今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『なぜ、汗疹(あせも)はできるのか?』をご紹介させて頂きます。

日本の夏は、汗疹の季節

気象庁によると、日本の平均気温は1898年(明治31年)以降、100年で1.1度あまり上昇しているそうです。さらに全国の主要都市では1.5度、東京では3.2度、気温が高くなっていることが報告されています。

1990年代以降は、高温の夏が頻繁に訪れています。拭いても拭いても汗は滝のように流れ落ち、湿度が75%を越える蒸し暑い日が何日も続くのは、いまや日本の夏の特徴です。

そして暑くて湿気の多い季節は、皮膚のトラブルが起こりがちです。代表的なトラブルが「汗疹(あせも)」でしょう。汗をたくさんかくと、チクチクした痒みをともなって赤い湿疹があらわれます。特に赤ちゃんは、汗を大量にかくうえに、肌が重なるところが多くあるため、気温が高くなりはじめる5月中旬から汗疹の心配があります。

赤ちゃんの汗疹は、大人と違う白い汗疹です。「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と呼ばれるもので、皮膚に1~3ミリほどの透明、あるいは白っぽい水ぶくれがあらわれたら、それは汗疹です。しかし、かゆみはほとんどありません。大人にできる赤いブツブツの汗疹は、医学的には「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」という病名です。
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原因は、汗の通路が詰まること

痒みさえおさまれば「知らないうちに治っていた」と言うように、汗疹は病気であるとの認識は薄いかもしれません。しかし「たかが汗疹」と侮っていると、範囲が広がり膿を持った皮膚病となる恐れがあるため注意は必要です。

汗疹の原因は、皮膚の中にたまった汗です。たくさん汗をかく夏にできやすくなるのはそのためです。夏以外でも、帽子、マフラー、ギプス、絆創膏、湿布、包帯など皮膚がふさがれて汗がたまると、汗疹ができやすくなります。

そもそも人間が汗をかくのは、気温の上昇とともに体温が上昇しすぎるのを防ぐためです。汗は、皮膚の奥深くにある「汗管」と呼ばれる管の「汗腺」から分泌される体液です。汗は汗腺から汗管という汗の通路を通って、体の表面にある「汗孔」という出口に向かいます。

しかし、大量の汗をかきっぱなしにしてしまうと、汗管が詰まり、汗が肌表面へ流れず、たまった汗がまわりの組織に漏れ出します。これが水ぶくれになり、炎症を起こして痒くなったり、赤いブツブツになったりするのです。
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なぜ、赤ちゃんは汗疹になりやすい?

汗疹は、頭・額・首まわり・お腹まわり・ひじの内側・脚の付け根・ひざの裏側といった汗が乾きにくい部分にできやすく、男性の場合はシャツの襟やベルトが密着する部分、女性は下着で締めつけられている部分が要注意です。赤ちゃんや子供は、おしりと頭に出きやすいものです。

赤ちゃんに汗疹ができやすいのは、汗腺の密度が高いためです。汗腺の数は大人も赤ちゃんもほとんど同じです。つまり、赤ちゃんは小さな面積に汗腺が密集していため汗をたくさんかくので、汗疹になりやすいのです。
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「スキンケア」と「なるべく掻かない」が大事

汗疹ができたら、(1)肌を清潔にすること、(2)なるべく掻かないようにすることが大事です。赤ちゃんにできやすい「水晶様汗疹」は、通気性のよい服で、さらにこまめに着替えるなど肌を清潔にしていれば自然と治ります。

一方、「紅色汗疹」は湿疹ですので、清潔することに加え、塗り薬を使った治療がよいでしょう。赤いブツブツができているところに薄くのばしながら塗ります。市販薬は年齢によって効果の強さが異なるものがあるので、子供が使うときは注意します。

薬剤師に子供の年齢と症状を伝えて相談してから購入しましょう。特にステロイド外用剤は効果は高いですが、妊婦や赤ちゃん、子供には専門的なアドバイスが必要です。

また、汗疹を掻きすぎて化膿すると、とびひ(伝染性膿痂疹)にかかることがあります。その場合、自然治癒はおすすめできません。皮膚科を受診すると1週間ほどで完治できます。子供はつい掻いてしまいがちです。涼しい環境を作る、爪を短く切るといっただけでも予防対策になります。

本格的な夏を迎えるまえに、汗をかいたらタオルでこまめに拭き取る習慣を身につけると汗疹予防になります。

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