな影響はないといわれています。

「怠けているのではない」から辛い

朝になっても起きられないため、社会生活にはかなりの支障が出るでしょう。学校や職場には遅刻・欠席・欠勤をくり返すことが増えるため、先生、友人、上司、同僚からは「やる気がない」「怠けている」「だらしない」などのレッテルを貼られてしまいます。

「このままではいけない」と改善を試みて、いくらがんばって起きようとしても、そもそも気の弛みなどではないため、早起きができないのです。家族の助けを借りてもほとんど効果がなく、なかなか目が覚めないのです。

無理に起きたとしても、眠気、倦怠感、頭痛、嘔吐などの症状が発生します。やがて体調不良が続き、しばらくすると睡眠のリズムに元に戻ってしまいます。睡眠相後退症候群は、まだ認知度が低いため、病気として理解されることが難しく、精神的に苦しい思いをすることがあります。その結果、登校拒否や出社拒否につながる人がいます。

1週間の「時間療法」で改善する

睡眠相後退症候群は、無理に起きて改善しようとするのは逆効果です。体内時計が昼夜逆転しているため、無理して朝に太陽の光を浴びると、体内時計がより後ろにズレてしまいます。

早起きとは逆に、眠りに入る時間を毎日3時間ほど遅くすることで徐々に改善をはかります。「時間療法」と呼ばれる治療です。睡眠相後退症候群の患者は、遅くまで起きているのは慣れているので、取り組みやすい治療といえます。時間療法を約1週間続けると、一般的な時間に就寝・起床できるようになるでしょう。そこまできたら、その状態をキープします。

時間治療は、自己流でやるのは危険です。必ず睡眠外来や睡眠クリニックなどの専門医の指導のもとで行いましょう。改善が何度も失敗すると、体内時計の機能が狂って症状が重症化してしまいます。