今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『しゃっくり100回で死ぬは嘘?』をご紹介させて頂きます。

しゃっくりを100回すると死ぬ――みなさんはこれを迷信だと思っていませんか? しゃっくりなんて何回しても体に支障はないと思っていませんか?
確かに、しゃっくりのしすぎで人が亡くなったという報告はありません。しかし、しゃっくりはれっきとした病気です。
救急医療の医師は「しゃっくりで病院に来る人は意外に多いんですよ」と話しています。

しゃっくりのメカニズムをやさしく解説

まずは「しゃっくりとは」から解説します。少し専門用語を使いますが、分かりやすく説明します。しゃっくりのメカニズムが分かると、人体のことが少し深く分かるようになりますよ。
しゃっくりは正式名称を「吃逆(きつぎゃく)」といいます。お腹の中の「横隔膜(おうかくまく)」という臓器が突如けいれんを起こし、喉が閉じて空気が入らなくなり、口から「きゃっ」とか「ぎっ」という「変な声」が出る症状です。

横隔膜はお腹を2つに分けている

人の内臓は「胸」と「腹」に分かれています。「胸」には肺や心臓などが入っています。「腹」には肝臓や胃、小腸や大腸が入っています。「横隔膜」は「仕切り板」のようなものです。「胸の内臓」と「腹の内臓」が行き来しないようにしているのです。
なぜこんな仕切り板が必要かというと、呼吸をするためなのです。横隔膜の上には肺があります。横隔膜を持ち上げると、肺が縮まります。このとき、肺から口に向けて二酸化炭素を吐き出します。横隔膜を押し下げると、肺が膨らみます。このとき、口から肺に向けて酸素などの空気が入ってきます。

横隔膜を動かしたことはありますか?

横隔膜を上げ下げすることで呼吸が正常に行われます。しかしほとんどの人は普段「さて、呼吸をしようかな。そのためには横隔膜を上げよう。はい、次に横隔膜を下げよう。また横隔膜を上げよう…」なんて「意識」したことはないと思います。
多くの人は、「無意識」に横隔膜を上げたり下げたりして呼吸をしています。どうしてそんなことが可能なのかというと、「神経」がきちんと仕事をしているからなのです。
「脳」と「神経」が連携して横隔膜を動かしているので、「意識」しなくても呼吸が行われるのです。
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意識的に止められない・・・

呼吸を司っている神経は「横隔神経」と「延髄呼吸中枢」といいます。この2つの神経が「プチ暴走」すると、横隔膜の上げ下げのリズムが狂い、しゃっくりを引き起こすのです。「横隔膜の上げ下げのリズムの狂い」のことを「けいれん」といいます。

では、神経を「プチ暴走」させる原因はなんでしょうか。無数にあるそうです。
食べすぎて胃が膨らみすぎても、アルコールを飲みすぎても、熱いモノを急に食べても、「横隔神経」と「延髄呼吸中枢」は「プチ暴走」してしまいます。
喉の病気になっても、腸の病気になっても、肺の病気になっても、それが引き金となって神経が「プチ暴走」して、しゃっくりを引き起こすのです。

しゃっくりがやっかいなのは、「無意識に行っている呼吸」の異常であるという点です。つまり意識的に横隔膜の動きをコントロールしようとしても、うまくいかないのです。横隔膜の上げ下げくらいは意識的に行うことはできますが、横隔膜のけいれんを意識的に止めることはできないのです。
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漢方がおすすめ

岸和田徳州会病院救命救急センターの薬師寺泰匡医師は「しゃっくりを止める薬」として、「クロルプロマジン」と「メトクロプラミド」という2つの薬を紹介しています。しかし、クロルプロマジンは統合失調症の患者に使われる薬です。メトクロプラミドは、嘔吐や悪心を抑える薬です。2つとも副作用が小さくない薬なので、高齢者には使いにくいそうです。

薬師寺医師がおすすめする「しゃっくり止め薬」は、漢方薬です。柿のヘタなどから作った「柿蒂湯(していとう)」は、効果が期待できます。また、こむら返りの治療に使う「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」も効果的だそうです。こむら返りは筋肉の「けいれん」ですから、横隔膜のけいれんのしゃっくりにも効くんですね。

まとめ

しゃっくりは神経の「プチ暴走」なので、それほど大袈裟な治療を必要としない場合も多いです。10CCほどの酢を一気飲みすることで治ることもあります。
ただ、お年寄りにしゃっくりが頻発する場合、きちんと医療機関にかかった方がいいでしょう。内視鏡で調べた結果、食道に長期間食べ物のカスがたまっていたことが分かった事例も報告されています。その食べ物のカスを取り除いたら、しゃっくりが治まったそうです。
「しゃっくりは一応は病気」そう覚えておいてください。

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