今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「はやり目」は、流行らせない!うつさない!』をご紹介させて頂きます。
感染力が強く、1人が発症するとまたたくまに流行してしまうことから「はやり目」と呼ばれています。目が見えづらくなる病気です。ただ、失明することはないため、「はやり目」はあまり警戒されていません。
しかし、感染力が強いだけでなく、特効薬がないため、実は「治らない病気」なのです。失明しないとはいえ、生活の質を落とすことは間違いありません。「はやらせない」「うつされない」ことが重要です。

角膜と結膜の両方に異変が起きます

「はやり目」は正式には「流行性角結膜炎(りゅうこうせい・かく・けえつまく・えん)」といいます。「角結膜」は、角膜と結膜を合体させた言葉です。角膜は黒目、結膜は白目のことです。
この病気を引き起こすのは「アデノウイルス」というウイルスです。ウイルスが「流行」して「角膜」と「結膜」が「炎症」するのが「はやり目」というわけです。
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サラサラ目やにが特徴です

「はやり目」を発症すると、目やにが出ます。この目やには「ドロドロ」や「ガチガチ」ではなく、「サラサラ」しています。涙より少し粘り気があるくらいです。
目やににともない、目が充血します。「目やに」「充血」に加えて、職場や学校や家庭内に似た症状の人がいたら、「はやり目」を疑って眼科に行った方がよいでしょう。
自分だけでなく、似た症状を起こしている人にも受診をすすめてください。
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症状が悪化すると見えにくくなります

「はやり目」は市販の目薬では改善しません。医者にかからず放置すると、角膜に傷が付きます。角膜は「見るところ」ですので、周囲がぼやけて見えたりします。ほかの人より日光をまぶしく感じる症状が出ることもあります。
また、まぶたの裏に薄い膜ができることもあります。目とまぶたのあいだに異物が挟まっているようなものですから、違和感が強く出るでしょう。「目の違和感」は、集中力が落ちたり、いらいらしたりと「心」に影響を与えることが多いのです。
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触った手から感染します

「アデノウイルス」はとても感染力が強いウイルスです。「はやり目」の人が、手で目をこすり、その手で何かの物体を触ったとします。別の人がその物体を触り、触った手で自分の目をこすっただけで感染してしまいます。
また家族間の感染で多いのは、タオルです。タオルを共有することですぐに感染します。
「アデノウイルス」は「はやり目」だけでなく、いわゆる「プール熱」も引き起こします。子供がプールに遊びに行ってウイルスに感染することからそのように呼ばれています。正式名称は「咽頭結膜熱(いんとう・けつまく・ねつ)」といいます。プール熱はのどの痛みや高熱を引き起こします。
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治療法はありません

残念ながら「アデノウイルス」を殺す薬はまだ開発されていません。ただ、症状を和らげたり、感染の拡大を防ぐ必要があるので、必ず眼科にかかってください。
根治する薬はないのですが、眼科では他の病気の感染を防ぐ目的で、抗菌作用がある点眼薬が処方されるでしょう。
また、アデノウイルスに限らず、ウイルスに感染した場合は、体の抵抗力を上げて、自分の力でウイルスと闘う必要があります。そのため眼科では、栄養補給の指示が出ます。加えて、しっかり休息を取る必要があります。
次に眼科医は、患者の違和感を取り除く治療を行います。角膜と結膜の炎症を抑えるために、低濃度のステロイドが入った目薬が処方されることがあります。

2週間で治りますが出勤停止です

「はやり目」の症状は、2週間程度で治まります。ただ十分な休息が取れないと、例外的に1カ月以上かかることもあります。
「はやり目」は、学校保健法に指定されている病気ですので、患者は学校への出席が禁止されます。大人の場合は出勤停止になります。かつて、ある大学病院の眼科病棟で「はやり目」が流行してしまい、1カ月間、病棟を閉鎖したこともありました。いわゆる院内感染ですね。
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はやり目の予防

家族間でも、タオルは別々に使いましょう。特にトイレに設置するタオルが流行源になる可能性があります。また、家族に「はやり目」が発症したら、その人は最後に風呂に入ってください。
流行する病気は、予防を身に付けることでしか防げません。

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