今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ガマガエルが由来? 女性に多い「ガマ腫」とは?』をご紹介させて頂きます。

口のなかにガマガエルが?

冗談のようですが、ガマ腫の「ガマ」とは、ガマガエルのことです。ある日、舌の裏や口の底に、口内炎のような違和感を覚えて鏡を見ると、そこにはやや青みをおびた半透明の不思議な袋のような、あるいは水の入ったおかしな風船のような「ふくらみ」があるのに驚きます。

ふくらみは、はじめ5〜10ミリほどですが、徐々に大きくなり、人によっては約2〜3センチにまで腫れて、舌が押し上げられるほどです。
この「ふくらみ」が、ガマガエルの喉に似ていることから「ガマ腫」と呼ばれています。ガマ腫は喉の病気です。別名ラヌラ(Ranula)とも言われます。ラテン語の「Rana」に由来し、「小さな蛙」という意味です。どちらにしても、カエルの喉のような腫れもの、ということです。
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袋の中身は、粘性の高い唾液

ガマ腫の袋は、医学的には「嚢胞(のうほう)」と呼ばれています。中身は、粘性の高い唾液です。もしかして腫瘍かしら、と不安になる人もいるでしょうが、嚢胞と腫瘍はまったく別のものです。腫瘍は体にできた「こぶ」や「しこり」です。一方、嚢胞は、膜に包まれた袋に液体成分が溜まったもので、ほとんどは良性です。

口のなかには、左右に1つずつ「舌下腺」という唾液腺があります。舌下腺に何らかの原因で炎症が生じると、唾液はうまく排出できなくなる排出障害を起こして、組織のなかに漏れだします。もともと舌下腺からの唾液は粘性が高くトロトロしています。その漏れ出たトロトロの唾液が組織のなかに溜まって「嚢胞」をつくると考えられています。

原因はいまのところ明らかになっていません。研究調査に基づいた考えはいくつか出ています。唾液管(唾液線で作られた唾液が通る管)が生まれつき弱いことが原因ではないか、または食事の際に頬の内側を噛んでしまったことにより、粘膜が傷ついて唾液管が詰まるためではないか、など専門医のあいだにも、さまざまな意見があります。
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破れると一旦小さくなるが、再発が多い

一部を噛むなどして、嚢胞は破れることがあります。するとなかから粘性の高いトロトロの液体が出て、腫れは一旦小さくなります。しかし、時間が経つと同じ場所に、ふたたび嚢胞ができることがよくあります。

がま腫ができると、舌が動かしにくくなるため、食事がしにくい、しゃべりにくいといった日常生活への支障があらわれます。口内炎のように、痛みを感じることはほとんどありませんが、嚢胞の大きさや発生位置によっては、ときどき鈍い痛みが出ることはあるようです。

10~30歳の女性に多く発症します。発症率は男性の約3倍ですが、その理由は不明です。口のなかに思いあたる「ふくらみ」が見つかったら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
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ガマ腫を切って、液体を抜く手術

ガマ腫の診察は、症状と所見で判断されることがほとんどです。発生位置によっては、リンパ管腫(リンパ液のたまる病気)との見分けを確認するため、CTやMRIなどの画像検査を実施することがあります。

一般的な治療は、ガマ種のなかに溜まった液体を外にだす方法が2種類あります。(1)注射器を使って液体を吸い出す方法、と(2)がま腫を切開してなかの液体を排出する手術です。手術は「開窓術」という外来小手術です。どちらも比較的簡単な方法ですが、再発する可能性があります。再発率は50%近いともいわれ、ときどき病院を訪れては経過観察が必要です。

確実な治療は、原因である舌下腺を摘出する「舌下腺摘出術」です。再発がくり返される患者について検討されます。舌下腺を摘出をすれば、再発することはありません。

また最近は、薬剤治療が多く行われるようになっています。注射針で溜まった唾液を抜き取り、そこへ同量のOK432(ピシバニール)という薬剤を注入する方法です。90%近い治癒率とも言われています。2011年から保険適応された治療法です。

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