今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け！ 今回は『ヤクルトとミルミルは何がいいの？』をご紹介させて頂きます。
「株式会社ヤクルト本社」は、自社製品のことを「健康に良い」とPRしています。国民の多くも「ヤクルト製品は健康に良い」と考えているようです。どうしてこのような良いイメージができたのでしょうか。
「ヤクルト」と「ミルミル」にはどのような「科学的な根拠」があるのかを、「ヨーグルト」と比較しながらみてみましょう。
＊「株式会社ヤクルト本社」は正式名称です。社名に「本社」と入っているんですね。
ヤクルトは高級飲料
「あのヤクルト」もいまや、プレミアムやカロリーオフなど多くの姉妹製品が出ています。そこで最もベーシックな「Newヤクルト」を取り上げてみます。
メーカー希望小売価格は税別40円と、一見「格安」なのですが、内容量は65ミリリットルしかありません。1ミリリットル当たり62銭となります。
お茶は500ミリリットルペットボトルで150円くらいですので、1ミリリットル当たり30銭です。特売の牛乳は1,000ミリリットル100円くらいですから、これだと10銭です。
お茶や牛乳と比較すると、Newヤクルトは高級飲料といえます。
秘密はシロタ株
Newヤクルトは、「乳製品」かつ「乳酸菌飲料」というジャンルに属します。これだけでは特別感はありません。そこで原材料を調べたところ、「ぶどう糖果糖液糖、砂糖、脱脂粉乳、香料」としか記載がありません。
「ん？ 健康成分は？」と、疑問に感じました。そこで株式会社ヤクルト本社にメールで問い合わせたところ、すぐに電話がかかってきて、次のような回答をいただきました。
「Newヤクルトのいわゆる健康成分は『シロタ株』という乳酸菌です。これが1本当たり200億個入っています。原材料の表示に関するルールで、『原材料：シロタ株』とは記載できないのですが、間違いなく入っていますので、ご愛飲いただければ幸いです」とのことでした。
秘密はシロタ株
「乳酸菌シロタ株」は、ヤクルトの創始者であり、医学博士であり、微生物研究の代田稔さんが見付けました。シロタ株の特徴は「悪い菌を退治する性質がある」ことと、「胃液や胆汁に負けない強さがある」ことの2点です。
シロタ株が腸の中で行っている「良い行為」は、ビフィズス菌を増やす効果です。ビフィズス菌については「ミルミル」のところで詳述します。ここでは「ビフィズス菌は善玉菌である」ということだけ覚えておいてください。
そして「インディカン」という腸内にある有害物質を減らす効果も、シロタ株には備わっています。善人を助け、悪人を助けるのが、シロタ株なのです。
シロタ株のすごさは、強いことです。胃液や胆汁は強力な液体ですから、せっかく口の中から体に良い物質を入れても、壊されてしまいます。しかしシロタ株は、胃液にさらされようが胆汁を吹きかけられようがびくともせず、腸に届くのです。
さらに高級なミルミル
次にミルミルをみてみましょう。まずは値段ですが、100ミリリットルの希望小売価格は税別100円です。1ミリリットル当たり1円もします。特売牛乳の10倍、Newヤクルトの1.6倍も高いのです。
ミルミルの「健康成分」は「ビフィズス菌」です。これが1本当たり120億個も入っています。ビフィズス菌はこの値段に見合う仕事をしてくれるのでしょうか。
インフルもやっつける
ビフィズス菌は、腸内の有害菌を減らし、有害菌がまき散らしている腐敗物を少なくします。腐敗物が少なくなると、腸の動きが活発化して、便通が良くなります。
ビフィズス菌はさらに、腸内を酸性にする効果があります。「酸」は病原菌の感染を防ぎます。効果が証明されているものでは、インフルエンザウイルスや病原性大腸菌O157が、ビフィズス菌によって減ることが分かっています。
明治はヨーグルトで勝負
次に「株式会社明治」の「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」を紹介します。赤いパッケージが有名ですよね。漫才の大会と同じ名称の通称「R-1」も、健康面ではヤクルトに負けていません。
ちなみにお値段は、112ミリリットルで小売希望価格が税別129円ですので、1ミリリットル当たり1円15銭となります。ミルミルより15％高いです。
R-1って？
R-1の「健康成分」は「乳酸菌1073R-1株」です。「乳酸菌1073R-1株」のすごさは、ナチュラルキラー細胞をパワーアップさせる効果があることです。
ナチュラルキラー細胞は私たちの体内に存在して、体の中に侵入してきたウイルスを攻撃してくれます。ナチュラルキラー細胞は「免疫細胞」のひとつですが、免疫細胞の中でも断トツの攻撃力を誇るのです。
つまり「体を元気にする」のではなく「体を弱らせない」効果が期待できるのです。頼もしいですよね。
データが立証
株式会社明治は、北里大学と共同で、佐賀県と山形県の高齢者にR-1を1日90グラムずつ食べてもらう研究を行いました。するとナチュラルキラー細胞だけでなく、別の免疫細胞も活性化されていることがデータ上でも立証されたのです。
しかもこの研究で、R-1を飲む人は風邪にかかりにくいことも分かりました。
3つの健康食品をみてみましたが、いずれもきちんとした科学的な裏付けをもって販売していることが分かりました。健康に効果があるとされる食品は、どれも「高い」です。しかし病気になって仕事のパフォーマンスが落ちて、病院に行って、薬を飲んで…というコストを考えると、ヤクルトもミルミルもR-1も「格安」だと思います。