今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『いま、日本人の4人に1人がなる「脂肪肝」とは?』をご紹介させて頂きます。

30~40代で「フォアグラ肝臓」の人が増えている

フォアグラは、ガチョウやアヒルにたくさんのエサを与えて肝臓を肥大させる世界三大珍味として有名な食材です。近年、人間も30~40代を中心に、食べ過ぎや飲みすぎによって肝臓に脂肪が異常に蓄積される人が増えています。これは「脂肪肝」という病気です。今や日本人の4人に1人が脂肪肝といわれています。

もともと肝臓は脂肪を蓄える機能を持ち、正常の肝臓には通常約3~5%の中性脂肪が蓄えられています。食事から摂った脂肪は、脂肪酸やブドウ糖に分解されたあと、肝臓で中性脂肪に変化します。中性脂肪は主にエネルギー源として利用されます。

しかし、糖質や脂質の摂り過ぎや、運動不足によるエネルギーの消費不足が日常的にあると、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄えられます。肝細胞の30%以上が脂肪化すると「脂肪肝」と診断されます。
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沈黙の臓器だからこそ怖い

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がほとんど出ない器官です。70%以上の細胞が壊れないと自覚症状が出ないとされています。肝臓は再生能力・代償能力が非常に高い臓器で、ダメージを受けても残った正常細胞が余分に働き、機能を維持しながら修正を繰り返します。

そのせいか、これまで脂肪肝は軽度の疾患と考えられていました。しかし痛みなどの症状を出すことがほとんどないため、気づいたときには深刻な病気がかなり進行していることがあります。

脂肪肝においても、脂肪性肝炎→肝硬変→肝がんへと進行する可能性がわかってきました。脂肪がたまって肝臓の働きが悪くなっている状態であることを理解し、手遅れになるまえに対処が必要です。
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飲み過ぎ・食べ過ぎ・肥満体質の人は注意!

脂肪肝は、生活習慣の乱れが原因です。お酒(アルコール)の飲みすぎ、食べ過ぎや肥満、運動不足、ストレスが原因として挙げられます。なかでも、アルコールと糖質の摂り過ぎが大きな原因とされています。

また、BMI指数(Body Mass Index:WHOが示す肥満判定基準)によって肥満と診断された人の約20~30%に脂肪肝がみられるようです。思いあたる場合は、定期的な健診を受けて、肝臓の数値を把握するとともに、肝機能の異常がないかを確認することが大切です。
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日本人の脂肪肝原因は、飲み過ぎではなく「食べ過ぎ」

普段、私たちの中性脂肪の量は肝臓によってコントロールされています。「お酒を飲み過ぎると中性脂肪がたまる」とよく聞きますが、それは肝臓への負担によって肝機能が低下したうえに、さらにアルコールの分解が中性脂肪の生成を促すためです。

しかし、日本人の脂肪肝の原因の多くは、飲み過ぎではなく「食べ過ぎ」によるものです。糖質の摂り過ぎによって、肝臓に異常なほどの脂肪が蓄積されています。この状態を「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼びます。飲酒の習慣はないのにアルコール性肝障害に似た「脂肪性肝障害」患者が年々増加しています。成人の約8%はNAFLDであるとも言われています。

NAFLDには、肝細胞に脂肪が沈着するのみの「単純性脂肪肝(NAFL)」と、脂肪沈着とともに炎症や線維化がおこる「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」の2種類があります。NAFLは症状が軽く改善しやすい疾患ですが、NASHは肝硬変や肝がんを引き起こす可能性があり、侮れない病気です。成人の約1%が、NASH患者であると考えられています。
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体重2キロ減で、肝機能は回復する!!

脂肪肝がすべて重症化するわけではありませんが、早期発見が何より大事です。思いあたる人は、消化器内科の受診をおすすめします。

原因である生活習慣の改善を考え始めましょう。糖質の摂取はなるべく控えます。砂糖だけではなく、白米・パン・麺類に含まれる炭水化物や果物にも糖質は含まれています。食べる順番を、野菜→肉→ご飯に変えるだけで、糖質の過剰摂取はかなり改善されるようです。体重の2キロ減が目標です。肝臓にたまった中性脂肪が減り、肝機能が回復すると言われています。

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