今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!
今回は『くる病 とは・・・』をご紹介させて頂きます。

赤ちゃんは生まれてからの数年で爆発的な身体の成長をしていきますが、同時にそこでさまざまな異常がみつかることもあります。
20161222l

くる病とは?

くる病は小児に起こる病気であり、先天異常やさまざまな要因によりビタミンDが足りなくなることで、骨が正常に形成されない病気です。
このため、背骨が丸く曲がってしまったり、足がO脚やX脚などになる症状が現れるほか、頭蓋骨が柔らかくなり、大泉門が閉鎖しなくなるなどさまざまな症状がみられます。
201612222

くる病の原因は?

くる病が起こる原因としては、ビタミンDが正常に作られない、代謝されないことにあります。
乳幼児で多いものとしては、先天的にこのビタミンDを作る機能に不備がある場合です。
先天的な場合には、いち早い発見が必要であり、追加で人工的にビタミンDを投与する必要があります。
しかし、先天異常出ない場合でもくる病は起こりえます。

それは日々の食事で栄養が欠乏している場合、また日光に当たらないことでビタミンDが正しく作られない場合などです。虐待や貧困などで満足に栄養が取れない場合には、こうしたビタミンDを作り出すことができない場合があるのです。

また、人間は日光に当たることでビタミンDから成長ホルモンをはじめ骨の発育に必要な物質を作っています。ですから、日光に当たらない生活をしていると骨が育たずくる病を発症してしまう可能性があるのです。一時期、コインロッカーベイビーというものが世間をにぎわせました。
これは、生まれてまもない乳幼児を育てるのが難しく、コインロッカーに置き去りにしてしまうケースのことです。
この場合、お母さんから十分な食事を与えられない上、暗くて冷たいコインロッカーの中に閉じ込められていることで、満足に骨の発育ができずくる病となる危険性が非常に大きいでしょう。
20161222c

実は現在くる病が増えている?

満足に食事のない時代ならともかく、まさか、と思う人もいるかもしれませんが、実は現在くる病となる子供が増えています。
原因は詳しくは判明していませんが、生活が豊かになり、より安全を求めて部屋の中ばかりですごすことで、太陽の光を浴びる機会が少ないからではないか、といわれています。
とくに美容に敏感なお母さんだと、日焼けしてはいけないと必死に外に連れ出すのをさけることで、こうした病気を引き起こしてしまう可能性があるといえるでしょう。

また、栄養についても大きな原因のひとつといえます。近年粉ミルクから改めて母乳をつかった育児のほうがすばらしいと賞賛されていることもあり、多くの母子ががんばって母乳での育児をおこなっています。
母乳の中にはさまざまな赤ちゃんに有益な免疫物質や栄養が含まれているため、必要不可欠といえるでしょう。しかしその反面で母乳にはビタミンDがほとんど含まれておらず、単純に母乳のみで日光を浴びない生活をしている場合、間違いなくくる病予備軍となってしまうのは想像に難くありません。
粉ミルクにはビタミンDを含んでいるものもたくさんあり、併用するのが望ましいのではないか、とも言われています。
20160519m

くる病の治療は?

くる病になってしまったらどのような治療を受けるのでしょうか。
実際には、元気がない、顔色がわるいといったことが原因で、血液検査をして始めて判明することも多いくる病です。
初期であれば、積極的に日光を浴び、食事改善で回復することもあるでしょう。
しかし、たいていの場合には、応急処置としても、特効薬としても、ビタミンDを投与することが一般的といえます。
また、もし骨の変形が始まったまま定着してしまった場合、後からビタミンDをとっても改善しない場合があります。こうした場合には、大変残念ですが外科的手術で骨を調整する必要がでてきます。

くる病にかかったことのある乳幼児は成長してからI型の糖尿病にかかるケースも高いため、早期に発見することが望ましいといえます。
大切なことは、普段の赤ちゃんの異変を見逃さず、おかしいと思ったらすぐに近隣の医療機関やかかりつけに相談することかもしれません。

くる病とは、聞きなれない言葉かもしれませんが、とても恐ろしい病気であるということが理解できたでしょうか。
文明が発展し、さまざまなものが豊かな現代でもこうした病気が再び増加してきているのは驚きですね。わが子に辛い思いをさせないためにも、しっかりと適切な骨の発育ができるようサポートしてあげましょう。