今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『女性高齢者のひざ痛「変形性ひざ関節症」の予防!』をご紹介させて頂きます。

高齢の女性に多い「ひざ」の痛み

変形性ひざ関節症は、ひざ関節の「軟骨」がすり減り、ひざ関節に炎症が起きて痛みを感じる病気です。厚生労働省の調査では、全国で約3000万人いるといわれています。

ひざ関節は体のなかでいちばん大きな関節で、大腿骨と頸骨を中心に、立ったとき・歩くときなどに体重を支えています。正常なひざ関節は、表面が軟骨でおおわれています。軟骨は、関節の動きをなめらかにしたり、骨と骨の衝撃を和らげたりする働きです。

しかし、加齢や肥満などで軟骨がすり減ると、骨と骨が当たり痛みが出て、さらに骨が変形するようになります。したがって、変形性ひざ関節症は高齢者に多くみられる病気です。女性に多く、男性の約4倍の確率で発症しています。60代女性の約40%、70代女性の約70%がかかっているといわれます。肥満でO脚の人に多いのも特徴です。女性に多い理由は明らかではありませんが、閉経などホルモンのバランスが影響していると考えられています。


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「痛み」と「腫れ」がおもな症状

変形性ひざ関節症の症状は、おもに「痛み」と「腫れ」です。初期・中期・末期で次のように異なります。

<初期>
朝起きて歩きだすとき、椅子から立ち上がるとき、車から降りるなどとき、ひざに体重がかかる動作のはじめで「ひざに痛み」を感じ、休むと痛みは治まります。

<中期>
膝の曲げ伸ばしがつらくなります。階段の昇り降り、正座、しゃがむなどの動画が困難になります。関節液(ヒアルロン酸やタンパク質を含んだ潤滑油のようなもの)が多量に分泌されて関節に「水」がたまりやすくなります。水がたまるとひざが腫れて、曲げ伸ばしが制限されます。

<後期>
軟骨の摩耗が進行し、骨と骨が直接ぶつかりあって強い痛みが生じます。骨そのものが変形している恐れがあります。安静にした状態でも痛みがあります。ひざを伸ばすことができず歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたします。
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加齢・太り過ぎ・O脚が、原因?

変形性ひざ関節症の原因ははっきり分かっていません。しかし(1)加齢・(2)太り過ぎ・(3)O脚が大きく関わっていることは確かなようです。長い期間のひざ可動で、軟骨が少しずつ消耗したことに加え、軟骨に栄養を与えるヒアルロン酸が、加齢によって減少することが原因の1つと考えられています。

人間の歩行には体重の約3.1倍の負荷がひざにかかります。体重80kgの人であれば、248kgの重さをひざが担うことになります。長い期間にわたる200kg以上の負荷が、ひざの軟骨や半月板を傷つけ、変形性ひざ関節症が起こる原因をつくっています。また、日本人に多いとされる「O脚」は、ひざの内側に負荷がかかり、内側軟骨が消耗しやすく、ひざ関節症をひき起こします。

軟骨は再生しないので注意。早めに整形外科へ

消耗した「軟骨」は、一度壊れると再生しませんし、変形性ひざ関節症の症状は自然に治るものでもありません。そのため、早めの対処が大切です。歩きはじめにひざが痛むと感じたら「整形外科」を受診しましょう。レントゲン検査・関節液検査・血液検査によって、診断が確定します。

軽度あれば、薬物や運動などによる保存療法がすすめられます。症状が進行していると外科手術が必要です。
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「日常の注意」と「3つのエクササイズ」

変形性ひざ関節症は、40代からはじまる人が多いようです。運動不足の人、デスクワークが多い人、太りぎみの人、姿勢がわるい人は注意が必要です。日常生活では、次のような予防策を心がけましょう。

・太ももの裏側(ハムストリング)を伸ばす
・太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える
・正座をなるべくさける
・減量し、体重をコントロールする
・エアコンなどで下半身を冷やさない
・夏場でも、お風呂でひざを温めて血行をよくする
・洋式トイレを使用する

その他、次のエクササイズが有効とされています。
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<水中ウォーキング>
プールなど水中をゆっくり歩行します。週に1~2回のペースで、1回につき約20分からはじめましょう。疲れ過ぎないことが大事です。

<お風呂でのエクササイズ>
浴槽のふちにつかまり、膝を曲げてゆっくりしゃがみます。10数えたら静かに立ち上がります。これを5〜10回くり返します。

<椅子にすわったエクササイズ>
椅子に深く腰かけて背筋を伸ばします。右足をまっすぐ前へ伸ばし、10数えたら足を下ろします。左足も同じように行います。これを20セットくり返します。

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