今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『身体醜形障害』をご紹介させて頂きます。

「身体醜形障害(しんたい・しゅうけい・しょうがい)」は、自分の顔や体の形が「醜い」と感じてしまう心の病です。実際は、なんの問題も生じていないのに、そう感じているのですです。
そういった意味では「自分は醜い」という考えは「思い込み」なのですが、通常の「思い込み」のレベルをはるかに通り越しているのです。

身体醜形障害は、広くは「強迫性障害」に含まれます。極度の潔癖症も強迫性障害です。極度の潔癖症の患者は、「本当は手は汚れていない」にもかかわらず、何度も何度も手を洗わずにはいられないのです。また「確認強迫」も強迫性障害のひとつです。外出をする直前、何度も何度も窓の鍵やガスの元栓などを確認してしまう行為です。
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身体醜形障害の初期症状とは…

身体醜形障害の初期症状のひとつに、繰り返し鏡を見ることがあります。なぜこのような行動が出てしまうのかというと、まず患者には「自分がイメージしている体の形」というものがあります。それは「本当の体の形」とは違うものです。
すると患者は「本当の体の形」が「イメージしている体の形」より優れているか、劣っているかを確認せずにはいられなくなるのです。「イメージする体の形」は、患者によって「良すぎる形」であることもありますし、「悪すぎる形」のこともあります。
それで、自宅の鏡だけでなく、外出先でもショーウインドーや車のボディに映る自分を何度も見てしまうのです。

「そんなことなら自分にもある」と感じる人は多いのではないでしょうか。しかし身体醜形障害の患者は、単なる確認にとどまらないのです。もし鏡を見たときに「イメージしている体の形」より「優れている」と感じると、気分が高揚してしまうのです。逆に「劣っている」と感じると、落ちこんでしまいます。
もしくは、鏡に映った自分の形は「本当の自分ではない」と思い、鏡の前で姿勢を変え、「イメージしている体の形」を探すのです。それが数時間に及ぶこともあるのです。

また、身体醜形障害の患者は、写真やビデオに撮られることを極度に嫌う特徴もあります。それは、写真やビデオに撮られた自分の形が、イメージしている形と違うことが多いと感じているからです。「イメージと違う自分の形」を見たくない、または、見せたくないのです。
身体醜形障害では、「確認せずにはいられない」状態と、「絶対に確認しない」という行動が発生するのです。
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身体醜形障害の症状

症状は、男女で違うことがあります。男性の場合は、「子供のままでいたい」という気持ちが強くなる傾向があります。成長する自分の形を容認できないのです。
女性の場合は、母親や姉妹といった身近な女性より、自分の形が優れている、または、劣っていると感じることが多いようです。
また、男性は「顔のみ」、女性は「顔と体の両方」を気にする傾向が強いという報告もあります。

身体醜形障害は、いわゆる「コンプレックス」と似た症状なので、「心の病気」と分かるまで時間がかかります。いわゆる「コンプレックス」が強い人でも、自分の形を気にするのですが、仕事や勉強や遊びといった「行為」をしているときは、そのことを忘れています。身体醜形障害の患者は、片時も自分の形のことを忘れられません。
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症状が悪化すると、日常生活が送れなくなります。鏡に映る自分が嫌いすぎて、自動車のバックミラーやサイドミラーすら見ることができなくなり、運転免許証の教習を中断したケースも報告されています。
また、家族に「私の体のここの形、変かな?」と何度も確認することで、家庭の問題に発展することもあります。

さらに、美容整形を何度も繰り返したり、うつ病を発症したりすることも珍しくありません。また逆に、うつ病や統合失調症といった精神疾患から身体醜形障害を起こすこともあります。
そして最悪のケースは自殺です。身体醜形障害の治療では、自殺予防を最重要課題として取り組みます。
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治療は薬物療法だけでなく、認知行動療法という薬を使わない治療法も確立しています。この文章を読んで、自分や知人について「もしかしたら」と感じることがありましたら、精神科か心療内科の受診をしてみてもよいでしょう。病気が判明し早期治療に着手できるだけでなく、「身体醜形障害ではない」ということが確定するメリットも期待できるからです。

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