今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ヒアルロン酸は皮膚に浸透しない? 経皮吸収のメカニズム』をご紹介させて頂きます。

皮膚を通して体に吸収する

私たちは、毎日の食事で口から体内に物資を吸収しています。食事で摂取するのは栄養ですが、人間が体内に取り入れるのは栄養だけとは限りません。
例えば、肩や腰が痛むときは、湿布を患部に貼りますが、そのとき、私たちは皮膚から物質(消炎鎮痛成分)を吸収しています。他にも、咳がひどいときに病院で処方される「ホクナリンテープ(別名:咳止めテープ)」は、テープの内側に「気管支拡張剤」が塗ってあり、その成分を皮膚から吸収します。
煙草を止めるときの禁煙パッチもそうですね。このように、皮膚を通して成分が吸収され、体内に浸透することを「経皮吸収」と言います。しかし、皮膚から吸収されるのは、体に有効な物質ばかりとは限りません。有害な成分が皮膚に浸透し、身体に吸収されることで影響を及ぼすことも考えられます。
私たちの日常生活には、化学物質やウイルスなどさまざまな物質が存在しています。体によくないものはなるべく食べない、という考えと同じ感覚で「経皮吸収」について、きちんと知ることが大切です。
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ラーゲンやヒアルロン酸は、肌に浸透しているか?

人間の皮膚(肌)は、外側から順に「表皮」→「真皮」→「皮下組織」の3層によって構成されています。表皮のいちばん外側にある「角質層」の表面には、「皮脂膜」という強力なバリア機能があり、通常は、有害化学物質・ウイルス・細菌などの刺激から体を守る役目をしています。
健康な皮膚のバリア機能はとても強力で、ウイルスも簡単には侵入できません。それは、皮膚よりも大きい分子量をブロックしているからです。
分子量とは、物質を構成している分子の大きさを表したものです(ちなみに、水の分子量は18です)。
そして、健康な皮膚は、さまざまな分子に対して次のようにブロックしています。

・表皮:分子量3000以上の物質をブロック

・真皮:分子量800以上の物質をブロック

・血管:分子量300以上の物質をブロック

さらに、経皮吸収する経路によって、通過できる物質の大きさは違います。

・毛穴や汗腺から吸収される「附属器官経路」:分子量1000以下を通過

・細胞と細胞の間をとおり吸収される「細胞間隙経路」:分子量500以下を通過

・細胞内を通過する「細胞実質透過経路」:分子量500以下を通過

では、最近の化粧品によく含まれる「コラーゲン」や「ヒアルロン酸」といった美容成分は、果たして肌に浸透しているのでしょうか。広告イメージから「肌の奥深くに浸透してうるおいを…」と想像していますが、果たしてどうでしょう。

海洋性コラーゲンの分子量は約10万以上で、動物性コラーゲンは約30万です。ヒアルロン酸は、約100万以上といわれています。どちらも大きすぎて、肌に浸透していないことがわかります。しかしこれらは、肌の表面になじんで、肌の乾燥を防ぐ効果があります。
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家庭用洗剤の成分を確認しましょう!!

私たちが海に潜っても、海水や海水中の物質が皮膚から吸収されないのは、海水中に存在する物質の分子量が皮膚よりも大きいからです。
子供が泥んこ遊びをしても皮膚から泥が吸収されないのも同じ理由です。
このように、経皮吸収のメカニズムは、自然界に存在する物質には比較的有効です。ところが、石油などを原料にして人工的に作られた「合成化学物質」のなかには、皮膚のバリア機能である皮脂膜を溶かし、体内に侵入することがあります。


たとえばそれは、家庭用洗剤や化粧品の一部にみられ、分子量が200以下の有害物質が、血管のなかにまで浸透してしまうことも考えられます。家庭用洗剤に使用されている有害な成分は、主に次のようなものが挙げられます。
一度、ご家庭の洗剤を確認してみましょう。

ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)・アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)・アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム(aASF)・アルキル硫酸エステルナトリウム(AE)・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POER)