今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『成長期のヒールは要注意!足指の骨が壊死する・フライバーグ病(第2ケーラー病)
』をご紹介させて頂きます。
10~18歳の女性に多い、成長軟骨の障害
「フライバーグ病」は10~18歳くらいの女性に多く発症し、第2または第3中骨頭部(足指の付け根の関節)が循環障害をきたし、歩行時に痛みを伴う原因不明の骨端症(成長軟骨の障害)です。循環障害により、中骨頭部は壊死を起こします。ほぼ片足に発症し、両足に発症する例は10%以下と報告されています。
1914年、アルフレッド・フライバーグ医師によって、第2中足骨頭が圧壊した6症例が初めて報告されたことで、この名前が付けられています。「第2ケーラー病」と呼ばれることもあります。それは、1915年に同じ病態を、ドイツのケーラー医師が報告したことで、ドイツ語圏を中心に「ケーラー病」の名前が広がったためです。
ケーラー医師は、1908年に足の舟状骨に発生する骨端症を報告しています。したがって、舟状骨での症状を「第1ケーラー病」、中足骨の骨頭部での症状を「第2ケーラー病」としています。しかし、近年では最初の報告者の名前をとり、フライバーグ病と呼ばれることが多くなっています。
足裏の前のほうが、ズキズキ痛むときは
フライバーグ病は、「足裏の前のほうが痛む」という症状を自覚するところから始まるケースが多いようです。そして、足の中指や薬指の周辺に痛み(疼痛や圧痛)・腫れがおこります。 痛みは体重をかけたり、歩くときの踏み返しで強まります。
症状が進行すると痛みが強くなるため、その痛みを避けるようなぎこちない歩行になり、さらに進行すると骨の変形が起こります。
中足骨は床面に対して、アーチ構造をつくって体重を支えています。なかでも、第2中足骨骨頭部はアーチの頂点にあって、歩くときにもっとも圧力がかかります。そのため、第2中足骨(足の中指)での発症が、もっとも多い傾向にあるといわれています。
成長期に、パンプスやヒールはなるべく控える
フライバーグ病の原因は諸説あり、はっきしたことが解明されていません。原因究明の研究は続けられています。
足が成長している時期に「幅の狭い靴」や「踵の高い靴」、つまりパンプスやヒールなどを履きつづけると、第2または第3中骨頭部に必要以上の負荷がかかります。10〜18歳の中足骨頭のほとんどは、成長軟骨で構成されているため、外からの力(パンプスやヒールによる圧力)を受けつづけると、血行が阻害され、循環障害に発展しやすいと考えられているようです。
足の骨端症のなかでは、フライバーグ病は早期診断・早期治療が重要な病気です。症状のレベルによっては、手術を受けることがあります。初期治療が大切で、放置すると痛みが残りやすいのが特徴です。足指やその周辺に不快感があるとき、動かした際に違和感があるときは、早めに整形外科を受診しましょう。
初期は保存療法、骨が変形していれば手術
早期発見・早期治療が重要であるのは、骨の変形を少なくし、あとあとまで痛みを残さないためです。初期の段階では、X線検査の異常はあまりみられませんが、数週間経つと中足骨頭に特徴的な硬化・扁平化が認められます。
治療は症状のレベルで異なります。初期は3~4週間にわたり患部にギブスを巻き固定します。また、専用のアーチサポート(中敷き)を使って、中骨頭部への負荷を軽減する「保存療法」を行い、血行改善をはかります。改善するまでヒールを履くのは中止します。痛みが強く、歩行が難しい場合は松葉づえを使用しましょう。
骨の変形が明らかな場合は、手術で骨頭の付け根や骨の隆起を削ります。手術には、ルースボディ(遊離骨片)切除・関節唇切除・背屈骨切り術などを用いるのが一般的です。手術のあとは、自己治癒により修復が進み、徐々に変形した骨が改善されます。