今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ダニにかまれて脳炎、死亡!?』をご紹介させて頂きます。

日本国内で、また恐ろしい病気による死者が発生しました。2016年8月16日付の時事通信社によりますと、北海道内の男性が2016年7月に、北海道内の山の中でマダニという種類のダニにかまれて脳炎という病気を発症しました。男性は札幌の病院に入院しましたが、8月13日に死亡しました。
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1993年以来の発症、国内での死亡は初

男性が発症した病気は「ダニ媒介脳炎」といいます。ダニにかまれることでウイルスに感染して発症します。今回のダニ媒介脳炎の発症は、国内では1993年以来です。国内でのダニ媒介脳炎による死亡は、今回が初です。
また2001年にオーストラリア在住の日本人が、オーストラリアの田舎で感染し死亡しています。
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リス、ネズミも

ダニ媒介脳炎は日本では珍しい病気ですが、ロシアやヨーロッパでは頻繁に発症しています。野外での仕事が多い人は、専用のワクチンを接種するほどです。
ダニ媒介脳炎を発症させるのは、フラビウイルスというウイルスです。マダニのほかに、リスやネズミなどの「げっ歯類」と呼ばれる動物も持っていることが多いです。
今回死亡した男性のように、山の中に入ってこれらの動物にかまれて感染することがほとんどです。人から人に感染することはありません。
げっ歯類の動物は臆病なので、人が特別な行動を取らなければ逃げていくので、かまれる心配はないでしょう。
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深い山に入る人は注意を!

しかしマダニは、沢に沿った斜面や森林、牧草地などに普通に生息しています。あまり人通りがない山を登山する人や山林で作業する人は注意が必要です。長袖、長ズボンは必須アイテムです。虫よけスプレーも効果的とされています。
厚生労働省によると、国内では、家の中や管理が行き届いた場所には、マダニは生息していません。

錯乱、人格変化も

ダニ媒介脳炎の症状は、発熱、頭痛、けいれんです。眠気や麻痺が起きることもあります。悪化すると、錯乱状態に陥ったり、人格が変化したりすることもあります。
ウイルスが直接脳に感染することで脳が炎症を起こし、こうした症状を引き起こすのです。
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治療法はない!

潜伏期間は1~2週間です。山に入りダニにかまれ、1~2週間後に発熱したら、すぐに医療機関にかかってください。その際、山の場所、かまれた日をきちんと医師に伝えてください。
ダニ媒介脳炎の治療法はありません。治療は症状の緩和につながる処置をするだけで、感染が収まるまで1~2週間、場合によっては生命次装置を使うそうです。

まとめ

感染例や死亡例が極めて少ない病気なので、日常生活で過敏になる必要はないでしょう。しかしアウトドアを楽しむ人は、「外での危ない出来事」のひとつとして頭の片隅に残しておいてください。

(参考資料:
①時事通信社2016年8月16日付「ダニ媒介脳炎で死亡=国内初、40代男性―北海道」
②厚生労働省「ダニ媒介脳炎に関するQ&A」
③メルクマニュアル医学百科「脳炎」)