今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『くちびるの水ぶくれは放置しないで!ヘルペスかも…』をご紹介させて頂きます。

くちびるに水ぶくれができる病気に「口唇(こうしん)ヘルペス」があります。この病気を発症する患者は近年、ゆっくりとではありますが、確実に増えています。死に至る病気ではありませんが、放置すると簡単に感染が広がります。正しい知識を持って、予防を心がけてください。

早いうちに医者にかかろう

口唇ヘルペスの症状は、くちびるの皮膚の違和感から始まります。このときはまだ水ぶくれはありません。違和感は、ちくちく、ぴりぴりといった感じです。くちびるが赤くなり、痛みが生じることもあります。こうした違和感は、本格的な症状の前の症状ということで「前駆症状」と呼ばれます。
本当はこの時点で皮膚科の医師にかかり、症状の悪化を防ぎたいところです。

くちびるの赤みの後に出てくるのが水ぶくれです。これはかゆかったり痛かったりします。しかし自然に潰れることが多く、そのうちかさぶたになってはがれ落ちます。
症状が悪い人だと、水ぶくれは直径5ミリまで成長してしまいます。発熱や耳の下が腫れることがあります。この腫れは、リンパ腺が太くなってしまうことで生じます。

いずれの場合でも、前駆症状から、かさぶたや発熱までは10日から2週間ほどです。実はこれで「終わり」になることがあります。水ぶくれも、もう出てきませんし、違和感も消えてしまいます。
しかし、口唇ヘルペスがやっかいなのは、これが「本当の終わり」ではないことなのです。
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2度目は重い…

口唇ヘルペスの症状は2度目があります。1度目からの期間はまちまちですが、2度目に発症したときは重症化していることが一般的です。
2度目の水ぶくれは、くちびるだけでなく、口の周辺や頬に近い部分にまで広がります。大きな水ぶくれの数も増えます。
ですので、1度目の水ぶくれのときに、仮に症状が軽くなっていたとしても、病院にかかっていただきたいのです。
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潜伏するウイルス

口唇ヘルペスの原因は「単純ヘルペスウイルス」というウイルスに感染することです。感染は、感染者と接触することで起きます。ただ、感染してもすぐに症状が出ないことがあります。ですので「感染者に触れたけど何も起きない」からといって油断できません。
単純ヘルペスウイルスは、神経に潜伏します。潜伏期間はまちまちで、数十年に及ぶ人もいます。つまり子供のころに感染した人が、突如20代30代で発症することがあるのです。

大人の患者が増えている理由

単純ヘルペスウイルスは、ずっと日本に存在していました。しかしヘルペスが一般の人の話題になったのは十数年前くらいからです。つまり20年以上前は、単純ヘルペスウイルスに感染したり、口唇ヘルペスが発症しても問題にならなかったのです。それは口唇ヘルペスは、小さい頃に発症すると軽症で済むからです。さらに、子供のころに一度発症しておくと、大人になって発症しても軽症で済むのです。

しかし国内の衛生状態と国民の健康は、この20年で劇的に改善されました。このことは大きな病気の予防には効果的なのですが、単純ヘルペスウイルスに感染する年齢を引き上げる結果を招きました。そのため「大人になって初症状が出ると重症化する」という性質を持つ口唇ヘルペスがクルーズアップされるようになったのです。
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キス、セックス、タオルでも…

単純ヘルペスウイルスは、感染者が使ったタオルを非感染者が使っただけでも、感染してしまいます。ですので家族間の感染が多いのです。
またキスやセックスといった濃厚接触でも感染します。単純ヘルペスウイルスが性器に感染すると、性器ヘルペスを発症します。くちびるで起きている口唇ヘルペスの症状が、性器で起きるので、かなり不快な症状に悩まされるでしょう。
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初期なら薬、悪化すると入院も…

水ぶくれができる前の「前駆症状」の段階で抗ヘルペスウイルス薬を使うと、水ぶくれを回避できる可能性があります。また水ぶくれができてからでも48時間以内であれば、この薬はかなり効果を発揮します。この段階では塗り薬で済みます。
しかり48時間をすぎると薬の効果はかなり落ちます。塗り薬が効かなくなると、飲み薬タイプの抗ヘルペスウイルス薬が処方されます。

飲み薬タイプに変更して5日経っても症状が軽くならないと、医師は「飲み薬ではもう効かない」と判断します。つまりウイルスが相当パワーアップしていることになります。こうなると、薬を直接血管に注入することになります。つまり点滴で投与するのです。点滴による薬の投与では、入院が必要になることがあります。
そうなのです。「口唇ヘルペスぐらい」とあなどっていると、入院という事態に陥ることもあるのです。
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抵抗力を付けよう

単純ヘルペスウイルスが体内に潜伏していながら、それでも症状を出さないのは、体の抵抗力がウイルスの暴走を食い止めているからです。つまり口唇ヘルペスや性器ヘルペスが発症したということは、体に異変が起きているかもしれないのです。
また、口唇ヘルペスが発症したら、治療に取り掛かると同時に十分静養してください。暴飲暴食を控えたり、忙しい仕事を避けたり、屋外での遊びを中止したりしてください。
ヘルペスは体の不調を知らせてくれるサインでもあるのです。

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