今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『健康食材の決定版「キング・オブ・食物繊維」を食べよう!』をご紹介させて頂きます。

「食物繊維が健康にいいことくらい知っているよ」そんな声が聞こえてきそうです。しかしきょう紹介するのは食物繊維の王者「キング・オブ・食物繊維」です。
では質問です。日本人の食物繊維の摂取量は、1952年は1日20グラムでした。それが2013年には14グラムにまで減っています。実に3割も減っているのですが、なぜこんなに減ったと思いますか?

野菜や果物は結構食べられている

「野菜を食べなくなったから」と答えた方、はずれです。日本人の野菜の摂取量は、1952年と2013年ではあまり変わりません。やはり食物繊維を多く含む果物の摂取量もあまり減っていません。豆や海藻にも食物繊維はたっぷり入っていますが、この摂取量もあまり変わりありません。
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穀物は穀物でもこの穀物を摂れ!

日本人があまり摂らなくなった「食物繊維リッチ食材」それは穀物です。穀物といえば、米や麦です。はい「それなら毎日たくさん食べている」という声が聞こえました。しかし残念ながら、それも不正解なのです。日本人が大好きな白米には、ほとんど食物繊維が含まれていないのです。
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キング大麦

100グラムに含まれる食物繊維の量を比較すると、
白米0.5グラム
玄米3.0グラム
大麦9.6グラム
となります。
そうなのです。「玄米は体に良い!」ということは有名ですが、食物繊維の視点からすると、大麦にはるかに及ばないのです。大麦こそ、キング・オブ・食物繊維なのです。
それ以上に、白米の食物繊維の少なさは、愕然としたのではないでしょうか。白米は、玄米から「皮」と「胚芽(はいが)」を取り除いた状態の米です。しかし食物繊維は皮と胚芽にたっぷりはいっているのです。
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白い食パンも「△」

また、麦といえばパンを思い浮かべる人いると思いますが、真っ白な食パンにはあまり食物繊維は含まれていません。おすすめは、ライ麦パンです。
真っ白な食パンの食物繊維の量は2.3グラムですが、ライ麦パンになると5.6グラムに増えます。実に2.4倍もあります。

心臓に良い

食物繊維はなぜ体にいいのでしょうか。実は30年ほど前まで、食物繊維は「食材のカス」と考えられていました。それは、栄養素を含んでいるわけでもないし、消化も吸収もされないからです。口の中に入れた食物繊維は、ほぼ同量がうんちに入って体の外に捨てられるのです。
しかし栄養学の研究が進み、食物繊維がほかの栄養素に良い働きをすることが分かってきました。まず、肥満予防になります。食物繊維が多く含まれる食べ物は食べにくいという性質を持つので、食べる速さが遅くなったり、早く満腹感が得られたりします。いずれも肥満防止効果があります。
動脈硬化の予防にも一役買っています。食物繊維は、コレステロールの吸収を邪魔するので、血管が詰まりにくくなります。動脈硬化を予防できるということは、心筋梗塞や脳梗塞の予防にもつながるということです。
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野菜よりも効果的に糖尿病を防ぐ

野菜の食物繊維よりすごいのは、「穀物の食物繊維」です。なんと、糖尿病の発症を少なくすることが分かったのです。「野菜で食物繊維を多く摂っている人」と「野菜をあまり食べない人」の糖尿病の発症率はあまり変わりませんでした。
しかし「穀物で食物繊維を多く摂っている人」と「穀物をあまり摂らない人」では、はっきりと差が現れたのです。
なぜこんな結果になったのかというと、穀物の食物繊維が、穀物に含まれる糖分の体内吸収をブロックするからです。体内に吸収される糖分が減るので、血中の糖分が増えないのです。つまり糖尿病予防です。
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麦ごはんを食べよう

さて、キング大麦にはもうひとつ利点があります。それは価格が安いことです。ただ、大麦だけを主食にすることは難しいので、大麦を白米に混ぜて食べると良いでしょう。いわゆる麦ごはんですね。
また玄米も、大麦ほどではありませんが、白米よりはましです。

まとめ

専門家は「日本人の食物繊維の摂取量は全く足りていない」と警鐘を鳴らしています。先述した通り、現代人の食物繊維摂取量は、1日平均14グラムです。しかし本来は、男性は20グラム以上、女性は18グラム以上必要とされているのです。

参考資料:「佐々木敏の栄養データはこう読む」、東京大学公共健康医学専攻