今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『夏に大流行の手足口病とは!?』をご紹介させて頂きます。

子供の夏の病気で気を付けたいのは「手足口病」です。その名の通り、手足や口の中に水ぶくれができる不快な病気です。子供自身ではなかなか予防できません。お父さんやお母さんがこの病気の知識をもって、子供を守ってあげてください。

壮絶な状態になることも

口の中の水ぶくれは、下唇の裏に生じやすいです。1~3ミリほどもあり、かなり目立ちます。舌の裏にできることもあります。手の水ぶくれは、手のひらも手の甲も指も区別なく現れます。ただ、手首から肩にかけての「腕」にはあまり多くはできません。一方で、足の水ぶくれはかなり壮絶です。股から足の指の先までびっしりできます。
水ぶくれは最初は透明か薄い黄色ですが、次第に真っ赤になります。
水ぶくれはまれに、お尻にできることもあります。
20160721h

90%が5歳以下

手足口病は、ウイルスに感染して発症する「急性ウイルス感染症」という病気のひとつです。ウイルスは4種類あり「コクサッキーウイルスA6」「コクサッキーウイルスA16」「コクサッキーウイルスA10」「エンテロウイルス71」といいます。
患者の90%は5歳以下の子供で、そのうち半数が2歳以下です。
感染経路は、患者の唾がかかる飛沫感染、患者と触れることによる接触感染、感染者の便を経由する糞口感染の3つです。特に糞口感染で気を付けたいのは、感染した赤ちゃんのオムツを交換→保母さんにウイルス付着→ほかの子供に感染、という経路です。
5歳以下の子供は保育所などで集団生活を送ること多かったり、子供同士なので触れ合う機会が多いので、1人に発症すると次々感染を広げていきます。

重症化に注意

感染してから水ぶくれが出てくるまでに3~5日程度かかります。水ぶくれのほか、患者の3割は発熱します。ただそれほど高熱になることもありませんし、大抵は数日で症状がかなり軽くなります。
しかしまれに重症化することがあるので、油断は禁物です。中枢神経が障害されることがあるからです。中枢神経の病気としては、髄膜炎、小脳失調症、脳炎があります。医療が遅れている発展途上国では患者が死亡することもあります。

水ぶくれが出ない!?

手足口病が恐いのは、水ぶくれという最も典型的な症状が出ないまま、中枢神経の病気に移行してしまうことです。
またウイルスの種類のよっても特徴が分かれます。4つのウイルスのうち「エンテロウイルス71」に感染すると、重症化しやすいといわれています。また、「コクサッキーウイルスA6」による手足口病は、症状が消えた後も油断できません。水ぶくれの症状が消えた1カ月後に、手足の爪が次々はがれた事例が報告されています。
20160721o

治療も予防もできない

手足口病には、特効薬がありません。薬としては発熱したときに解熱剤が処方されるくらいで、あとは安静にして経過観察するしかありません。
また予防が期待できる薬もワクチンもありません。できることといえば、しっかりと手洗いをすることくらいです。自分の指をなめる子供は多いと思います。本当はこうした行為は感染のリスクを高めるのでやめさせたいところですが、小さい子供に指をなめる癖を正すことは難しいでしょう。
20160721f

感染を広げないこと!

もし子供に発症したら、家庭内で感染を拡大させないことが重要です。石鹸、タオル、足ふきマットの共有はNGです。オムツをしているお子さんが発症した場合は、使用済みオムツは他のゴミと一緒にしないでください。

発症のピークは7月

手足口病が発症しやすいのは7月です。また、年によって大流行したりしなかったりします。近年では2011年と2013年に大流行しています。
ただまれに秋や冬にも発症します。

まとめ

大半の手足口病は簡単に治ります。それを知っている親は、子供が発症しても医者にみせないことがあります。しかしこの病気を安易に考えるのは危険です。特に発症した子供にきょうだいがいたり、その子が保育所など集団生活の場に通ったりする場合、感染を広げないことは親の責務です。きちんと医者に診てもらいましょう。

▶︎医師が薦める「小児科・小児外科」の名医情報なら【名医ログ】