今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『 アフリカと南アメリカを旅行する人は「黄熱ワクチン」を忘れずに!!』をご紹介させて頂きます。

黄熱は致死率の高い病気で、アフリカや南アメリカではいまだに死者が出ています。日本人の発症例もあります。ただ、予防接種が効果的です。アフリカや南アメリカに旅行する人は、そのほかのワクチンと一緒に、黄熱対策も取ってください。
20160805n

サルと蚊に注意!

黄熱は、ウイルスによって感染する病気です。ウイルス名は「フラビウイルス」といい、日本脳炎という病気を起こすウイルスと同じです。
人から人への感染はありません。サルから人への感染と、蚊から人に感染します。
人に感染する危険があるサルは、アフリカミドリザル、リスザル、マーモセット、ホエザル、クモザルで、いわゆる「よく知られているサル」も含まれます。
蚊は主にネッタイシマカです。

ナイジェリア、ケニア、ブラジル、ペルーなどなど…

黄熱の発症リスクが高いのは、アフリカ中部と南アメリカです。アフリカでは、西からセネガル、シエラレオネ、ギニア、コートジボワール、ナイジェリア、コンゴ、アンゴラ、スーダン、ウガンダ、ケニア、エチオピアなどです。
南アメリカでは、パナマ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、パラグアイ、そして2016年オリンピック・パラリンピックのブラジルなどです。
これらの国に渡航する方は、黄熱の予防接種を受ける必要があります。
20160805i

軽症でも発熱と頭痛。妄想を見たり、最悪死亡も

黄熱の症状はとても苦しいです。「軽症」といわれるレベルでも、発熱、頭痛、悪心、嘔吐、結膜の充血が起きます。これが3日も続きます。
重症になると、めまい、黄疸、そして出血をきたします。歯から鼻から肛門から膣から出血します。そして意味不明な言葉を叫んだり妄想を見る、せん妄も深刻です。
最悪、死亡します。致死率は20%といわれています。かなりの高率です。
20160805l

自己防衛できることはたくさんある!

潜伏期間は3~6日間です。サルに接触したり蚊に刺されてから数日後に発熱がみられたら、感染を疑ってください。
しかし先に紹介したリスクが高い国では、すぐに医療機関にかかれるとも限りません。そこで防虫スプレーや蚊帳を持参することは大切です。野生のサルと触れ合う機会があっても、触らない方が無難です。自分でできるリスク回避の方法はすべて採用した方がよいでしょう。

治療法はない

というのも、黄熱の治療法は存在しないからです。それは「アフリカや南アメリカに治療法がない」というのではなく、先進国にもないのです。発症したら、症状を抑えるしか打つ手はありません。

重大な副作用も

治療に頼れないので予防で身を守るしかありません。黄熱ワクチンは非常に効果が高いのですが、鶏卵を使ったワクチンを作るので、卵アレルギーの人は接種できません。
卵アレルギーの人が黄熱ワクチンを接種したときの副作用は大きく、肝機能の低下や呼吸不全、そして多臓器不全による死亡例もあります。

死亡者数は減少傾向

徐々にではありますが、世界的に衛生状態が改善していることから、黄熱の患者数も、黄熱の死亡者数も減少傾向にあります。
WHOの調査では、1990年の黄熱患者数は4336人、黄熱による死亡者数は410人でした。それが1999年にはそれぞれ208人(95%減)、101人(75%減)にまで減りました。
20160805e

予防接種の種類

アフリカや南アメリカに限らず、発展途上国に行く場合、黄熱以外にも気を付けたい病気があります。
日本ではあまり耳にしない「A型肝炎」については、厚生労働省は「途上国に1カ月以上滞在する40歳以下の人」に、予防接種を推奨しています。
これも国内ではほぼ撲滅されましたが、「破傷風」についても「冒険をしてけがをする可能性のある人」に予防接種をすすめています。
野良犬やコウモリが多い地域に行く動物研究者には「狂犬病」、東南アジアの豚を飼っている地域に行く人には「日本脳炎」に気を付けなければなりません。いずれも予防接種があります。

まとめ

海外では「助け」が得られないことが多いです。自分の身は自分で守る、これは海外旅行の鉄則ですね。