心臓を包む「袋」に水が溜まる病気、心膜炎とは…

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『心臓を包む「袋」に水が溜まる病気、心膜炎とは…』をご紹介させて頂きます。

心臓は、脳と並ぶ最重要臓器の筆頭です。ですので、心臓は色々なモノに守られています。肋骨はうまい具合にドーム型になっていて、心臓と肺がドームの空間に収まっています。骨で臓器を取り囲む構造は、脳を守る頭蓋骨と同じです。
心臓は「袋」でも守られています。しかしその「袋」が炎症を起こすと、大事な心臓に接しているだけに、重大な事態を引き起こすのです。
その病名は「心膜炎」といいます。
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2枚にビニール袋に包まれている

心臓の病気のうち「心筋梗塞」や「狭心症」「弁膜症」と聞くと、「とても恐い」と感じると思います。しかし「心膜炎(しんまくえん)」と聞いて、「恐い」と感じる人はどれくらいいるでしょうか。同じ心臓病なのに恐がられないのは、心膜という臓器があまり知られていないからです。
「心臓は破れにくい2枚のビニール袋に包まれている」とイメージしてください。心膜は、そのビニール袋です。心膜は二重になっています。1枚目の心膜が破られても2枚目の心膜が心臓を守り通すのです。
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病原菌、衝撃、心筋梗塞

心膜に炎症を引き起こす原因は3つあります。1つは病原菌による感染です。心膜は心臓を病原菌から守っています。ですので、心膜は病原菌にさらされます。それで感染してしまうのです。
心膜炎を引き起こす病原菌には、グラム陰性桿菌やブドウ球菌、レンサ球菌といった細菌があります。カビが感染しても心膜炎を発症します。心膜炎を引き起こすカビの名称は、ブラストミセス、カンジダ、コクシジオイデス、ストプラズマといいます。
心膜炎の2つめの原因は、衝撃です。物理的に心膜が傷つけられて、その傷が炎症を起こします。
3つめは心筋梗塞です。これあ逆転現象といえるでしょう。心筋梗塞は心臓自体の細胞が腐る病気です。心臓をリンゴに例えると、リンゴが腐ったことで、「リンゴを梱包していた袋」=「心膜」までダメージが広がったことになります。心膜が守っている心臓が心膜を傷つけてしまうのです。
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胸痛から肩、首、呼吸困難も

心膜炎の症状は、胸の痛みです。長時間にわたって「ずーん」とくる痛みではなく、短時間に「きゅーっ」と痛くなります。「刺すような痛み」と表現する患者もいます。
痛みは次第に、肩や首に拡散します。さらに炎症によって心膜が腫れてくると、肺を圧迫するようになります。それで息苦しくなったり、呼吸困難を生じたりします。
それでも我慢し続けると、発熱や悪寒が生じます。脱力症状も心膜炎の症状に数えられています。

最も怖い心タンポナーデ

心膜炎に限らず、体内で炎症が起きると、炎症の場所に体液が滲み出てきます。この体液が傷を癒すのですが、心膜炎の場合、特殊な事情があるのでこの体液が重大な事態を引き起こすのです。
心膜は、心臓を包んでいます。しかも病原菌が感染しないように、かなり強固に密閉しています。そこに体液が大量に滲み出てくると、どんどん体液が溜まってくるわけです。
しかも心膜はとても強い膜ですので、体液が溜まったくらいでは破けません。そうなると心膜の中にある心臓が、水圧によって押しつぶされてしまうのです。
ここまでくると、病名は心タンポナーデに変わります。

ショック死も

心臓は、縮むことで血液を体中に送り出し、膨らむことで体中の血液を心臓に集めます。しかし心タンポナーデによって圧がかかっている心臓は、縮むことも膨らむことも難しくなります。
心臓が体中に送られないということは、全身の細胞に酸素も栄養も届かないということを意味します。長時間、細胞に酸素と栄養が届かないと、人はショックを引き起こし、最悪死亡します。
これが「心膜炎は恐い」という意味になります。
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薬物療法が効果的だが、悪化すると手術が必要

心膜炎の治療は、心タンポナーデの予防を目的とします。心膜炎の段階で治療に取り掛かれば、薬だけで快方に向かいます。しかし心タンポナーデまで進んでしまうと、治療は大掛かりになり、患者の負担はかなり大きくなります。
心タンポナーデでは、早急に心膜内の体液を抜かなければなりません。皮膚の上から空の注射器を刺し、針の先端を心膜の内側に到達させ、水を吸い取ります。このとき、針先が心臓を突き刺したら大変なことになります。この治療は一見すると単純ですが、高い技術が必要になります。また「万が一」に備えなければなりません。心臓の緊急手術を行える病院でないと、原則、この治療はできないのです。

まとめ

40歳を超えている人が胸に痛みを覚えたら、必ず循環器内科の専門医にかかってください。心膜炎が見付かれば「ラッキー」と思ってよいでしょう。なぜなら「心タンポナーデではない」からです。
心臓の病気の最悪の終着駅は、突然死です。しかし心膜炎は、明白な症状があるので早い段階で治療を開始することができる病気です。早期ならば薬だけで治るのも、心臓病の特徴なのです。

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