今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「海苔」「もずく」を食べると髪が黒くなる?』をご紹介させて頂きます。

薄毛に悩んだことのある人なら1度は、「海苔(のり)やもずくを食べると髪の毛が黒くなるかも」と思ったことがあるでしょう。いわゆる「薄毛あるある」ですね。かつては「海苔などの海藻を多く食べるとハゲが治る」とまでいわれていました。これらは迷信なのでしょうか、真実なのでしょうか。真相を探りました。

業界団体が完全否定

いきなり結論を申し上げます。大変残念ながら、「海苔で髪の毛が増える」「髪の毛が黒くなる」という科学的な根拠はありません。「ナガイのり」や「永谷園」など、海苔企業が作っている業界団体「海苔で健康推進委員会(本部・東京)」は「海苔は真っ黒なので、食べると髪に良さそうな気分になるかもしれませんが、海苔と髪の毛の関係性は明らかになっていません」と断言しています。
しかし、こうもいっています。「海苔には天然のミネラルがたっぷり含まれています。『髪に良いかもしれない』という気分の持ち方が、髪には一番いいかも」と。
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健康に良い食材は髪の毛に悪いわけがない?

つまりこういうことがいえそうです。
「海苔やもずくが髪の毛を作っているわけではないし、抜け毛予防の効果も確認できない、でも海苔やもずくに含まれる栄養素は人を健康にするので、健康になれば髪に良いことも起こるだろう」
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海苔の力とは

海苔はすごい食材です。βカロチンとビタミンCとビタミンEは、がん予防に良いとされる成分です。海苔はこのすべてを含んでいます。また、大腸がんの予防には腸内環境を整えることが効果的とされ、食物繊維が有効です。海苔には食物繊維も豊富に含まれています。
ビタミンCはがん予防だけでなく、美肌を作ります。海苔のビタミンCの含有量は、みかんの5倍以上もあります。
またEPAは、心筋梗塞や脳梗塞の予防に良いとされる成分で、これも海苔に含まれています。
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もずくの力!

海苔もすごいのですが、もずくはもっとすごいです。もずくのヌメヌメはフコイダンといい、「スーパー健康成分」と表現しても大袈裟ではありません。血液中のコレステロールを減らす効果があるのです。このことによって、糖尿病と脂質異常症の予防に役立ちます。
さらにフコイダンは、がん治療に効果があるとされています。フコイダンはまだ、がん治療の正式な薬として医療保険の対象にはなっていませんが、がん治療に使っている医療機関はたくさんあります。
まだあります。もずくには、カルシウムとマグネシウムが含まれています。もずく100gに含まれているカルシウムの量は100mgです。この量は牛乳と同程度です。ところがマグネシウムは、牛乳よりも多く含まれているのです。
骨を作るのはカルシウムであるということは、よく知られています。しかし、カルシウムが骨になるときにマグネシウムの「手助け」が必要であることは、あまり知られていません。ですので、マグネシウムを多く含むもずくは、牛乳よりも「骨に良い」といえるのです。
つまり女性に多く発生する骨の病気、骨粗鬆症の予防には、牛乳だけでなくもずくも有効だということです。
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では髪にいい食材は?

冒頭で「海苔ともずくを食べたからといってすぐに髪が黒くなることはない」と紹介しましたが、では、髪にとって良い食材なんてあるのでしょうか。実はあります。
それは卵です。
ただこれも「卵を食べたら髪が真っ黒になる」とか「卵は毛生え薬だ」というわけではありません。しかし、髪の毛の健康に必要な「たんぱく質」「亜鉛」「セレニウム」「鉄」が、卵にはすべて含まれているのです。それぞれの成分と髪の毛との関係は次の通りです。
・タンパク質:髪の毛の主な成分です。つまり「髪の毛の材料」といえます。
・亜鉛:抜け毛の原因となる5αリダクターゼを抑制します。
・セレニウム:細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があり、髪の毛の細胞の老化にも良いでしょう。
・鉄:鉄が不足すると貧血になりますが、それは鉄が血行を良くしているからです。髪の毛の成長は、血行がカギを握っています。
アメリカの研究では、卵のほかにナッツや牡蠣、緑黄色野菜、鶏肉、豆類が、髪の毛に良いという結果が出ています。海苔やもずくが入っていませんが、それはアメリカでほとんど食べられない食材だからだと思います。もしアメリカの髪の毛研究者が海苔ともずくを調査したら、髪に良い食材ベスト10入りするかもしれませんね。

まとめ

以上のことから、髪の毛の特効薬的な食材は特定できないことが分かります。ただ、バランスの良い食事や、健康になる食材が、髪の毛にも良い効果をもたらすことも分かりました。髪の毛も健康も「1日にして成らず」なんですね。