今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『風邪じゃない!寒暖差アレルギーかも…!?」を知りましょう!』をご紹介させて頂きます。

くしゃみと鼻水が出たら、多くの人は風邪を疑うのではないでしょうか。真冬であれば風邪が流行するので、そう思うのは当然です。また夏であっても、クーラーに当たりすぎて体が冷えたためにくしゃみと鼻水が出た、と考えがちです。
しかしもし発熱がなく、風邪でないような気がしたら、寒暖差アレルギーを疑ってください。文字通り、短時間に暖かい所から寒い所に移動したときに起きるアレルギー症状のことです。
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かゆみ、頭痛も

W寒暖差アレルギーの鼻水の特徴は、透明であることです。粘り気もなく、水のようにさらさらしています。くしゃみは3発ぐらいまとめて出てくることが多いです。
そのほかの症状では、皮膚のかゆみが顕著に表れます。腕だけがかゆかったり、胸や背中がかゆかったりします。じんましんが出ることも多いです。
症状の「とどめ」は頭痛です。上記の症状にひと通り苦しめられた後に、頭痛に襲われます。
その結果、心にも影響が及びます。イライラが募ったり、食欲が落ちることもあります。
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風邪とも花粉症とも違う

風邪との見分け方は発熱の有無です。寒暖差アレルギーでは発熱することは滅多にありません。また、風邪はウイルスが原因となるので流行しますが、寒暖差アレルギーは「患者個人の問題」なので、流行はせずその人だけが症状を起こします。

寒暖差アレルギーの正式名称は「血管運動性鼻炎」といいます。寒暖差が大きいと、血管の運動が乱高下します。その結果、鼻炎を発症するのです。それが鼻水になります。
しかし寒暖差アレルギーは、鼻以外の症状も引き起こします。さきほど、寒暖差アレルギーは「患者個人の問題」であるといいました。具体的には自律神経の変調が原因なのです。神経がやられるので、鼻以外の場所にも異変が起きるのです。

自律神経がやられる

それでは次に、寒暖差と自律神経の変調の関係についてみてみます。そのためには体温の仕組みを知る必要があります。

人の体温はとても不思議です。真夏でも真冬でも大体36度前後を保っています。なぜだと思いますか。「服を着たりクーラーに当たったりしているから」ではありません。真夏や真冬に戸外で裸で生活していても、人が健康である限り体温は36度前後を保たれるのです。
これは、血圧が変化したり体が震えたり汗をかいたりホルモンの量が変ったりすることで、体温を調整しているからなんです。体温が20度になっても50度になっても、人の臓器は死んでしまいます。そうならないように、体の器官や臓器は協力しあって36度前後を懸命に維持するのです。
この「器官や臓器の協力体制」を作っているのが自律神経なのです。自律神経は脳から伸びています。そして器官や臓器につながっています。自律神経は、器官や臓器が入手した情報を脳に送り、脳はその情報を元に器官や臓器に命令します。その命令は、自律神経によって器官や臓器に伝えられるのです。
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多忙を極めた末に

つまり、短時間に高い気温にさらされたり低い気温にさらされたりすると、自律神経は多忙を極めることになるのです。脳が「気温が高いから体温を下げるように調節しろ」と命令を出したと思ったら、その直後に「気温が下がったから体温を上げろ」という命令が送られるのです。
その後も寒さと暑さが繰り返されると、自律神経は脳の命令を処理しきれなくなり、気温が高いときに体温を上げる命令を送ってしまったり、気温が低いときに体温を下げる命令を届けたりするようになってしまうのです。
自律神経の誤作動です。鼻水、くしゃみ、皮膚のかゆみといった症状は、自律神経の間違った命令によって引き起こされているのです。

治療法はない

寒暖差アレルギーを治す特効薬はありません。ですので病院で寒暖差アレルギーとの診断が下っても、処方される薬は鼻水やかゆみの症状を抑える薬のみになります。これは対処療法といい、根治にはつながりません。
寒暖差アレルギーを治すには、自律神経を正常に戻すしかありません。
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運動とリラックス

このように考えてください。寒暖差があるから自律神経がやられてアレルギー症状が出るのではなく、自律神経がやられているから寒暖差アレルギーが出るのです。
適度な運動は、自律神経の正常化に有効とされています。また、リラックス効果が得られる睡眠や温泉、さらに過労気味の人であれば仕事を減らすことで寒暖差アレルギーが軽減することがあります。