今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『園児のあいだで静かに流行「アタマジラミ症」の対処法!』をご紹介させて頂きます。

いまのシラミは、不衛生と関係なく感染

昨年(2015年)の初夏あたりから、保育園・幼稚園の園児や小学生低学年のあいだで「アタマジラミ」の感染が広がりつつあります。近年、シラミを見た経験がない親や先生が増えているため、発見が遅れたり、発見しても対処が中途半端だったりして、感染がじわじわ静かに拡大しているようです。

シラミというと、これまで「不衛生な環境」というイメージがあります。感染した子供の家庭では、「うちの子は清潔にしているつもりなのに、どうして?」とおそらく思うでしょう。現在のシラミ感染は、衛生状態にそれほど関係なく発生しているようです。現在の事情を確認して、幼い子供のいる家庭では注意してください。
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頭皮から血を吸う「寄生生物」

アタマジラミは人間の頭髪にすみつく昆虫で、1日に数回、頭皮から血を吸う寄生生物です。成虫は約2~4mmの大きさで、30~45日生きるといわれています。繁殖力が強く、毛髪の根本に、0.5mmほどで楕円形の白い卵を1日に3~8個、1ヶ月に約100~150個生みます。

卵 → 幼虫 → 成虫の順で成長し、卵から約3週間の猛スピードで成虫にまで育ちます。成虫になると、からだは灰褐色になります。吸血したあとのからだは赤くなり、時間が経過すると赤黒くなるのが特徴です。

アタマジラミに吸血されると「かゆみ」を感じます。これは吸血されたことへのアレルギー反応です。したがって、吸血されはじめの時期では「かゆみ」はほとんどありません。くり返し吸血されることで、抗体ができて「かゆみ」が発生します。かゆみの程度に個人差はありますが、強いかゆみが出ると、子供は爪で掻きむしることが多いため、頭皮に炎症をつくることがよくあります。
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小さい子供は、頭と頭をつけて遊ぶことが多い

アタマジラミ感染の多くは、頭と頭の接触が原因です。保育園や幼稚園は、お友達同士でなかよく頭と頭を接触させて遊ぶ様子がよく見られます。あるいは、みんなで昼寝をするときにも頭と頭がよく接触していますし、アタマジラミのいる枕や布団から別の子供の頭髪に、アタマジラミは感染しているようです。

また、共有の寝具、帽子、マフラー、タオル、ハチマキ、ヘアーブラシ、クシ、ヘアゴムも感染経路と考えられます。そのほか、見落としがちなのが衣類や寝具の保管です。「アタマジラミのいる衣類や寝具」と「そうでない衣類や寝具」を重ね置きしていると、アタマジラミは子供たちに蔓延します。

このあたりの知識は、家庭はもちろんですが、保育園や幼稚園の若い先生にも、確認や指導が必要かもしれません。そしてもし、子供が感染したとしても、お友達となかよく接したうえでの感染ですから、親としては冷静に対処したいものです。
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まず皮膚科に相談しては?

アタマジラミの成虫は毛髪にしがみつき、卵は粘着力があって洗髪では落ちにくいのが特徴です。アタマジラミ症かもしれないと思ったら(あるいは、成虫や卵を発見して確実にそうだと思ったら)、自分で対処するよりも、皮膚科の医師に相談するのがよいでしょう。中途半端な対処は、かえって感染の拡大につながります。

相談するまえに、できるのであれば頭髪をショートカットにするのもおすすめです。アタマジラミの生息地域が少なくなるからです。アタマジラミは、人間の体から離れると72時間以内に餓死します。切った髪の毛は集めて袋に密封します。袋は一日天日干しすると、より安心です。

病院では、駆除薬や専用のくしを使った駆除が指導されます。アタマジラミがついているかもしれない衣類などは、熱処理をするとよいでしょう。アタマジラミは、60℃の熱を5分以上つけると100%死滅します。
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子供の頭皮や頭髪をこまめに確認する

アタマジラミ症の感染予防は、(1)頭をていねいに洗う、(2)ドライヤーを使う、(3)ブラシやクシでとかす、が基本です。

アタマジラミ症感染者の約90%は、小学生未満の子供といわれています。小さな子供は汗かきで頭を掻くことはよくあります。これからの季節は汗疹であるかも知れません。それでも、頭をたくさん掻いている様子を見かけたら、まわりの大人が頭皮や頭髪を確認してあげましょう。

家庭では、「自分のことは自分でやる」ことの大切さを教えつつも、洗髪の仕上げはできれば大人がしてあげましょう。兄弟のなかに、大きなお兄さんやお姉さんがいれば、説明して親の代理チェックをお願いするのも「あり」です。とにかく、周囲の人のこまめな確認が大事です。

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