今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『熱性けいれん「舌を噛まないように割り箸を入れる」はダメ!』をご紹介させて頂きます。

日本人の子供は、けいれんを引き起こしやすいといわれています。そのうち、6歳未満の子供で、38度以上の高熱を伴うものを「熱性けいれん」といいます。この病気の知識がない親は、子供のけいれんを見てパニックを起こしてしまい、「舌を噛まないように口の中に割り箸を入れる」といった間違った対応をしてしまいがちです。ママとパパは、正しい知識を持って適切に対応してください。
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心配のいらないけいれん

熱性けいれんのうち、全身で震えて、その震えが15分以内に治まりものを「単純型熱性けいれん」といいます。熱性けいれんのうち7~8割程度は「単純型」で、いわゆる「子供あるある」なので心配いりません。
もし数分程度で治まるけいれんで、年に数回しか起こさなければ、小学校に入るころには治っています。
ただ、病院にはかかってください。医者から「単純型熱性けいれんだから心配いりません」という診断を受けてください。

「けいれん」と「てんかん」の違い!?

医者から「単純型熱性けいれん」といわれても心配してしまう親は、恐らく「けいれん」と「てんかん」を混同しているのではないでしょうか。「てんかん」は「けいれん」という症状を引き起こす脳の病気です。つまり「単純型熱性けいれん」という病気は、「てんかん」という病気とは別物なので、心配がないのです。
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恐いけいれん!!

けいれんが15分以上続いたり、15分以内であっても体の片側だけがふるえたりすると、恐いけいれんかもしれません。また、24時間以内に2回以上のけいれんが起きるのも危険な兆候です。これを「複雑型熱性けいれん」といいます。
複雑型熱性けいれんを引き起こすのは、「てんかん」「髄膜炎」「脳炎」「脳症」などです。ひとつずつ見てみましょう。

てんかん

てんかんは脳の病気です。脳の細胞が過剰に活動してしまい、制御できなくなってしまうのです。その状態を「電気的な興奮」といい、複雑型熱性けいれんを引き起こしたり、意識を失ったりします。

髄膜炎

脳と頭の骨の間には、4つの膜があります。脳から頭の骨に向かって、軟膜→くも膜→硬膜→そして髄膜です。髄膜は、微生物や薬の副作用で炎症を起こします。それが髄膜炎です。脳に近い場所での異常なので、てんかんの症状に似た症状が起きます。
髄膜炎はまず頭痛から始まります。続いて発熱、錯乱、嘔吐、そして複雑型熱性けいれんです。

脳症

脳や脳の周辺に炎症がないのに髄膜炎のような症状が起きる病気を脳症といいます。インフルエンザにかかって発熱を起こし、脳症に悪化することもあります。複雑型熱性けいれんのほか、肝臓や心臓などもやられてしまい、致死率は33%ともいわれています。
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親の対応

複雑型熱性けいれんが疑われた場合、迷わず救急車を呼んでください。救急車が来るまでの処置は、次の通りです。
・顔が真っ青でも意識を失っていても、親は動じてはならない
・意識を取り戻そうとして体をゆすってはならない
・大声でよびかけてはならない
・服をゆるくしてあげる。特に首のまわりに余裕をもたせる
・頭を体より低くする。肩の下に低いクッションを入れてもよい
・嘔吐物を吐き出せるように顔を横に向ける
・水を飲ませない。ものを食べさせない
・口の中や鼻の中に嘔吐物がないか確認する。あったらガーゼでゆっくりふきとる
・激しく歯ぎしりしても口の中にものを入れない
・舌を噛まないようにと割り箸などを入れるのは禁物
・静かに体温を測定する。けいれんの時間も測る
・計測した数値をメモにして救急隊や医者に渡せるようにする

まとめ

熱性けいれんにおいて、親ができることは親しかできません。熱性けいれんは、単純型と複雑型を合せて1割の子供が起こすといいます。「他人事」ととらえずに、しっかり知識を身に付けて子供を守ってあげてください。

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