今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ジェットコースターで腎臓結石を治療!?』をご紹介させて頂きます。

ジェットコースターに乗ると腎臓結石が治る――こんな「ホンマでっか!?」な話は、普通であればここで紹介しません。しかしこのニュースを発信したのは、アメリカのちゃんとしたニュース番組のCNNなのです。しかもこの説は、アメリカのちゃんとした医学誌に掲載されたのです。
それだけではありません。腎臓結石という病気のメカニズムが分かると、私たちでも「なるほど、そうかも」と思える内容なのです。
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腎臓結石とは

腎臓は、おしっこを作る「工場」です。おしっこにはカルシウムが含まれていて、これが「石」のように固まることがあります。腎臓はおしっこという「液体」を扱う臓器ですから、そこにカルシウムの石という「固形物」が発生すると、異常をきたします。

腎臓には「空間」があるので石が腎臓内にとどまっているうちは、症状はありません。しかし腎臓と膀胱をつないでいる「尿管」という管に石が入ると、たちまち腰や背中に激痛が走ります。
そのほか、血尿や吐き気、肩こり、頭痛、冷や汗、めまいといった症状もみられます。
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通常の治療

軽症の場合、石は自然に排出されます。つまり石は、腎臓→尿管→膀胱→尿道→体外という順番で流れていくのです。ですので軽症の患者は、ただただ水を多く飲めばOKです。水流で石を押し流す治療法です。
ただ石が大きくなってしまうと、水流だけで自然に排出することは不可能なので、「石を砕く」か「石を取り除く」かして治します。

石を砕く方法は、衝撃波という治療器具を使います。これは手術と異なり、患者の体に傷を付けないで治療できます。患者は治療器具の上に寝そべるだけです。この治療器具を使って体の外から衝撃波を当てると、皮膚や脂肪や臓器にはダメージを与えずに、石だけに衝撃が届くのです。
石は、砕いてしまえば後は自然におしっこと一緒に出てきます。出てこない石の破片は、尿道から内視鏡を挿入して、強制的に取り除きます。
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ビッグサンダー・マウンテンで実験

さて、ここまでが、一般的な治療です。しかしミシガン州立大学のデービッド教授は、衝撃波も内視鏡も一切使いません。治療に使ったのは、ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンです。そうです、日本のディズニーランドにもあるあのジェットコースターです。

デービッド教授はある腎臓結石の患者から「ビッグサンダー・マウンテンに乗った後に石が3つ出てきた」と聞きました。普通の医師は「偶然だろう」と考えますが、デービッド教授は「ありうるかも」と思ったのです。

というのも腎臓結石は、「腎臓という空間」に「石」ができてそれが「管に詰まる」病気です。つまり、空のワインボトルにビー玉が入ったようなものです。ワインボトルの中のビー玉を外に出すにはどうしたらよいでしょうか。ワインボトルを逆さにして振ればいいのです。
デービッド教授はこれを応用して、「患者を逆さにして振れば石が出るという現象は理屈に合っている」と考えたのです。早速、ディズニーランドの許可をもらい、実験に取り掛かりました。
本当の患者を使うわけにはいかないので、腎臓の模型の中に腎臓結石と同じ大きさの物体を入れて、それを抱えてビッグサンダー・マウンテンに乗り込みました。
デービッド教授は230回試して、70%の確率で腎臓模型内の物体が外に出てくることを突き止めたのです。
デービッド教授はこれを「ローラーコースター療法」を命名し、アメリカ整骨医学会誌に投稿、見事掲載されたのです。その論文は「4mm以下の腎臓結石なら、手術をしなくても取り出せる」と結論付けています。

まとめ

CNNの報道では、専門医の見解も掲載されています。ジョージア州の泌尿器科医は、全身の急激な動きが石の通過を助けることはありうるとコメント。さらにニューヨーク市の泌尿器科医も、「自分の患者には勧めないが、概念的には理解できる」と話したというのです。
かなりユニークな話ですが、真面目に議論しているのがいかにも自由の国らしいですよね。

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