難病を知ろう「胸椎黄色靱帯骨化症」

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『難病を知ろう「胸椎黄色靱帯骨化症」』をご紹介させて頂きます。

難病を知りましょう

きょうのテーマは「胸椎黄色靱帯骨化症(きょうつい・おうしょく・じんたい・こっか・しょう)」という病気です。
「胸椎」という「背中の骨」にある「黄色靭帯」と呼ばれる「靭帯」が「骨」のようにカチコチになる病気です。この病気は、普段ほとんど意識しない部位に生じるので、まずはそれぞれの器官について解説します。
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胸椎黄色靱帯骨化症とは

首から背中、腰、尻にかけて「1本」の骨が通っています。いわゆる「背骨」ですね。しかし実はこの「背骨」は「1本」ではなく20数個の「パーツ」が組み合わさっています。レゴブロックを縦につないだようなものです。この1個1個の「パーツ」のことを「椎骨(ついこつ)」と呼びます。
そして「背骨」は医学的には「首の骨」と「背中の骨」と「腰の骨」と「尻の骨」に分けて考えています。ここから少しややこしいのですが、「背中の骨」のことを「胸椎(きょうつい)」というのです。いわゆる「胸の骨」は「肋骨(ろっこつ)」といいます。
「胸椎」は「背中の骨」で、12個の「椎骨」が縦に積み重なってできている、と覚えてください。

ですので、胸椎黄色靭帯骨化症は、背中の骨の病気なのです。
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次に「黄色靭帯」についてですが、その前に「神経」の解説をします。
神経の仕事は「脳の指示を手足などに伝えること」と「手足などが得た情報を脳に伝えること」です。脳の指示を伝える神経のことを「運動神経」といいます。脳に情報を伝える神経のことを「知覚神経」といいます。
神経は、背骨の中を通っています。背骨を通っているということは、胸椎にも通っているということです。背骨を構成している椎骨はうまい具合に、神経を通す「筒状の穴」が開いているのです。そして背骨を通っているときの神経は「脊髄」と呼ばれます。

先ほど「背骨」は「椎骨」というレゴブロックが20数個連なってできていると述べました。この1個のパーツである「椎骨」をつなげているのは、靭帯です。
そして「胸椎」の「椎骨」をつなげているのが「黄色靭帯」なのです。
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胸椎黄色靱帯骨化症の症状

胸椎黄色靭帯骨化症の症状は、「胸椎」をつないでいる「黄色靭帯」が分厚くなることから始まります。通常の数倍の厚さになり、それが次第に硬さを増してきます。黄色靭帯がこれだけ大きくなってしまうと、「脊髄」という神経が通っている「筒状の穴」を圧迫します。

これにより下半身にしびれが生じます。これが胸椎黄色靭帯骨化症の初期の症状です。症状が悪化すると歩くことが困難になります。簡単に転倒してしまうのも特徴です。そして浅い傷を負っても、下半身が麻痺してしまいます。
ただ胸椎黄色靭帯骨化症は、無症状のまま進行することもあるそうです。別の病気の検査でこの病気が見つかることがあります。

この病気が疑われると検査を行います。骨の状態を見るため、単純X線、CT、MRIを使います。
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胸椎黄色靱帯骨化症の治療法

根治を目指す治療法は確立していません。それは、黄色靭帯がなぜ厚くそして硬くなってしまうのかが分かっていないからです。
症状の悪化を防ぐ目的で、ビタミンBや筋弛緩剤が処方されることがあります。筋弛緩剤は、筋肉の動きを弱める作用があります。この薬はとても強い薬です。筋肉が弱まるので、呼吸ができなくなることもあるのです。胸椎黄色靭帯骨化症は、それくらいの「劇薬」を必要とする病気なのです。

こうした強い薬でも病気の進行を食い止められない場合、手術になります。全身麻酔の手術です。背中を切開して、胸椎に付いている筋肉をはがします。次に「骨化」してしまった黄色靭帯を削ります。3~4時間ほどの手術になります。
これにより病気の進行を食い止め、症状が軽くなることが「期待」できます。そうなのです、あくまで「期待」にすぎません。

手術後はコルセットをして、翌日にはベッドから起き上がることができます。退院日は、手術後2週間が目途となります。リハビリは数週間から数カ月続きます。
リハビリ以外でも、3週間に1度くらい通院します。単純X線検査を行い、病気の進行をチェックするためです。

胸椎黄色靭帯骨化症は、国が指定する難病です。患者は「痛み」と「治らない」という2つの苦痛に耐えています。中日や阪神などで監督を務めた星野仙一さんもこの病気を発症しています。難病を知ることは、人の苦しみを知ることだと思います。

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