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今回は『怒り性のあなた、損していませんか!?』をご紹介させて頂きます。

20代30代の方は、上司の理不尽な指示に怒ることはないでしょうか。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしろというから、上司に頻繁に接触をしていたら「そんなことくらい自分で考えろ」と言われたり…。
40代50代の方は、不出来な部下に怒ることはありませんか。同じミスを何度も繰り返したり、社会人としての基本動作がなっていなかったり、あげくの果てには薄毛や加齢臭や老眼をからかわれたり…。
「怒り」と無縁に現代社会を生き続けることは不可能ですが、腹立たしい事象にいちいち怒っていては損ばかりしてしまいます。そこで怒りを抑制する手法「アンガーマネジメント」を身に付けましょう。これは、最新の脳科学が編み出した生活術といえます。
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理性が動き出すまでには6秒もかかる

同じような腹立たしいことに巻き込まれても、ある人は怒り、別の人は平穏なままやり過ごせます。前者は「短気な奴」と非難され、後者は「理性的な人」と高く評価されます。
両者の違いは「理性の有無」ではなく、「理性が機動するまでの時間の違い」によることが、脳科学の研究で分かってきました。
人が「いらっ」と思って、自分の理性が「そんなことで怒るなよ」と指示するまでには、6秒かかります。つまり「短気な人」になるか「理性的な人」になれるかの分かれ目は、腹立たしいことが起きたときに6秒間踏みとどまることができるかどうかにかかっているのです。
「むかっ」ときたら、心の中でゆっくり6つ数えることが、最も初歩的なアンガーマネジメントになります。
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怒りが生まれる場所と、怒りを抑える場所は異なる

怒りも理性も、脳が生み出しています。しかし同じ脳でも、怒りを発生する場所と、理性を働かせる場所が異なることで、6秒の時差が生じます。
怒りを発生するのは、脳の一部である「大脳周辺系」という場所です。大脳周辺系は感情や本能に関わっていて、怒りの他に、意欲や情緒に関わる仕事もしています。大脳周辺系は、人間やサルのほかにトカゲなどの原始的な生き物も持っています。

一方、理性を司っているのは「前頭葉」という脳の一部です。前頭葉は、大脳周辺系が発生させた感情をコントロールします。また人が、論理的な思考を作ったり、他者と良好なコミュニケーションを築いたりできるのも、前頭葉の働きによります。またホラー映画を見ても、「確かに恐いけど、これは現実の話ではないから大丈夫」と思えるのは、前頭葉のお蔭です。前頭葉は原始的な生き物では見られず、人間やサルなど高度に発達した動物にしか存在しません。

脳内の情報伝達は瞬時に行われるわけではありません。神経伝達物質や電気信号によって、物理的に伝わります。物理的に伝わるということは、大脳周辺系で発生した「怒り」の情報が、怒りを治める仕事をする前頭葉に伝わるまでに時間がかかることを意味しています。それが6秒なのです。
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長い6秒はこうやりすごそう!

6秒は短いようでいて意外に長い時間です。そこで、怒っているときでも簡単にできる6秒間のやり過ごし方をお教えします。
まず効果的なのは、受け流すことです。ビジネスシーンでは相手から何か言われているときに怒りが起きます。ですので、相手に何を言われても「はい」と「なるほど」で受け流してみましょう。それと同時に「そうじゃなくてさ」や「昨日と言っていることが違うじゃないか」という攻撃の言葉を飲み込みましょう。「いま私は『そうじゃなくてさ』という言葉を飲み込んだ」と意識することが大切です。

次に、咳払いと深呼吸が効果的です。特に深呼吸は1回で2秒使うことができます。つまり吸って吐いてを3回繰り返すことで6秒が終ります。ただ咳払いも深呼吸も、怒りの表現になりかねませんので、その場の空気を読みながら実践してみてください。
また「6秒はゆうに過ぎたが全然怒りが収まらない!」というときは、席を外す、飲み物を飲む、ネクタイを緩める、外の空気を吸うといった「大きなアクション」が有効です。

怒りは自己防衛に必要、ストレス解消の効果も…

怒りという感情は、自己防衛に必要な本能と考えられています。目の前に敵がいるのに、怒りという「強い感情」が発生しないと、攻撃しそこなったり逃げ遅れたりしてしまいます。怒りという感情は、人を機敏に動かしたり「火事場のクソ力」を生み出したりするのです。
また、怒りを我慢することはストレスを増やすことになります。怒りを我慢することと、怒りをコントロールすることは異なります。やみくもに怒りを我慢することは、正しいことではないのです。そのためにアンガーマネジメントという手法が編み出されたのです。
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怒りにくい体質と怒らなくて済む環境を作ろう!

怒りをコントロールするアンガーマネジメントを身に付ける狙いは、不必要な怒りを生まないことであり、さらに、怒った原因を冷静に分析することにあります。「こんなことで怒るなんて、自分はまだまだだな」と自己認識できれば、そもそも怒りにくい体質に生まれ変わることができます。
また後から「やっぱり自分の怒りは正しかった」と評価した場合でも、怒らなかったことで、怒りの原因となった問題点を冷静に解決できます。怒ってしまうことの最大の損は、人間関係が崩壊することです。怒らずに怒りの原因を除去できれば、怒らなくて済む環境を手に入れることができるのです。

まとめ

パワハラという言葉が一般的になったように、怒りは、職場のストレスによる自殺や、仕事の生産性というビジネスシーンにおける深刻な問題を引き起こしています。自分が怒らないことと、他人を怒らせないことは、有能なビジネスパーソンの基本的な資質といえるでしょう。