今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『夏にかけて、子供がよく発症する「とびひ」とは?』をご紹介させて頂きます。

皮膚の病気「とびひ」は、正式名称は「伝染性膿痂疹(でんせんせい・のうか・しん)」といいます。「とびひ」の語源は「飛び火」です。乾燥した草原の火事があっという間に広がるように、「とびひ」も顔から全身に瞬く間に拡大します。
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水ぶくれが破れてかゆみ増大

「とびひ」の症状は、皮膚にできる「ひとつぶの水ぶくれ」から始まります。水ぶくれの中身は最初は透明ですが、膿ができると黄色に変わります。この水ぶくれは簡単に破けてしまい、中の膿が飛び散ります。また、このころになるとかゆみが生じていますので、どうしても患部をかいてしまいます。そして手に膿が付着してしまいます。

膿の中には、水ぶくれを作っているばい菌が含まれているので、膿が飛び散ったり、膿が付いた手でほかの皮膚を触ると、そこにも水ぶくれができます。こうなるとかゆみは増大します。もっと強くかいてしまい、被害が拡大するのです。
水ぶくれがたくさんできると、かさぶたを形成することがあります。また症状が悪化すると、発熱したり、最終的には腎臓を傷つけることもあります。
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ばい菌についての詳しい話

ここで「ばい菌」の解説をします。少し難しい用語が出てきますので、この段落は飛ばして、次の「とひびの原因」から読んでいただいてもOKです。
「とびひ」を発生させるばい菌は溶連菌といいます。溶連菌にはさまざまな種類があるのですが、その内「とびひ」を作っているのは「黄色ブドウ球菌」と「化膿レンサ球菌」などです。
黄色ブドウ球菌による「とびひ」の特徴は「水ぶくれ、かゆみ、目・鼻・口のまわりにできる、夏に多い、7歳未満の子供に多い」です。
化膿レンサ球菌の「とびひ」は「かさぶた、リンパの腫れ、発熱、全身、一年中どの年代でも発症する」という特徴です。

この2つのばい菌は、皮膚にくっ付くと「表皮剥脱毒素(ひょうひ・はくだつ・どくそ)」という「毒」を作ります。この毒は、皮膚の細胞を壊します。人の細胞は、その隣の細胞と結合しているのですが、この毒はその結合を切断してしまうのです。
細胞が壊されると、体はばい菌を排除しようとします。そのため、水ぶくれや膿ができるのです。つまり、水ぶくれも膿も、体の防御反応なのです。
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とびひの原因

この病気がやっかいなのは、ありふれたばい菌であることです。ありふれているので、この菌に感染しても、症状が出ない人もいます。症状が出やすい人は「弱い人」です。子供や、別の病気で抵抗力が落ちている大人などです。
また、特に子供は、かゆみを我慢できません。強くかいてしまうと、皮膚が傷つきばい菌の「巣」になりやすいのです。

抗生剤が効きます!

「とびひ」は薬で治療します。薬は「ペニシリン系抗生物質」と「セファム系抗生物質」の2種類です。抗生物質はばい菌を退治するので、根本治療が期待できます。
これらの薬は、症状が軽いと内服薬として処方されますが、皮膚が広範囲にただれるなど重症の場合は、これらの薬を点滴で投与します。
また、塗り薬も使います。薬品名は「エリスロマイシン軟膏」といいます。
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とにかく清潔に

「とびひ」の予防は、とにかく皮膚を清潔に保つことです。発症後も清潔の維持が、症状の拡大を防ぎます。ただ「ゴシゴシ洗い」は禁物です。「とびひ」は「弱っている皮膚」を「より弱らせる」病気ですので、「ゴシゴシ洗い」でさらに皮膚を傷めつけると、症状が悪化します。
洗剤や石鹸を泡立ててから、その泡で患部や全身を洗ってください。もし子供が複数人いる場合、「とびひ」にかかっている子供を最後に洗ってください。先に洗ってしまうと、その子供の「とびひ」のばい菌が洗う道具に付着して、別の子供を感染させてしまうでしょう。
また、ばい菌は鼻の穴に住みつくことが多いので、子供には鼻の穴に指を入れないように注意してください。爪も短く切ってください。

まとめ

「とびひ」はありふれた病気です。しかも、「水ぶくれ」「かゆみ」という、本人も周囲の人も気付きやすい症状です。発症したら、すぐに医者にかかってください。「病気を起こさない」ことに加えて「病気を拡大させない」ことが重要な病気です。

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