今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『あなたは痛みを医者に伝えられますか? 胸の痛みもさまざまです!』をご紹介させて頂きます。

「治療」と聞いて、どのような行為を思い浮かべますか? 手術、服薬、検査でしょうか。しかしそれらの治療に取り掛かる前に、医師が必ず行う治療があります。それは症状の聞き取りです。症状を正確に知っておかないと、適切な治療を提供できないからです。
これを患者の立場から言い換えると、正確に自分の症状を表現できなければ、適切な治療が受けられない、ということになります。
例えば「胸の痛み」を正確に医師に伝えられますでしょうか。
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病気の推定の重要性

「どこが痛いですか?」「いつから症状が出ていますか?」「痛み出すのは何時頃が多いですか?」
医師の質問は、苦痛を抱えている患者にとって、ときにまどろっこしく感じるかもしれません。それでも医師が質問を止めないのは、それなりの理由があるからです。

症状が分からないと、病気の推定ができないからです。病気の推定ができないと、どの検査を受けさせるかが決まりません。検査が決まらないと、病気が断定できません。病気が断定できないと、薬を選べませんし、手術法を選べません。
薬も手術もできないと、最悪、患者は死んでしまいます。

また、おカネの問題もあります。病気の推定が間違っていると、間違った検査を行うことになります。間違った検査の結果は「異状なし」と出るでしょう。すると別の検査をしなければなりません。1回数万円する検査は珍しくありません。これらはすべて、税金と健康保険料と自己負担金から支出されています。

医師に間違った検査を選択させないために、患者は正確かつ詳細な症状の説明をしなければならないのです。
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狭心症

医者が患者から「猛烈に胸が痛い」と聞いてまず頭に浮かべるのは狭心症という心臓の病気です。狭心症には4タイプあります。

「階段の上りや重い物を持ち上げたときに、胸が締め付けられるような痛みが走った」場合、「労作性狭心症」が疑われます。「胸を両手でギューッと押されたような感じ」「肌が焼かれたようなひりひりした痛み」と訴えることもあります。
痛む場所は胸のほかに、「みぞおち」「肩」「首」です。「歯」や「喉」に痛みが走ることもあります。

「夜寝ているときや、明け方の目覚める直前に胸が苦しくなる」場合、「安静時狭心症」の可能性があります。痛むタイミングが異なりますが、痛みの質や痛む場所は「労作性狭心症」と同じです。

「労作時でも安静時でも胸が痛む」こともあります。これを「不安定狭心症」といいます。これは狭心症が進行して起こる「心筋梗塞」の前触れの危険があります。心筋梗塞は、心臓の細胞が壊死する恐い病気です。

さらに「症状がない」狭心症があります。「微小血管狭心症」といいます。激しい痛みを起こす狭心症は、心臓に栄養を送っている冠動脈という太い血管が狭くなって生じますが、「微小血管狭心症」は、冠動脈から枝分かれした細い血管が狭くなって発症します。
つまり医師に「症状がない」と伝えることも、立派な「症状の説明」になるのです。
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心筋梗塞

次の条件に当てはまる人は、必ずこの項目を読んでください。
「40歳以上」「喫煙」「高血圧」「コレステロールが高い」「糖尿病」「心臓病の血縁家族がいる」

該当する人は、次の症状が出たら心筋梗塞を疑って病院にかかってください。
「胸が痛む」「呼吸が苦しい」「冷や汗」「吐き気」「胃痛」
軽度の心筋梗塞では、病院に到着するころには痛みが消えている可能性があります。それで安心しないでください。医師には「何時間前に」「どの痛みが起きたか」をきちんと伝えてください。

重度の心筋梗塞では、「心臓をやりで貫かれたような痛み」が走ります。「立っていられなくなり」、「うずくまってしまう」でしょう。この状態は一刻を争います。すぐに119番通報してください。

肺塞栓(はいそくせん)

肺塞栓も、狭心症や心筋梗塞同様、血管が詰まって起きる病気です。肺塞栓の場合、肺の血管に血の塊が詰まり発症します。
ではその血の塊がどこでできたかというと、なんと足の静脈です。「足の血管が浮き上がっている」場合、そこで血の塊ができて、それが肺に移動する可能性があります。
つまり、医師は肺塞栓を疑うと、患者の足を見ます。

肺塞栓の胸の痛みは「息を吸うときに鋭く痛む」ことが特徴です。次に訪れる痛みは「胸を圧迫されている痛み」です。

胸の痛みの前に「息苦しくなることがあった」場合、それも医師に伝えてください。「息苦しさの後に続く胸の痛み」こそが、肺塞栓の特徴だからです。
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気胸(ききょう)

気胸とは、肺から空気が漏れている状態です。肺は胸腔(きょうくう)という空間の中に収まっていて、胸膜(きょうまく)というサランラップのような膜につつまれています。なので肺から漏れた空気は体の外に出ません。漏れた空気は胸膜を膨らませ、その膨らみは肋骨によって限界を迎えます。それで「胸が痛む」のです。

気胸による「胸の痛みは突発的ではありません」。まず「呼吸困難」があり、「咳」も出ます。その後に胸が痛くなります。
その痛みが引いて、さらにその後に胸が痛くなった場合、かなり危険な状態です。空気の漏れが大きくなり肺が完全にしぼんでしまい、それが心臓を圧迫しているのです。「ショック症状」を引き起こします。

膵炎、胆石

膵臓という臓器は、胃の下にあります。胆嚢という臓器は、肝臓の下、胃の上にあります。そんな場所にある2つの臓器の病気が、「胸に飛び火して痛みを起こす」ことがあります。

膵炎の痛みの特徴は、「胸だけでなく腹も一緒に痛む」ことです。じっとしていられないほどの「激痛」です。「吐き気」や「背中の痛み」も発症します。
「突発的なこと」もありますし、「徐々に痛みが強くなる」こともあります。

胆嚢に石がたまる胆石の痛みは、「無症状」から始まります。悪化すると、「右の肋骨の下から背中に抜けるような痛み」が走ります。「痛む場所が移動する」のも特徴です。「みぞおち」「へその上」「肩甲骨」「胸」などに移動します。「38度以上の発熱」も珍しくありません。

まとめ

「胸の痛み」だけでも、これだけの原因があり、そして患者が医師に伝えるべき情報もこんなにたくさんあるのです。
痛みが出たら、メモすることをおすすめします。「日時」「場所」「そのときにしていたこと」「ほかの器官の異変」「生活習慣」を記録に残しておき、「これは医者にかからなきゃ!」と決めたら、そのメモを持っていってください。
きっと、より少ない検査で、より効果的な治療を受けることができますよ。

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